第460話 神のみぞ知る

ピーーー、ガガッ、ガッ



「・・・あっ、あのご主人様ですか?」



無線機のスイッチを入れてから登録されている2番の無線機に呼び出しをかけると、ほどなく少し緊張した声でカスミが応答してくれた。



「そうやでカスミ、そっちは何か問題起きたりしてない?」


「・・・はい大丈夫です。お母さんがブリが捕れたか気にしてました。」


「ブリは沢山捕れたから楽しみにしといてや♪ヨウコさんに代わって欲しいねんけど、近くに居てるかな?」


「・・・ちょっと待ってて下さい。」



サウスビーチとキャラバンシティはかなりの距離があるから繋がるか心配だったけど、さすがはスキルの「店」で売ってる無線機だけの事はある。



「ねぇシンさん、今の声はカスミちゃんよね?本当にキャラバンシティと繋がるなんて、、、これほどの道具を個人で所有してるシンさんって、本当は何処かの国の王族なのかしら?」



あぁ~、王族設定は久しぶりに聞いたなぁ(笑)



「色々と秘密があるのは否定しませんけど、王族で無い事はハッキリと言っておきます。」


「そっ、そう。ニィナさんちょっとこっちに」


「はい、何でしょうか」



俺が王族で無い事がどうしても納得出来ないのか、ソレイユ様は俺に聞こえないようにニィナに質問を始めてしまった。


ソレイユ様も俺の結婚式に降臨した創造神様とちーちゃんさんを見てるんだから、色々と察して欲しい。



「あー、あー、、、うーん、カスミさんこれでええんですか?、、、あっ、はい、ナガクラ様聞こえますか?ヨウコです。」



おっと


無線機の使い方をカスミに聞きながら話してるのか、ヨウコさんが俺を呼んでいる。



「ヨウコさん聞こえてますよ。ソレイユ様がヨウコさんに聞きたい事があるので代わりますね。」


「・・・かしこまりました。」



「ソレイユ様、私が王族で無い事は納得出来ましたか?」


「シンさんの結婚式に王族関係者が誰も出席しなかった時点で、シンさんが王族で無い事は証明されているんだけど。ニィナさんも違うって言うし、信じます。」



たぶんソレイユ様は最初から俺が王族だとは疑ってはなかったと思う。


何故ならば


ニィナがまた顔を真っ赤にしてるんだもの、貴族と平民で夫婦生活がどうなのか、違いを聞いたりしていたような気がする。


これは後でニィナにフォローをしとかないとあかんやつやな



「ソレイユ様、時間が勿体無いので早くヨウコさんに創造神様の事を聞いて下さい。」


「ヨウコさんってスミレちゃんと凄く仲が良さそうだった、不思議な雰囲気のある女性よね?その人が創造神様の事を知ってるの?」


「そういう事も含めて直接聞いて頂ければ良いと思います。」


「分かったわ。えっとボタンを押して話すのよね。私はソレイユと申します。ヨウコさんは創造神様の事を知っているとシンさんに聞いたのですが、本当でしょうか?」


「・・・はい、知ってはいますけど詳しい訳ではありません」


「ヨウコさんが何者か聞いても宜しいでしょうか?」


「・・・ん?ナガクラ様から聞いてませんか?まぁ聞かれれば答えるくらいはええんですけど。改めまして私は狐の神獣で名をヨウコと申します。創造神様の命により稲荷神社で第九の試練を担当しております。どうぞ御贔屓に♪」


「・・・えっ?!」



あぁ~


予想通りの反応と言いますか、ソレイユ様がすっごい顔で俺を見ているよ(汗)



「えっと、お聞きの通りヨウコさんは神獣です。ゲオルグ様、ステフ様、レヴァティ様は直ぐにヨウコさんに違和感を感じて高ランクの魔物と勘違いしてしまったので、神獣だという事は私が教えました。


ソレイユ様や御家族に話すかどうかはそれぞれの判断に任せたのですが、話して無いという事は、全ては創造神様の御心次第なのでしょうね」



とりあえず、それっぽい事を言って誤魔化してみたけど大丈夫かな?



「、、、そう。あの、ヨウコさんに質問なのですけど、創造神様はサウスビーチに御降臨される事はあるのでしょうか?」


「・・・それはそちらの努力次第といったところでしょうか」


「ん?もう少し詳しい説明が欲しいのですが」


「・・・創造神様が降臨される為には、それなり以上の『人の想い』というのが必要になります。ナガクラ様は別格なので御一人でも創造神様が降臨する事は可能ですけど、通常は統一された想いが最低でも千は必要となります。」


「統一された想いというのは?」


「・・・当然ながら創造神様に対する想い、という事になります。」


「創造神様の御意志だけではどうにもならないという事でしょうか?」


「・・・そこはまさしく『神のみぞ知る』というやつですね。まぁそちらは海の幸が豊富ですから、美味しい魚料理を作って『魚料理大会』でも開けば宜しいかと。私から言えるのはこれくらいですね、では頑張って下さいねぇ~♪」



へぇ~


創造神様が降臨するのって千人の想いが必要だったのか。


サウスビーチだと人口は5万人くらいは居るのかな?


正確な人数は知らんけど、ホイホイ降臨されても困るから難しい所だよ。



「シッ、シンさぁ~ん(泣)」



おわっ?!


ソレイユ様が涙目になってるって事は、今日で世界が終わるのでは、、、(汗)



「ソレイユ様落ち着いて下さい!」


「むーりーでーすぅー!サウスビーチにも創造神様に降臨して頂きたいんだもん!」



だもん、って俺に言われても知りませんやん。


とはいえこのままソレイユ様を放っておくなど俺には恐くて絶対に出来ん!


創造神様がサウスビーチに降臨されるかは未知数だけど、どうにかしてみせーる!






つづく。

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