第499話 フェンリルも恐怖する事

「我儘生意気娘!」


「出戻り年増女!」


「「ぐぬぬぬっ!!」」



バチバチバチバチバチッ!


ひぇーー(汗)


アルテミスさんとペトルーシュカ様が火花をバッチバチに飛ばして睨みあってるんですけどぉー!


女性の喧嘩なんて、『世界三大関わりたく無いもの』の1つなんですけどぉー(泣)



頼みの綱のリリーも我が家の玄関から顔だけ出して、ものすごぉーく申し訳なさそうな顔で俺を見ているだけだし


俺もリリーに無理を言うつもりは無いから、申し訳無いと思っているなら助けを呼ぶくらいはしてくれぇー!



「シンさん、お見苦しい物を見せてしまい申し訳ありませんでした。ペトルーシュカさんがあまりに傍若無人な態度でしたのでつい感情的に」


「いえいえ、アルテミスさんが俺に謝るような事は何もありませんよ」


「ちょっと待ちなさいよ、傍若無人と言ったわね?さすがに聞捨てならないわ!

アルテミス・ピスケス、貴女の先程の発言はスコーピオン公爵家に喧嘩を売る行為よ」


「はぁ、それを傍若無人と言うんです。」


「なっ?!」


「ペトルーシュカさんはシンさんの妾になると言っているようだけど、シンさんは未だに受け入れていませんよね?

にも関わらず、勝手に押し掛けて来ておいて我儘が過ぎるのではありませんか?

シンさんと結婚するという事は平民になるという事であり、スコーピオン公爵家の威光など何の意味もありません。

今はまだ結婚前でスコーピオン公爵家の威光を使えますけど、そんな事をすればシンさんに迷惑がかかるだけで無く、創造神様の怒りを買う行為です。それでもペトルーシュカさんは我儘を言ったつもりは無いと言うのですね?」



ぐはぁっ!


俺の事を責められている訳じゃ無いのに、アルテミスさんの正論攻撃がクリティカルヒットして、HPが一気に削られたんですけど(汗)



「あっ、後からしゃしゃり出て来た貴女に言われる筋合いは無いわよ!」


「そうですか、まぁ私はシンさんから直接プロポーズをして頂いて、第4夫人に迎えて頂ける予定ですから、妾希望のペトルーシュカさんに何かを言う権利など有りませんでしたね。大変申し訳ありませんでした。」



ひょぇーーー!


アルテミスさんの上から目線の余裕発言と、これでもかってくらいのドヤ顔のコンボ!


初代ストリートファイターⅡで、ゲーセンで使用禁止になったとかならなかったとかの伝説がある『待ちガイル』からの『攻めガイル』並の凶悪戦術が炸裂してるぅー!



「第4夫人?メリルさんとニィナさんの次なら第3夫人じゃ無いの?」


「えっと、色々あってケイトが第3夫人になったので、アルテミスさんは第4夫人の予定ですね。」


「ええっ?!じゃあ私は第5夫人になるの?」


「あのペトルーシュカ様、どさくさに紛れて妾から第5夫人にするの止めて下さい。」


「チッ!バレたか」



あぁ~


ペトルーシュカ様ってお見合いの時もこんな感じで、鋼の精神を持つタフガールだったなぁ


どんな事があろうと NO CRY! うずくまって泣いてる暇があるなら、拳を握り締めて腐敗した奴等を殴り飛ばすような、タフガールだよ。


まっ、メソメソ泣いてるだけの人よりは俺の好みではある。


惚れたりはしないけどな!



「とりあえず確認なんですけど、俺はペトルーシュカ様を妾として迎える気が無いのは、お見合いの時に話しましたよね?それでも妾なる事を望みますか?」


「無理に妾にしてくれなくていいわよ。」


「そうですか、じゃあ2~3日ゆっくり休んだらスコーピオン公爵領に送りますね」


「いいえ結構よ。ようするにシンさんから私を奥さんにしたいと思って貰えれば、問題無いって事で良いのよねアルテミス・ピスケス」


「ええ、シンが決めた事なら私が反対する理由はありません」


「スコーピオン公爵家の女はね、狙った獲物は絶対に逃さないんだから!しっかり見てなさいよねアルテミス・ピスケス、あなたにだけは絶対に負けないんだから!」


「シンさんの奥さんになるのに勝ち負けなどありませんけど、受けて立ちましょう。」



えぇー?!


とりあえず火花は消えたけど、話が変な方向に向かってしもてる気が、、、



「えっと、話も纏まった?みたいですし、アルテミスさんもペトルーシュカ様も一緒に、おやつのクッキー食べましょう。シェラさんも心配ですから」


「まぁシンさんがそう言うなら、アルテミス・ピスケスと一緒にクッキーを食べるくらい何の問題も無いけどね」



おおっ!


さすがタフガール、数分前まで鼻水を流して号泣してたとは思えないくらいに、見事なドヤ顔を決めているよ。


1人でさっさと我が家の玄関に向かうペトルーシュカ様に聞こえないように、俺はアルテミスさんに小声で話しかける。



「俺の力不足でアルテミスさんを悪役にしちゃいましたね、申し訳ありません。」


「あら?何の事でしょう。」


「普段のアルテミスさんを見てたら、他人にあのような言い方は絶対にしない事くらいは分かりますよ。」


「・・・・・えぇっ?!そっ、そそそそんなに普段から私の事を見てたのですか?」


「結婚するんですから、気になって見ちゃうのは当然でしょう。」


「あっ、はい、そうですよね、当然ですよね♪ペトルーシュカさんの事は私に任せて下さい。上手くやりますから!その代わり、これからも私の事を見てて下さいね(照)」


「勿論です!」






つづく。

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