第498話 ペトルーシュカ・スコーピオン

「リリー来てくれたのか!」


「ガルルッ♪」


「「「「「ひいっ(汗)」」」」」


「シルバーフルフ?!」「どうしてこんな場所に!」「ペトルーシュカ様こちらに避難を!」


「わぁーーー、皆さん大丈夫ですからー!リリーは魔物じゃなくて知り合いのペット?いや、リリーはイセガミさんを守ってるから、保護者?

とにかく、リリーは魔物じゃないんで大丈夫です!」




空腹で倒れたシェラさんをどうしようか悩んでいると、馬ぐらいの大きさに巨大化したフェンリルのリリーが迎えに来てくれた。


俺の心のヘルプが聞こえて来てくれたのだろうか?


とにもかくにも、リリーの気遣いが凄く嬉しい♪



だがしかし


ペトルーシュカ様の護衛やメイドの皆さんが、リリーを見て魔物と勘違いしてしまった。


見た事無いけどフェンリルのリリーは魔物の『シルバーウルフ』に似ているらしい。



「えっと、この白い魔、、、じゃなくてリリーさんは、シンさんの知り合いで間違い無い?」


「はいペトルーシュカ様、間違いありません。まったく危険は無いので皆さんに説明して下さい。」


「聞いた通りよ、問題無いからあなた達はここで任務完了、お疲れ様でした。父によろしく伝えておいて。」


「しっ、しかしペトルーシュカ様、本当に危険は無いのですか?」


「リリーさんのこのような姿を見て、あなたはまだ危険だと言うの?」


「いっ、いえ、しかし今は満腹だから襲わないだ、、ごにょごにょ、、、」



言ってる途中で護衛の騎士も自信が無くなったのか、最後の方はごにょごにょと声が聞こえなくなってしまった。


それも当然だろう。


助けに来てくれたリリーにお礼として、俺がワシャワシャ撫でていて、今は仰向けになったリリーのお腹をワシャワシャしている最中だ♪


こんな無防備な姿をしているリリーを前に、危険だとか言っても説得力など皆無!



「危険が無いと判断して我々は帰ります。ペトルーシュカ様お元気で」


パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ



短い挨拶の後、メイドさんは馬車に乗り込み、護衛の騎士は馬に乗ってさっさと帰ってしまった。



「ペトルーシュカ様、護衛はともかくメイドさんも帰っちゃいましたけど良いのですか?」


「いいわよ。どうせメイドが居た所でお茶を淹れてくれるだけだし、あの人達は全員スコーピオン公爵家に仕えているから、当主である父の言う事しか聞かないのよ。

父の命令も私をシンさんの元まで送り届ける事だから、どのみち長居はしないしね。」


「へぇー、まぁ我が家に滞在するなら、ペトルーシュカ様も御自身で色々やって貰わないと困りますけどね。分からない事はアルテミスさんや他の誰かに気軽に聞いて下さい。」




「シルバーウルフさん、今の私を食べても美味しく無いですよ?」



あらら


空腹で横になって動かないシェラさんをリリーが鼻でツンツンして遊んでいるけれど、シェラさんはもはや動く気力も無いようだ。



「リリー、悪いけどシェラさんを乗せて家に戻ってくれる?お礼として夕食にフライドチキン出すからさ」


「ガウッ♪」


「わっ?!」


ドサッ


おおっ!


リリーが鼻先でシェラさんを空中に放り投げ、そのまま背中でキャッチして足取り軽く家に戻って行く。


ふふっ


リリーはよほどフライドチキンを食べられるのが嬉しいんだろうな♪



「ペトルーシュカ様、我々も行きますよ。」


「ええ、それよりも私の事はペトラって呼びなさいよ!どうしてシェラだけ愛称で呼んでるのよ!」


「えっと、シェラさんは護衛で貴族じゃ無いからでしょうか。ペトルーシュカ様は公爵令嬢ですから、相応しい接し方をしているだけですけど」


「むぅっ(泣)やっぱりシンさんは私の事が嫌いになったって事なんでしょ?」



おぅふ


ペトルーシュカ様が涙目に(汗)



「シンさんよろしいてすか?」



ゾワッ


さっ、寒い!


声をかけて来たアルテミスさんの顔を見たら、何故かとっても背中が寒いんですけどー(汗)



「あっ、はい、何でしょうアルテミスさん」


「シンさんはそこの我儘で生意気な小娘を妾にする気なのですか?」



ゾワッ!


やっぱり背中が寒いよぉー!



「なっ?!我儘で生意気な小娘って私の事かしら?」


「貴女以外に居ないでしょう。」


「言ってくれるわね、出戻りの年増女のくせに!」


「「ぐぬぬぬっ!!」」



なんかよく分からんけど、アルテミスさんとペトルーシュカ様が睨みあって、バッチバチに火花が飛んでるんですけどぉー!


おーい、リリー!


夕食に山盛りチキンナゲットも付けるから戻って来てくれぇー(泣)






つづく。


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