第467話 海苔あるある?

「ソレイユ様お待たせしました。先ずは揚げたてのキスの天ぷらです。お好みで塩か天つゆでどうぞ。」


「じゃあ最初は塩で、いただきま~す。あーんっ、サクサクサクサク、、、とても美味しいのだけど、シンさんの作った料理にしては凄く上品な味ね」


「あははは、私が作るのは子供も好きそうな料理ばかりでしたからね。天ぷらは料亭、、、高級な食事処で食べる定番の料理らしいですよ」


「そうなのね♪天ぷらならこのまま王宮晩餐会に出しても、他の料理に見劣りしないでしょうね」


「あの、ソレイユ様、一応断っておきますけど、私は王都には行きませんし、知り合いでも無い貴族の為に料理もしませんからね」


「あらあら、先手を取られてしまったわ(笑)」



めちゃめちゃ嬉しそうな顔で笑ってますけど、王族が住んでる王宮なんてマジで勘弁して欲しい。


王族なんて高貴な身分の方々は、顔がはっきりと見えない距離から眺めるくらいがちょうど良いよ。



そんな事よりも、寿司とおにぎりに使ってる『海苔』が受け入れられるかどうかが気になるんだけど、、、


おーい、メイドの皆さーん


おにぎりを取り合って喧嘩をするのは止めてぇー(汗)


皆さんお腹が空いててガッツリ食べたいのは分かるけれども、直ぐに追加を用意しますからぁー!



「旦那様、よろしいですか?」


「えっ?あっ、はい、ニィナどうしたの」


「野菜の天ぷらが無いのですけど」



ニィナさん目が恐いです(泣)



「えっと、サウスビーチの名物になるようにっていう目的の昼食で魚貝がメインだし、人数が多いから今日は野菜の天ぷらは勘弁して下さい。」


「そうですか、旦那様は私よりも他の方を優先されるのですね」



ええー?!


ニィナってこういう事はあんまり言わないんだけど、メイドさん達に体を隅々まで拭かれたのを引きずってるのかなぁ?



「ニィナさん、野菜では無いですけど、私が試作した海草の天ぷらで良ければ食べて下さい。」


「「うみくさ?」」



タコヤーさんが緑っぽい色の天ぷらを皿に乗せてやって来たんだけど、あれは何だ?



「海に沢山生えてたので天ぷらにしてみました♪私も試食して味は悪く無いと思うんですよね」


「ではひとつ、あーんっ」


「じゃあ俺も、あーんっ」



もぐもぐ、、、


こっ、これはワカメの天ぷらだ!


初めて食べたけど新鮮だからなのかめちゃ旨やな♪


そして絶対酒に合うだろう。これはドワーフの皆さんが喜ぶ事間違いなし!



「タコヤーさん、海草の天ぷらは素晴らしいです♪」


「ニィナさんありがとうございます。シンさんはどうですか?」


「酒の肴にも良いだろうし、栄養面を考えると子供のおやつにも良いと思います。」


「ほぉほぉ、子供向けのおやつですか。天ぷらは油以外の材料はそれほど経費もかかりませんから、新たな儲けのチャンスですね♪」


「じゃあエモンズ商会で『天ぷら』のレシピ買いませんか?」


「え゛っ?!レシピ登録すれば莫大な利益が見込めますよ?」


「お金よりは新鮮な魚貝が欲しいんですよね。だからエモンズ商会で天ぷらを独占販売して儲けて下さい。その代わり俺に新鮮な魚貝を優先的に安く売ってくれれば良いです。」


「いやいや、そんな事をしなくともシンさんや池田屋商会には、これからも優先的に売りますから!ただ、新鮮な魚貝となるとサウスビーチに来た時に限られますけど」


「それについては考えがあります。話す前にソレイユ様の許可が欲しいんで、行きますよタコヤーさん!」


「えっ?私も一緒にソレイユ様の所に行くんですか?!ちょっ、、シンさん心の準備がぁーー(汗)」



何やら急に焦り出したタコヤーさんの手を掴み、引きずるようにソレイユ様の所にやって来た。



「ソレイユ様少し相談があります。」


「あらあら、シンさんから相談って事は、また何か新しい事を始めるのかしら?」


「そんな簡単にホイホイ新しい事は思い付きませんって!」


「ふふっ、今までの事を考えるとその言葉は全く信用出来ないわよ。それで相談とは何かしら?」


「エモンズ商会にも荷台付きの自転車を提供して使って貰おうと思いまして。

そうすればキャラバンシティには新鮮な魚貝が、サウスビーチには池田屋商会で販売している日持ちのしない菓子やチャーシュー等の食べ物が流通しますから、経済効果はあるかと」


「ようするに、お互いが得をするウィンウィンな関係ね?」


「はい、お互いが得をする素敵な関係です♪」


「ふふふっ、やっぱり私はシンさんが大好きよぉ~♪」


『ぎゅぅぅ』



いつものようにソレイユ様に抱き締められ、胸に顔を押し付けられているけれど、何故かめっちゃ磯の香りがする、、、


あっ!


そういえばソレイユ様とゲオルグ様は海苔の味を確かめる為に、そのままパリパリ食べてたっけ


海苔をそのまま食べると、カスがけっこう飛び散っちゃうのは『海苔あるある』かな?


ソレイユ様とゲオルグ様が抵抗無く食べられるなら、新たな名産品として海苔も普及して行くだろう。


サウスビーチでのやる事も終わったし、ニックとレイチェルさんを迎えに行って、我が家に帰りますか。






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る