第483話 料理対決・焼きvs炒め
「お待たせ、これがクムクムだ。」
グロリアさんが持って来た桶の中を覗き込むと、黒い色の細長い生き物が5匹、ウネウネ動いている、予想通りこれはウナギだ!
生きてるウナギなんてテレビでしか見た事無いけど、天然物の太いウナギやん♪
「とても立派なクムクムですね♪」
「そうだろう♪この大きさのクムクムはなかなか捕れないよ」
「良ければこのクムクム売って頂けませんか?」
「ナッ、ナガクラ君?!まさかクムクムで料理をする気なのかい?」
動いてるクムクムを見てステフ様がめっちゃ驚いている。
「これだけ立派なクムクムですから、脂も乗って美味しいと思うんですよね。どうでしょうグロリアさん、売って頂けますか?」
「うーん、メイド達の夜食にしようと思ってたんだけど、、、1匹だけなら無料で構わない」
「じゃあ遠慮無く、、、」
むむっ!
なんだか背中にとっても熱い視線を感じるので振り向くと、部屋の隅で控えているメイドさん達がめっちゃ俺の事を見ている。この視線の意味するところは、、、
「メイドさん達の夜食にするなら遠慮し、、、」
違うみたいだな、メイドさん達が全力で顔を横にブンブン振っているもの
「ナガクラ殿?」
「いえ何でもありません。出来ればクムクムは5匹全部欲しいので、、、ブリと交換しませんか?グロリアさんも見た事無い魚だと思うんで、捌く練習がてらブリで夜食を作れば良いと思うんですけど」
「ブリ?料理人として知らない食材を手に入れるチャンスは逃せないね!良いだろうブリと交換だ。」
「ありがとうございます。」
ほっ
メイドさん達も心の汗を流しながら無言でバンザイ三唱しているよ(笑)
無事にクムクムと言う名前のウナギを入手出来たし、新鮮なうちに捌いて蒲焼きにしてみよう♪
「ニィナ悪いけど、お母さん、カスミ、ヨウコさんを呼んで来て貰える?」
「かしこまりました。」
「あとクレアさんもこっちに引っ越して来たんだっけ?」
「そうですね、事務員のアカリさんと相部屋だったはずです。」
「じゃあクレアさんも呼んで来て貰って、ウナギの捌き方と焼き方が書いてある本を渡すからみんなに頑張って貰って」
「旦那様がそこまでされるという事は、お酒に合うのですね?」
「勿論だよニィナ。日本酒に合わせるなら白焼きにしてワサビと醤油で食べたら最高だろうな♪」
「ではこちらはお任せ下さい。勝利の美酒と共に最高の白焼きを用意しておきますので!」
ふふっ
ニィナって意外と酒好きなんだよなぁ。
「アストレア様、そろそろ料理対決を始めませんか?」
「ええ、ではルールを説明するわね」
【料理対決ルール】
1、米をメインにする事
2、使える調味料は塩・胡椒・味噌・醤油の4種類のみ。
3、使える食材は街で買える物に限る。
4、制限時間は30分。
「シンさんにグロリアもルールは理解したわね?」
「問題ありません」
「私も大丈夫です。」
「では料理対決開始!」
米料理対決となると元日本人の俺が断然有利、、、と油断は出来ない!
ピスケス領は米の栽培が盛んだから、グロリアさんも普段から米は使ってるだろう。
となると何を作るかだよなぁ、制限時間と使える調味料を考えると『牛丼』が良さそうに思うけど
牛丼は「米より肉がメインだろ!」って難癖を付けられる可能性が無いとは言えないから、、、焼き飯にしよう♪
具材は『卵・ネギ・ハム』の3種類に、塩と胡椒で味付けして、最後に香り付けに醤油を少し加えるだけのシンプル料理だ。
こっちは作り始めたら5分で完成するから、グロリアさんの様子を見ながら時間調整が必要だな。
グロリアさんはどんな料理を作るのかなぁっと、、、ん?
何故か炊いた米を木枠に入れてギュッと押し込んでるけど、あれはまさか『押し寿司』を作ってるのか?
それにしては具材が見当たら無いんだけど、、、
ギュッと固めた米を木枠から取り出して米の表面に味噌を塗ってから網に乗せて、、、火で炙ってる!
マジかよ
まさか『味噌焼きおにぎり』を作るとは、グロリアさんやりおるぞ!
まぁ米は握って無いから『味噌焼き押し飯』とでも言うべきだろうけど
すぅーはぁー、すぅーはぁー
味噌が焼ける匂いがたまらんな♪
料理対決に関係無く俺も夜食として焼きおにぎりを作ろう。
ほぐした焼き鮭を具としておにぎりに入れてと、せっかくだから味噌もひと手間加えよう。
『味噌・酒・みりん』を混ぜておにぎりに塗ったら、網に乗せて炭火で焼く。
うーむ
せっかくなら『肉巻きおにぎり』とか、お金が無い時によく作って食べてた、めんつゆに浸した天かすと紅ショウガを混ぜた『天丼風おにぎり』も食べたい。
引っ越しと共に我が家の腹ぺこ娘も増えた事だし、今宵はおにぎり祭りで満足させてやろうじゃないか
ふははははははは♪
つづく。
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