第468話 帰宅は焦らずゆっくりと

チリンチリーン♪


「「「「「ナガクラ様ぁー、お元気でぇー!!」」」」」



サウスビーチでのやる事も終わり、俺とニィナは自転車に2人乗りしてサダルスウド侯爵邸を後にする。


ただなぁ


サダルスウド御一家より、メイドさん達の方が名残惜しそうに俺達を見送ってくれているのはどうなんだろう?


まぁ今回もメイドさん達にはクッキーやマドレーヌといったお菓子、ハンドクリームやリップクリーム等々を差し入れしておいたから、そのお陰だろうな



「なぁニィナ、薬師のナタリアさんにも挨拶しておきたいから薬師ギルドに寄ってくれる?」


「はーい」


チリンチリン♪




キキィーッと、あっという間に薬師ギルドに到着。


サウスビーチの薬師ギルドは海の家っぽい見た目と、アロハシャツっぽい服を着た職員さんが居るお陰で、南国のリゾートホテルのカフェみたいな雰囲気が漂っている。


さてと


ナタリアさんは居るかなぁ?


っ?!


薬師ギルドの受け付けに座ってる職員のお姉さんと目が合った瞬間、驚いた顔でめっちゃ見られてるんですけど(汗)


スタスタスタ、、ガシッ


「いらっしゃいませ♪池田屋商会のナガクラ様ですね?」


「あっ、はい、会長のシン・ナガクラですが何か?」



受け付けから出て来た職員のお姉さんに何故か笑顔で腕を掴まれてしまっているのだが、これは考えんでも良くない流れのやつやん(悲)



「ギルマスを呼びますので少々お待ち下さい。」


ジリリリリリリリリリリ



わぁお!


職員さんが受け付けに置いてあったボタンを押すと、ギルド内にベルが鳴り響いた。


ベルの魔道具かぁ、旅館みたいになった我が家ならあると便利だろうなぁ~。



ドタドタドタドタドタ!


むむっ?


2階から凄い勢いで誰かが降りて来る



「あっ?!でかしたイザベル!そのままナガクラ君を離すんじゃない!」


「了解です!」



待て待て


俺は指名手配の犯人とちゃうねんから、イザベルさんも了解せんでええねん!


2階から降りて来たのは薬師ギルドのギルドマスター、ナタリアさんだ。


元気そうで何よりだけど、俺はまた知らないうちに何かやっちゃったんだろうか?



「ナガクラ君久し振り、、、ってほどでも無いか。ニィナさんと結婚したんだってね、おめでとう♪」


「ありがとうございます。ナタリアさんも元気そうで良かったですけど、何で俺は逃げられないように腕を掴まれてるんですか?」


「それはナガクラ君のせいだからしょうがないよ。とにかく前回売ってくれた保存食をまた売ってくれるかな?ココに入るだけ頼むよ」


ガタガタガタ、、ガコッ


ギィィィ


突如ナタリアさんが受付の椅子の下にある床板を外すと、そこには50センチ四方の四角い鉄製の扉があり、その扉を開けると梯子があって更に地下には3畳くらいの空間がある。


ナタリアさんは下を指差して保存食を早く入れてくれと催促してくる。



「入るだけって言われても、かなりの量になりますから値段もそれなりになりますけど」


「お金は心配は要らないよ、後日にはなるけど請求書をくれればちゃんと振り込むから」


「俺も商人なんで買ってくれるなら売りますけど、、よいしょっと」


ドサッ、ドサッ、ドサッ、ドサッ


前回ナタリアさんに売った戦闘糧食のM○Eやらエナジーバーやらを、スキルの「店」で箱買いしてそのまま地下室に放り込んで行く。



「うん、それくらいで良いよ、ありがとう」



地下室の8割程が保存食の詰まった箱で埋まると、ようやくナタリアさんからストップがかかった。



「前回もかなりの量を売ったと思うんですけど、そんなに保存食を食べる機会があるんですか?」


「食べる機会と言うか、前回買ったのは全部強奪されちゃったからねぇ」


「ええっ?!」


「まぁ保存食を奪われた後に金貨の詰まった袋を置いていったから、全く損はして無いけど」


「ちょっと意味が分からないんですけど」



いや、これはマジで意味が分からないよ


貧しい人達に配る目的で、ネズミ小僧みたいな義賊が保存食を奪って行ったのか?



「池田屋商会は今や王国で知らない者は居ないくらいの大商会だからね。そこの会長が直々に売った保存食なら金貨を出しても欲しい奴は居るだろう。

貴族や商会の幹部クラスなら、ナガクラ君の似顔絵を描かせて部下に配って、ナガクラ君を見付けたら即連絡させるくらいはしてるよ。

まぁ前回はサウスビーチの冒険者ギルドと商人組合の連中の仕業だったけど」


「それなら直接俺と交渉すれば済む話でしょ?わざわざ金貨を払ってまで持って行く物じゃありませんよ」


「ナガクラ君って自分の価値を正しく理解して無さそうだよねぇ」


「うんうん!」



「「ふふっ♪」」



おぅふ


何故かナタリアさんとニィナがお互いにうんうん頷きながら、めっちゃ笑顔なんですけど(悲)


とは言え


ニィナに気の合う知り合いが出来た事については、俺も凄く嬉しいから何も言う事無し!





つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る