第493話 カレーのちょいがけ
「という訳で、アストレア様は今日からみんなの『おかあさん』になりまーす。」
「右も左も分からない若輩者の『おかあさん』ではありますが、宜しくお願い致します。」
『『『『『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ』』』』』
昼食の時間に我が家のみんなに、アストレア様がみんなの『おかあさん』になった事を伝えたんだけど、、、
何故だろう
みんな自然に受け入れ過ぎじゃね?
『おかあさん』になった途端、ケイトとアストレア様がめっちゃ楽しそうにお喋りしてるしさ
「ねぇダンナ、ちょっとだけカレーが欲しいんだけど」
「朝もナンとカレーだったのに、昼もカレー食べるのか?」
今日の昼食はオムライスだけど、我が家ではテーブルにケチャップやら各種ソースが並べられていて、それぞれが好きにソースを選んでかけて食べるスタイルだ。
そして俺の居るテーブルの上には、おかあさんが作った『おじや』も置いてあるからオムライスは少なめになっている。
だからミニオムライスにカレーをちょいがけして食べるのは有りだろう。
とは言え
朝と昼で続けてカレーを食べるのはどうかと思う。
「シンさん駄目かしら?ケイトちゃんがカレーをかけて食べるのも美味しいって教えてくれたから気になっちゃって。豚カツにもカレーが合うんでしょ?」
そう言えばケイトはビールのつまみに、豚カツにカレーをかけて食べるのが好きだったっけ
「まぁ食べたいって言うなら構いませんけど。アルテミスさんこの袋温めて貰えます?」
「はい、任せて下さい。」
収納からレトルトカレーを取り出してアルテミスさんに渡す。
こういう時はアルテミスさんの物を温める魔法がとても便利だ♪
「これくらいで良いですか?」
「どれどれ、、、充分です。アルテミスさんありがとうございました。ほらケイト」
「アルテミスさんにダンナ、ありがとねぇ♪おかあさんのオムライスにカレーかけてあげるね」
「ふふっ、優しい娘が増えて嬉しいわ♪でも全部は多いから、ケイトちゃんと半分にしましょう。」
「りょうかーい」
「あのっ、お母様とケイトさんはいつの間にそんなに仲良くなったのですか?」
アルテミスさんの疑問も納得だよ、マジでおかあさんになったからって急激に仲良くなり過ぎやろ!
もしかして『おかあさん』という言葉は、超古代文明の失われた魔法の言葉だったりするのだろうか?
「んー、さっき?」
「親子の仲に時間は関係ないのよアルテミス。それと私は今日からみんなの『おかあさん』になったから、他の呼び方では返事しませーん♪」
「えっと、、、シンさんこれはいったいどういう事なのでしょうか?」
「俺とアルテミスさんが結婚したら、アストレア様は俺の義母になる訳ですけど。俺の奥さん達にとっても義母になる?のかどうかは分かりませんけど、呼び方を統一しないとややこしいですから『おかあさん』としました。」
「そうですか、シンさんが決めた事なら私に否やはありません。ちなみにお母様の圧力があった訳では無いですよね?」
「はて?お母様とは誰の事なのかさっぱり分かりませんが」
「やはりこれはお母様がシンさんに圧力をかけて決めたのですね?」
「創造神様に誓って圧力をかけられていません。おかあさんになった事でアストレア様とケイトの仲も良くなりましたし、スミレも話しかけやすくなったので、プラスの効果は多かったと思います。
無理は言いませんけど、アルテミスさんも『おかあさん』と呼んでみませんか?」
「え゛っ?!わっ、私がですか?お母様はお母様ですので、別の呼び方をするというのはちょっと、、、」
「大丈夫よアルテミス、『お母様』と呼ぶように厳しく躾たのは私だもの、無理はしないで。」
うーむ
おかあさんが落ち込んでしまった。
こればっかりはチート能力でも神頼みでも解決の糸口が見えないよ(悲)
クイックイッ
ん?
服を引っ張られている感覚があったから原因を探すと、、、
カスミ?!
何故かカスミが凄く悲しそうな顔で俺の服の裾を持って立っている。
「カスミどうしたん?」
「おかあさんが悲しそうにしてると、私も悲しいです。」
「そうか、カスミは優しいなぁ、ほれっ♪」
「くしゅぐったいれひゅ♪」
ふふっ
久しぶりにカスミの顔をむにむにしてみるけど、肌のスベスベ具合がレベルアップしとる♪
こんなに頬がスベスベで可愛いカスミに、悲しい顔をさせた奴を俺は絶対に許さん!
「アルテミスさんちょっと」
「なっ、なんでしょうかシンさん」
「俺の両親は既に亡くなっています。だから思う事なのかもしれませんけど、もっと両親に甘えておくべきだったと。照れとか色々あって、大人になってから両親に甘えるなんて出来ないのが普通です。
でも、少しくらいは甘える努力をしてみるべきではないでしょうか?
まぁ今の発言は、甘える相手が居る人への嫉妬心から出たただの独り言ですけどね。」
「わっ、わたしだって、、、わたしだって、、えっぐ、ひぐっ(泣)」
あ゛っ(汗)
やべぇよ、さすがに言い過ぎたか
「あー、ダンナがアルテミスさんを泣かせたぁー!」
「ちょっと待てケイト!確かに俺が泣かしたけれど、今それを言うと事態が悪化する」
「わぁーーーーーーー(泣)」
おぅふ
恐れていた通り、アルテミスさんが大号泣してしまった。
「アルテミスが人前で泣くなんて5歳の時以来ね。大丈夫よアルテミス、今のあなたは人前で泣いて良いの。
シンさんと結婚するんでしょ?これからは我が家の事よりシンさんと一緒に幸せになる事だけを考えなさい。それだけで、おかあさんは幸せだから」
「おっ、、おが、、おがあ、、、、、さん゛(泣)」
「ふふっ、それで充分よ♪」
ぎゅうぅぅぅ!
まさかアルテミスさんが5歳の時から人前で泣く事を許されない生活をしていたなんてなぁ、改めて貴族って大変だなと思う。
、、、むむっ?!
アストレア様の胸に顔を埋めているアルテミスさんが、両手をだらんと下げて全く動いてないって事は、、、
あかーん!
「アストレア様ぁー、そのままだとアルテミスさんが綺麗な花畑に行っちゃいますよぉー(汗)」
「あらあら、ついうっかりしてたわ。アルテミス大丈夫?」
「、、、、ぷはぁっ?!、、はぁ、、はぁ、、、あっ!おかあさんただいま、さっきまでね綺麗な花畑に居たの♪」
「あらあら、そんなに綺麗な花畑なら私も見たいわ」
「今度はおかあさんも一緒に見ようね♪」
「約束ね♪」
あれれ?
よくわからんけど丸く収まった、、、のか?
花畑を見たショックでアルテミスさんが幼児退行しているような気がするけど、、、
まっ、2人とも素敵な笑顔だし
問題なんて、ないない♪
つづく。
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