第477話 『おでん屋』それはみんなの心のオアシス その2
「ところでナガクラ様、おでんと別に火にかけている小さい鍋は何ですか?」
おでん屋の隅っこでピスケ酒をちびちび飲みつつ、リリーと一緒におでんを食べていると
お客の皆さんにおでんを取り分け終えたヨウコさんが、厚揚げを山盛り乗せた皿を持ってこちらにやって来た。
「そっちの鍋はヨウコさん用の新作おでん『卵巾着』ですね。
途中で卵が崩れると出汁が濁るから、他のおでんの具と別にしてたんだよ。」
「たまごきんちゃく?」
「薄揚げの中に生卵を割り入れて口を閉じてから、おでん出汁で煮込んでみました。」
「なっ、なななんと?!お揚げさんと卵を一緒にするなんて、、、ナガクラ様はお揚げさんの神ですか?」
「うん、違うね。
どっちかと言うとお揚げさんの神は、キツネの神獣であるヨウコさんの方が似合うんだけど、、、まぁ良いか
卵巾着は朝から煮込んで味を染み込ませたのと、さっき煮込み始めて卵が半熟のと2種類あるけど」
「両方食べます!」
ですよね~(笑)
「わふっ!」
「はいはい、卵巾着はリリーの分もちゃんとありますよ~っと、どうぞ」
「わんっ♪」
「リリーさん、朝から煮込んだ卵巾着が絶品です!」
「わぅ?わふわふ」
「そうですね♪」
ふふっ
リリーとヨウコさんが2種類の卵巾着を食べ比べて、お互いに感想を言い合っている姿はなんとも不思議な光景だな。
「「ごしゅじんさぁ~まのおでんっ屋~♪ごしゅじんさぁ~まのおでんっ屋~♪」」
待て待て待て!
おでん屋のカウンターの端に座っているネコ耳とキツネ耳の獣人ペアに告げる、変な歌を歌うんじゃあ無い!
「ミーナにスージィー、おでん屋を楽しんでくれてるのは嬉しいど、歌わなくても大丈夫だからな」
「「ええー?!」」
「せっかくご主人様のおでん屋に来たのに、この喜びを表現しにゃいと創造神様に叱られます!」
「ミー姉さんにマジ同意だよ。ご主人様のおでん屋に来たいって子は他にもいっぱい居るから、ちゃんと感謝して楽しまないと神罰が下るじゃん」
商会の従業員(主に奴隷)の皆が、俺のおでん屋に客として来るのを楽しみにしてるのは知ってるけど、それと創造神様は関係あるのか?
「そらぁウチらもおでんは食べたいやん、神罰はおでん屋を壊そうとしたらあるかもやね。大根と卵巾着ちょうだい♪」
「私は厚揚げ、コンニャク、牛スジ、、、ピスケ酒の出汁割りも良いですか?」
「え゛っ?!」「ゲッ?!」
「あらあらあらあら♪」
おぅふ
いつの間にやら、ちーちゃんさんと創造神様が降臨しておでん屋のカウンターの前に座っとるがな!
しかも今日の2人は光少なめで、なんとなく表情と着ている服が見える
ちーちゃんさんがショートパンツとTシャツ、創造神様は白いワンピースを着ているっぽい
2人の姿を見たミリーさんは頭を抱えてしまっているけれど、アストレア様はとても嬉しそうだなぁ
ヨウコさんに関しては、さきほどから椅子の上で正座して頭を下げたまま微動だにしていないもの。
とにもかくにもファイトやでヨウコさん!
そして他の皆さんは、、、
触らぬ神に祟りなしって感じでひたすら平静を装っている。あきらかに酒を飲むスピードが早くなったのは、まぁ気持ちは分かるから存分に飲んで下さい。
のんきに皆さんの様子を見ている場合では無かった。
ちーちゃんさんと創造神様に早くおでんを出さなければ!
「ちーちゃんさん、創造神様、お待たせしました。ちーちゃんさんは飲み物どうします?」
「せやねぇ、、、そしたら缶チューハイが飲みたいたいなぁ」
「缶チューハイで良いんですか?私のスキルで出す事になりますけど」
「勿論ええよぉ、味はシークワァーサーにしてな」
「そう仰るなら、、、はいどうぞ」
「プシュッと、いただきまーす。んぐんぐ、、旨っ!レモンとは違った酸味と苦味やね♪」
「こっちの出汁割り酒も凄く美味しいわ♪おかわり貰えるかしら?」
「はい、喜んで!ちょっとヨウコさん、いつまでも頭を下げてないで、お客さんにお酒のおかわり出して下さいよ!」
「ちょっ、ちょっとお待ち下さいナガクラ様!神という存在を『客』扱いするのは、、、(汗)」
まったくヨウコさんは何を焦っているのやら、俺にはさっぱり分からんぜ。
「ヨウコさん、ここは俺のおでん屋です。誰であろうと、おでん屋に来たら皆等しく『客』です。
例外はありません!」
「ええっ?!」
「あはははは、ええやんええやん♪大将チューハイおかわり~♪」
「私もおかわりお願いしま~す♪」
「はい、喜んでー!」
ふっふっふっ
今日のお客は随分とノリが良いねぇ
楽しい夜はまだまだこれからだぜ!
ふわぁっはっはっはっはっ♪
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。