第458話 訪問理由
ニックとレイチェルさんと別れてサダルスウド侯爵邸にやって来た。
相変わらず門には門兵が居て俺とニィナを訝しげに見ている気がする(汗)
今回はミリーさんに頼んで俺達が訪問する事を忘れずにちゃんと伝えて貰ったから、門兵君を困らせる事は無いと思うんだけど、、、
「あっ!ナガクラ様にニィナ様、ようこそおいで下さいました!ソレイユ様が御待ちですのでこのまま邸に向かって下さい。」
ほっ
さすがに門兵全員に俺の顔を覚えて貰ったのか、事前に来ることを伝えたのが良かったのかは分からないけど、とてもスムーズに案内されて良かったよ。
「お仕事お疲れ様です。差し入れにチャーシュー持って来たんで兵士の皆さんで食べて下さい。」
「まっ、まさかこれは幻の肉?!」
「え?これは池田屋商会で作ってるチャーシューなんで遠慮せずどうぞ」
「そっ、そうなのですか?池田屋商会の肉は商業ギルドが仕入れて売ってはいますが、チャーシューだけは常に売り切れで本当は仕入れていないのではないか?と噂話があったくらいです。まぁ御領主様直々に否定されたので騒ぎにはなりませんでしたけど。」
あぁ~
なんか知らん間にゲオルグ様に迷惑をかけてしまっていたらしい。
池田屋商会で作ってる『肉』は保存食の干し肉がメインだけど、ベーコンやチャーシューも毎日それなりの量を作って商業ギルドに卸している。
でも日持ちはしないからキャラバンシティ以外にはほぼ流通して無いはずだし、俺もゲオルグ様にチャーシューを贈った事は無かったと思う。
だから依頼を受けた冒険者か行商人がキャラバンシティの商業ギルドでチャーシューを買って、早馬とか冷蔵庫の代わりになるような道具を使って、気合いで消費期限内にサウスビーチまで運んだ物なんじゃないかな?
即売り切れる原因は量が少ないからだろう。大量に買うと足が遅くなって消費期限内に持って帰れないからな
これは早急に冷蔵庫の魔道具を作って流通革命を起こす必要有りだな!
「あ゛っ!申し訳ありませんがナガクラ様、先ずはソレイユ様に挨拶をして頂けると(汗)」
急に顔色が悪くなった門兵君を見て俺も思い出した
ついつい立ち話をしてしまっていたけど、ソレイユ様を待たせると色々と危険だという事を!
「それじゃあ、俺達はこれで!ニィナ行くぞ!」
「はい」
「ナガクラ様、ニィナ様、いってらっしゃいませ!」
バサッ!バサッ!
俺とニィナを見送った門兵君が邸に向かって白い旗を振ると、邸の窓からも白い旗が振り返されている
旗を使ってコミュニケーションをとっているんだろうけど、侯爵家であっても兵士間で通信の魔道具は使わないんだな。いや、気軽に使えるような魔道具が無いだけか
これは通信革命も起こさなきゃな!
門を通って早足で邸の扉まで行くと、既にソレイユ様が待ち構えていた。
「シーンーさん♪気軽に我が家に来てくれるようになって嬉しいわぁ♪」
『ぎゅうぅぅぅ』
いつものようにソレイユ様に抱き締められて、柔らかいお胸に顔が埋まって息が出来ませーん。
しかし慣れっていうのは恐いね、1分くらいだったらこのままでも全然苦しいと思わないんだから(笑)
「ソッ、ソレイユ様、そろそろ離していただかないと旦那様が(汗)」
「あらあら♪ニィナさんもちゃんと奥さんをしてるのねぇ。改めて、シンさんニィナさんいらっしゃい♪」
「ぷはぁっ!、、はぁ、はぁ、、ソレイユ様、本日もお世話になります。」
「はーい、喜んで♪シンさんの事だから今回の訪問にも何か大事な用があるんでしょ?」
「はい、今回は魚が欲しかったのと、えっと、あまり大きな声では言わない方が良さそうな相談がありまして」
「そうなの?我が家の執事やメイドは長年仕えている信頼出来る子ばかりだから、心配は要らないわよ」
「私ではどれくらい重用な事なのかの判断が出来ませんので」
ソレイユ様に案内されながら邸の廊下を歩く俺達の周囲には、少し離れて執事さんやメイドさんが付いて来ている
既に顔馴染みになった人達ばかりだからまったく心配はしてないけど、今回の訪問理由についてミリーさんからは
「国家機密レベルの事だから、絶対に他の貴族には漏れないようにしてね!」
って注意を受けたんだよな
個人的には今回俺がやろうとしている事の情報が漏れた所で、他人にはどうにも出来ないと思うんだけど
また池田屋商会の会長が新しい事をしたとバレると面倒にはなるか?
これが原因で商業ギルドが大変になると、ミリーさんが精神的に病んじゃいそうだし
ここはミリーさんの言い付けを守って慎重に行きますか!
つづく。
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