第465話 浜辺で朝食

現在


夜が明けてまだ間もない時間帯だけど、ニィナとメイドさん達と一緒に、海辺の岩にびっしりと付いてる『岩海苔』を採取している。


全員にゴム手袋、ゴム長、ライフジャケットを支給したから、遠くから見たら異様な集団に見えるんだろうなぁ



しかし


メイドさん達は海苔の採取なんて初めてのはずなのに、皆でワイワイガヤガヤ談笑しながらなのに、とんでもなく手際が良い!


侯爵家に仕えるならこれくらい優秀でないと駄目なんだろうか?


お陰であっという間に採取完了したから何も問題は無い!


全部は採らずに少し残してきたから、俺が帰った後も海苔が繁殖して継続的に採取出来るだろう。



「ナガクラ様、海苔の採取完了しました。これはそのまま食べるのですか?」


「そのまま食べるのも良いとは思いますけど、俺の求めているのはここから板状に広げて乾燥させて、『板海苔』として使いたいんです。先ずは綺麗に洗ってから簾に広げて貰えますか?」


「お任せ下さい!」






うーむ


自分で指示を出しておいて言うのもどうかと思うけど、専用の道具も無いのに次々に簾に海苔が広げられて、浜辺が海苔の黒さで徐々に塗りつぶされて行く光景は、控えめに言って『凄い』のひと言しか無い


それもこれも


人件費ゼロの人海戦術のお陰やな♪


このままお昼まで浜辺で自然乾燥させておけば大丈夫だろ。いざとなったら魔法でどうにか出来るしな。



「旦那様、凄くお腹が空きました(悲)」



あらら?


ニィナが空腹で悲しそうな顔をするのは珍しい。まぁ今朝は夜明け前からチャーハン作ってたから仕方ない


ここは手伝ってくれているメイドさん達の為にも、気合いを入れて朝食作りだ!



まず用意しますのは『池田屋こども園』で作っているコッペパン


このコッペパンに切れ込みを入れてバターを塗る、次にレタス、アボカド、クリームチーズ、スモークサーモンを挟んでマスタードとマヨネーズを混ぜたソースをたっぷりかけたら


スモークサーモンサンドの完成♪


お好みでカラシとマヨネーズを混ぜたソースをかけてもOK!



デザートは少し手抜きをして


プリン、マンゴー、イチゴ、サクランボをお皿に乗せて、ホイップクリームで飾りつけをした『プリンアラモード』


なかなかのボリュームになってしまったけど、皆さん夜明け前から働いているから余裕だろう。



「皆さーん、いったん手を止めて朝食にしましょう」


「「「「「はーい♪」」」」」



「では、いただきます。」


「「「「「いただきまーす♪」」」」」



ふふっ


メイドの皆さんは豪快にスモークサーモンサンドにかぶりつき、口の端にソースを付けながらとても美味しそう食べてくれている


凄く豪快な食べっぷりなのに、優雅に食べているようにしか見えないのは何なんだろうな(笑)



「ナガクラ様、このプリンアラモードというデザートは、マンゴープリンより豪華に見えるのですが、私達が食べて良いのでしょうか?」



メイドさん達の食べっぷりを見てほんわかしていると、中学生くらいに見える若いメイドさんがやって来た。


見覚えが無いから新人さんかな?



「ほとんどお皿に乗せただけの手拭きデザートですから、気にする事は無いかと」


「こっ、これが手抜き?!ちなみに手を抜かなかった場合はどのようなデザートになるのでしょうか?」



「ファビオラ止めなさい!申し訳ございませんナガクラ様、ファビオラはメイドになったばかりの新人でして、責めは私が負いますのでどうか御容赦を!」



うーむ、こういうのは困るなぁ


名前は知らないけど、ファビオラさんの指導係りっぽメイドさんがこれでもかと頭を下げてしまった。



「あの、頭を上げて下さい。失礼な事は何も無いんですから」


「いいえ、先程のファビオラの言動は、デザートを催促しているのと同義です。」


「あ゛っ(汗)、、ももももも申し訳ございませんでしたぁーーー!!」



いやいや、だから頭を下げられるのは困るってぇー(汗)



「2人ともお気になさらず。作るかどうかは別ですけど、食べたい物は素直に教えて貰えた方が参考になりますから」


「本当ですか?」


「勿論♪なので遠慮は無用です。」


「じゃあ、温かいお菓子を!」「手を抜かずに作るお菓子を!」


「「あっ(恥)」」



ふふっ


先輩メイドさんとファビオラさんが同時に喋っちゃって、お互い顔を見て恥ずかしそうにしている。



「そしたら手を抜かずに作る温かいお菓子という事でアップルパイ、、じゃなくって、『サクサク生地のリンゴ包み焼き』『フォンダンショコラ』『ぜんざい』などでしょうか」



ふぅー、危なかった。


この世界には『パイナン・テターベルモ・ンジャネー』というけったいな名前の魔物が居るから、『パイ』という単語を使うと、魔物のパイを食べると思われてしまう所だよ。



「「そんなに沢山、、、やる気出て来たぁーーー!!」」



うおっ?!


突然の気合い急上昇でびっくりしたなぁ


だがしかし


2人とも素敵な笑顔だから、何の問題も無い♪






つづく。

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