第480話 友人を出迎えよう。
「なぁ旦那、凄い勢いでこっちに向かって来てる土煙は知り合いって事で大丈夫か?」
「確認するからちょっと待ってねロブさん」
双眼鏡を覗いて土煙を出している原因を探すと、、、、、居た!
恐ろしいほどのスピードで自転車のペダルを漕いでいるにもかかわらず、はちきれんばかりの笑顔で街道を疾走しているのは
俺の『友』ステフ様だ!
「ロブさん、あれは間違い無く知り合いだから他の門兵の皆さんにも伝えてくれるかな」
「分かった!」
返事をしたロブさんは早速石壁の上から、ハンドサインで下に居る門兵仲間に『問題無し!』と伝えている。
今俺が居るのはキャラバンシティの東門の石壁の上で、隣には門兵のロブさんが居る。
何故石壁の上に居るかと言うと、アストレア様がステフ様に、俺とアルテミスさんが結婚する事を通信の魔道具を使って教えたところ
「直接お祝いを言いたいから今から行くねー!」って超テンション高く言い放って通信が切れたからだ。
脳筋体質なステフ様がテンション高くなったら、はっきり言って恐怖しか無いわ!
という事で、急いで石壁に登って監視する事数時間、自転車で爆走してるステフ様を発見したという訳だ。
今もこちらに凄い勢いで近付いて来る土煙を何も知らない人が見たら、賊か魔物の襲撃と誤解されて今頃キャラバンシティはパニックになってただろうな。
キキィーーーー!ズザザザザザッー!
おおっ!
恐ろしいほどのスピードを出して自転車で爆走していたステフ様は、石壁の上に居る俺に気付いたのか、自転車を横滑りさせながら門の手前で停車した。
俺がプレゼントしたスポーティーな自転車にまたがるステフ様は、乗馬をする時の服装だからちょっとアンバランスだけどな(笑)
「あれ?ナガクラ君じゃん、何してるの?」
「ステフ様が来るって言うから待ってたんですよ。それより1人で来たんですか?」
「護衛のリィファとエミールも一緒だよ、、、っていうか2人が居ないね」
そらそうでしょうね
ステフ様の異常なスピードに付いて来れる人なんて、バルゴ王国中を探したって数えるほどしか居ねぇーよ!
「「ぜぇー、はぁー、ぜぇー、はぁー(汗)」」
「スッ、ステファニーさまぁ~、ゲホッ、、、護衛を、、、ゴホッ、、置いて、、行かないで、、、」
「げっ、限界だ、、、にゃ~(汗)」
あらら
ステフ様といつも一緒に居る2人の護衛がフラフラしながら到着だ。
人族で銀髪のリィファさんと、ヒョウの獣人のエミールさんが、汗ダクで疲労困憊になりながら、最後の力を振り絞るように自転車のペダルを漕いでいる。
ステフ様から追加で自転車が欲しいって言われたから贈ったけど、リィファさんとエミールさん用の自転車だったのか。
そして2人も練習をして自転車に乗れるようになったんだな♪
っていうか2人に回復薬を飲ませなければ!
「リィファさん、エミールさん、回復薬を持って来ました飲んで下さい!」
「あっ、ありがとう、、ございます。んぐんぐ」
「助かった~、んぐんぐ」
「「もう体力が戻った?!」」
ほっ
俺の製薬スキルで作った回復薬を飲んで無事に体力が回復したらしい。
「ステフ様、2人を過労死させる気ですか!」
「ええー?!こういう時の為に日頃から鍛えてるんだから大丈夫だって♪」
おーいステフ様ぁ~、護衛は自転車レースをする為に居るんじゃありませんよぉ~
「とにかく、3人とも我が家のお風呂に入って汗を流して下さい。新居に引っ越したんでお風呂も広いですから」
「やったぁー!」
今日の俺は珍しく予定が詰まってるから、さっさと我が家に帰らねば!
予定が詰まってる原因は今から7日前
アストレア様から「我が家の料理長と料理対決をして貰うから宜しく♪」って言われたからだ。
ピスケス伯爵家に仕える料理長さんとしては、俺とアルテミスさんの結婚式の料理を作りたいって事らしいのだが
アストレア様もアルテミスさんも料理長さんに任せるのは駄目っぽい。
そこで俺と料理対決をして、料理長さんが負けたら諦めて貰う作戦を勝手に立てられてしまった。
まぁ料理対決なら怪我をする事も無いから良いけど、どうなる事やら。
つづく。
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