第479話 デザートといつものなんやかんや

「はぁ~、ウィスキーが冷たくて美味しいわ♪」



創造神様とちーちゃんさんが帰った後、おでん屋はデザートタイムになっている。


本日のデザートはアルテミスさんの魔法でレモン果汁を凍らせて作った『レモンシャーベット』


オリビエさんだけは『ウィスキーシャーベット』だけどな(笑)


日々の努力の成果なのか、アルテミスさんの魔法はウィスキーも凍るという恐ろしいほどの威力になっている。


だけどアルテミスさんは魔法の威力や精度に不満があるらしく、この事は未だに誰にも言わずに秘密にしているらしい。


母親であるアストレア様には教えても良いと思うんだけど、他人の俺には分からないなんやかんやがあるんだろう。



「シンさんにはピスケス領に来て貰って、特産品になるような物を見付けて欲しいわねぇ♪」


「アストレア様申し訳ありませんが仕事が忙しいので無理です。」


「ふふっ、忙しいと言いつつもまたサウスビーチに行ってたんでしょ?

ソレイユさんからわざわざ通信の魔道具を使って連絡があったわよ、お陰で通信の魔道具が魔力切れしたらしいけど(笑)」


「サウスビーチに行ったのは将来を考えての事でして(汗)」


「分かってるわよ、ソレイユさん、ステフちゃん、シンさん、私の4人で通信のホットラインを繋ぐんでしょ?」



あぁ~


本当はゲオルグ様とレヴァティ様も入ってるんだけどなぁ


まっ、まぁ実際にホットラインを繋げばゲオルグ様とレヴァティ様も仲間に入れて貰えるだろう。



「その通りです。私が用意した通信の道具であれば盗聴の心配も無いと思います。

なのでアルテミスさんと結婚した後にでも、通信の道具を設置しにピスケス領に遊びに行こうかと考えています。」


「あらあら♪シンさんなら準備も直ぐでしょうし、式は3日後で良いかしら?」


「アストレア様、さすがに3日では招待客が来られませんよ(汗)」


「旦那様もソレイユさん達もステフちゃんも、シンさんから貰った自転車で来るんだから明日中には到着するでしょ?

だから何の問題も無いわね♪」



問題ありまくりですよぉー!


レヴァティ様もゲオルグ様もステフ様も、貴族家の当主が簡単に自分の領地から出て来れないのは、俺でも知ってる簡単な事ですからね!



「おっ、お母様、ナガクラ様の御家族の都合もありますから、最低でも30日程度の準備期間は必要かと」


「アルテミスさんの言う通りです。ウェディングドレスもウェディングケーキもまだ出来ていませんし、ケーキに関しては創造神様も楽しみにしておられるでしょうから、時間をかけて丁寧に作る必要があります。」


「創造神様をがっかりさせる訳には行かないわね。

式の日取りは後日決めるとして、シンさんには我が家の料理長と料理対決をして貰うから宜しく♪」


「は?あの、アストレア様、意味が分かりません。」


「それがね、アルテミスが再婚するって聞いた我が家の料理長が、結婚式の料理は任せてって言うのよ」


「なら任せて良いのでは?」


「まぁ結婚式の主役が良いって言うなら私は構わないんだけど、アルテミスはどうなの?」


「えっ?!えーーーーーーーーーっと、、、シンさんにお任せします。」



はい


理解でーす。


あきらかに挙動不審になったアルテミスさんを見たら、料理長さんに任せるのは問題があるんだろうなって事ぐらい簡単に分かるよ。



「アストレア様、料理長さんはどのような料理を作るんですか?」


「あの子は伝統的な料理が好きだから、『クムクムのゼリー寄せ』とか『プメプマの姿焼き』が得意よ」


「うぇっ(泣)」



トカゲの姿焼きでも作るのかと思ったら、予想外に可愛い響きの料理名だな


だがしかし


料理名を聞いただけでアルテミスさんがスゲェー嫌そうな顔をしてるって事は、相当クセのある料理なんだろう。



「アストレア様はクムクムとプメプマは好きですか?」


「うーん、伝統的な料理って色々と意味のある料理よね」



好きかどうかを明確に言わないって事は、完全に答えを濁されましたよぉー。


元の世界でも長く続く伝統って、次世代に引き継いで行きたい人達と、今の時代にはそぐわないから廃止した方が良いんじゃない?


っていう人達とでしばしば揉めてるよな。



しかし料理対決かぁ


チート能力を使って良いなら勝てると思うけど、そうじゃないならプロの料理人に俺が勝てる見込み無いんだけど


仮に負けてもメイン料理は向こうが作って、デザートは俺が作るとか落としどころはあるだろう。


とにもかくにも、第4夫人のアルテミスさんの為にも


頑張りまっせ!





つづく。

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