第464話 やる気スイッチ・オン!

「ナガクラ様、ニィナ様、カニチャーハンが完成しましたので味見をお願いします。」



目の前で俺のエビチャーハン作りを見ていたからか、ディエゴさんは初めて作る料理にも関わらず、中華料理店の料理人にも負けない見事な手際で『カニチャーハン』を完成させてしまった。


やっぱこういうのは本職の人には全く敵わないもんだな



「では、いただきます。」


「いただきます。」



食べる前から匂いで分かってたけど、カニチャーハンめっちゃ旨いやん♪


まぁ入ってるカニの量が凄いってものあるか、1人前5千円くらいはしそうだもんな。


感想を言う前にニィナの反応を確かめると、、、


既に味見用のカニチャーハンを完食していて、空になった小皿を悲しそうに見ているから、凄く美味しかったという事で間違いは無いな(笑)



「ディエゴさん、カニチャーハンとても美味しゅうございました。」


「はぁ~、良かった」



よほどソレイユ様からの期待がプレッシャーだったのか、ディエゴさんはその場に座り込んでしまった。


ソレイユ様に悪気は無いと思うし、罰を与えるとかも無いんだろうけど、誰かに期待されるって嬉しい反面プレッシャーとの闘いは避けられ無いよな



「ナガクラ様、このマンゴープリンは他の果物に変えても作れますでしょうか?」


「勿論作れますよ。ただしマンゴー以外で作った事は無いので、相性の悪い果物もあるかもしれませんけど」



とりあえずの味見として、こっそりスキルの「店」で買ったマンゴープリンを、筆頭メイドのダリアさんに食べて貰ったのは良いけど


周囲で見てるメイドさん達の表情が恐いです(汗)



「さあさあ皆さんっ!美味しい朝食の為に頑張りますよ!」


「「「「「はいっ!」」」」」



わぁお!


ダリアさんの言葉でメイドさん達が気合いの入った返事をして、一斉にマンゴープリンを作り始めた。


とりあえずメイドさん達に味見用のマンゴープリンは必要無くて助かったよ。


料理人さん達は俺の作ったエビチャーハンと、ディエゴさんの作ったカニチャーハンを、ひと口ずつ食べてそれで充分っぽい


サダルスウド侯爵家の平和な厨房を、アリエス辺境伯家の料理人さん達にも見て欲しいと思うのは俺だけだろうか?




ふと厨房の窓を見ると、すっかり外が明るくなっている。なんやかんやで夜が明けちゃったよ



「ナガクラ様、お疲れの所申し訳ありませんが、叶うならば昼食のアドバイスも頂けると」



朝食の用意がほぼ終わったのか、ディエゴさんが戻って来てさっそく昼食の心配をしている。



「ちなみに俺が居なかった場合に作る料理を教えて欲しいんですけど」


「そうですねぇ、、、新鮮な鮭があるので鮭フライ、鮭のブルスケッタ、サザエのつぼ焼き、シジミスープ、といった感じですね」



おおっ!


想像以上に魚貝ずくしのメニューやん♪



「俺のアドバイスなんて無くても、そのメニューで充分ですよ」


「いえいえ、メインの魚は焼くか、ナガクラ様がレシピ登録してくれたフライのどちらかしかありませんし、貝の味付けも醤油・魚醤・塩だけなので、いくら美味しくても流石に飽きてしまいます。」



こっ、これは困ったぞ(汗)


俺の知ってる貝の味付けも醤油か塩だけだし、ニンニクやショウガでアクセントを付けるかスープに入れる程度のアドバイスしか出来ないよ


だがしかし


いつも食べてる料理と食感だけでも変われば新鮮な気持ちになれるんじゃね?


とすると何か魚を使った料理は、、、


閃いたっ!



「ディエゴさん、鮭って卵持ちですか?」


「今は産卵期らしく5匹中4匹が卵持ちですね」



よし!


今からイクラの醤油漬けを作ればお昼に間に合う。


今回はお手軽にスキルの「店」で買った出汁醤油に漬ける。



「米はありますか?」


「残念ながらありません」


「じゃあ今回は俺が米を提供するんで、次回からはピスケス領で購入してください。とりあえず鮭の卵を、塩を入れたお風呂くらいの温度のお湯で血とか筋とかを取り除きながら丁寧にほぐして、4~5回水で洗って水気を切ってから出汁醤油に漬けておいて下さい。」


「はっ、はい!お前ら聞いてたな?」


「「「「「おうっ!」」」」」



ディエゴさんに言われて料理人さん達が気合いの入った返事をする。



「次!海苔はありますか?海辺の岩に付いてる黒っぽい草なんですけど」


「草ですか?探した事が無いのでなんとも」


「では今から採りに行きましょう♪俺の魔法を使えば昼食に海苔を使えるでしょうから」


「、、、は?、えっ?ナガクラ様今からですか?!」


「ソレイユ様には、俺がサウスビーチ発展の為に頑張って来る!とお伝え下さい。手の空いてるメイドさんは手伝って貰えますか?」


「「「「「喜んで♪」」」」」



おおっ!


皆さん良い笑顔だねぇ♪



「行くぞニィナ、サウスビーチに米の旨さを広めるんだ♪」


「はっ♪」



気合いの入った料理人さんやメイドさんを見てると、久し振りに俺のやる気スイッチもオンになるじゃあないか


サウスビーチを『寿司』発祥の地にしてやるぜ


ふははははは♪






つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る