第495話 クッキー作り
「にゃっにゃにゃ、にゃ~にゃにゃ、にゃ~にゃ~にゃ♪」
「わん、わわん、わうわう♪」
「ふふ~、ふっふ、ふぅ~♪」
こっ、これは、、、
楽園や!
我が家の厨房がもふもふ達の楽園になっとる♪
「ねぇダンナァ~、これハミングバードに見えるかなぁ?」
「うーん、もう少しクチバシを長くしたら良いんじゃないか?」
「クチバシ?、、、うん、頑張る!」
製菓道具としてスキルの「店」でまとめ買いしたクッキーの抜き型に、残念ながらハミングバードは無かったけれど
スズメっぽい抜き型の鳥のクチバシを長くすれば、ハミングバードに見えない事も無いだろう。
なんと今日は珍しく池田屋商会が臨時休業している。
なのでたまには従業員と親睦を深めようという事で、我が家の厨房に従業員を呼んで一緒にクッキー作りをしている。
我が家の厨房に集まった従業員達は、猫耳獣人のミーナを中心に、フェンリルのリリー、犬耳のスミレ、狐耳のスージィーの獣人達が、鼻歌を歌いつつふさふさの尻尾をフリフリしながらご機嫌にクッキーを作っていてここはまさに
もふもふパラダイスや♪
ちなみに池田屋商会が臨時休業している理由は、数日前からバルゴ王国を台風が縦断しているらしく、王都を中心に主要な街道が使えなくなって商人が来なくなってしまったからだ。
『飲食物を扱う商会は非常事態に備えて休業し食物を備蓄せよ!』というキャラバンシティの領主代行であるアストレア様の命令に従っているという訳だ。
アストレア様は状況確認の為にピスケス領に帰っているけど、キャラバンシティだけなら俺のチート能力でどうにでもなるから
周辺地域への対応策なりなんなりをしっかり話し合って来て欲しい。
「ご主人様、名前用のクッキーが焼き上がりました。」
「あいよ~」
ぼーっとしてる場合では無かった。
俺はこれから丸く型抜きしたプレーンクッキーに、チョコペンで従業員全員の名前を書かなくてはいけないんだ。
最初はスミレ、カスミ、コニー、フラニーの4人だけの予定だったのに、ケイト、ミーナ、スージィー、アンさんも名前入りのクッキーが欲しいとブーブー言い出したもんだから
こうなると従業員全員に名前入りクッキーを用意しないと不公平になっちゃうからって事で、急遽名前入りクッキーを量産している。
しかも完成したクッキーは俺が直接手渡ししないといけないらしく、理由を聞いたら『ご主人様の手作りは絶対直接貰いたい!』と言われてしまった。
俺が作ったクッキーで喜んで貰えて、尚且つ仕事も頑張るって言ってくれるんだから、俺も頑張り甲斐があるよ。
ただなぁ
チョコペンで文字を書くって案外難しい。
時間がたつとチョコが固まって出て来なくなるから、定期的にチョコを温めて柔らかくしないといけない
従業員の半分くらいの名前を書いたところでいったん休憩しよう。
型抜きして残った生地をそのまま焼いた変な形のクッキーをボリボリ食べながら、厨房の窓からぼーっと外を眺めて気分転換をする。
ボリボリボリボリ、、、ん?
我が家を囲む塀の前の道を黒塗りの立派な馬車が3台通り過ぎて行く。
あの馬車、30分くらい前にも通らなかったかな?
ここからだと黒塗りの馬車に誰が乗ってるのか分からないけれど、あんな立派な馬車に乗ってるのは貴族か馬鹿な金持ちだろうから
関わらないに限る!
ガチャッ!
「シン君ここに居たのね!」
「ミリーさんお帰りなさい。今日はもう仕事終わったんですか?」
まだおやつの時間には早いのに、ミリーさんが商業ギルドから帰宅するのは珍しい。
「仕事をしてる場合じゃないわよ。スコーピオン公爵家の使いの人が来て、シン君を探しているって言うんだもの。いったい何をしたの?」
「何かをした前提で話すのは止めて下さいよ。スコーピオン公爵家と俺に接点なんか無いんですから」
「えっと、シン君はペトルーシュカ様と結婚するのよね?」
「あ゛っ!、、、すっかり忘れてましたよ、アハハハ。でも何で俺を探してるんですかね?普通に家に訪ねて来たら済むでしょうに」
「それは知らないけど、住民からも貴族の馬車が街中を走り回っていて怖いって苦情が来てるのよ」
「街の人達に迷惑をかけているなら何とかしないといけませんね。とにかく行って来ます。」
とまぁ外に出て来たのは良いけれど、走り回ってる馬車を探すのはとても面倒だ。
待ってたら30分後くらいに戻って来たりしないかな?
つづく。
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