第456話 カツオを食べよう。
ボォーーーー、、、ジュワジュワジュワジュワ
「おおっ?!まさかカツオを塊のまま焼くとは思いませんでした(驚)」
「正確には焼くのでは無くて『炙る』ですけどね」
俺は今、指先から出したバーナーっぽい魔法の火でカツオを炙って『カツオのたたき』を作っている。
新鮮なカツオは臭みも無く火で炙る必要は無いけど、生食に馴染みの無いサウスビーチの人達には、カツオの表面を火で炙った『カツオのたたき』にした方が受け入れやすいかなと思う。
そしてもう1品、カツオの切り身に市販の天ぷら粉を付けて油で揚げた『カツオの天ぷら』も作ってみた。
高温で衣だけにさっと火を通して中は完全に生だけど、これは『調理した食べ物』であって生ではありませんよ、と言う為だ。
魚を刺身でそのまま出されるよりは、ちゃんと火を使って調理した料理だと言う事で、少しは抵抗感も少なくなれば良いなぁって狙いがある。
さてさて
カツオのたたきを切って、カツオの天ぷらと一緒に盛り付ける
どちらも『刻みネギ』『大根おろし』『ショウガ』をお好みで乗せてポン酢で食べて貰う。
「さあさあ、タコヤーさん遠慮せず食べて下さい。ニィナもブリはもう充分だから一緒に食べよう。」
「はい♪」
俺が『カツオのたたき』と『カツオの天ぷら』を作っている間も、ニィナにはブリを釣って貰っていたのだけど
海水を入れた桶には10匹以上のブリがひしめきあっていて、ちょっと見た目がキモい(汗)
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
まずはカツオのたたきを食べよう。
刻みネギとショウガをたっぷり乗せてからポン酢をかけて、あーんっ、、、旨ぁ~い♪
新鮮だから当然と言えば当然だけど、火で炙った所がまだほんのり温かいのが良いね♪
「タコヤーさんカツオの味はどうですか?」
「まさか生食がこれほど美味しいとは、、、しかし生食の普及は難しいでしょうね。凄く勿体無いですけど」
「そこは少し考えがあります。タコヤーさんはステーキをレアで食べた事はありますか?」
「えっ?ええ、取引相手を接待する時などに高級な食事処に行った時は食べたりしますけど」
「それと一緒ですよ。生じゃなくて『魚のレアステーキ』と言えば印象が変わると思いませんか?」
「なっ?!、、、なるほど、魚のレアステーキ、物は言い様ですね(笑)ですがこれなら行けるかもしれません!」
「最初はゲオルグ様に頼んで晩餐会等で貴族の皆様に振る舞うのが良いでしょうね。カツオの品質管理は大変だと言って高値を付けて存分に儲けて下さい♪」
「レシピ登録はされないのですか?」
「その予定はありませんね。表面を炙るだけなのでレシピ登録するほどの事では無いですし、レシピ登録するとどうしても値段が高くなって、街の皆さんに普及させる時の邪魔になっちゃいますからね。」
「いけません、それではシンさんの儲けがありません!」
「構いませんよ。私が1番欲しいのは新鮮な魚ですから」
「しかしですねぇ、キャラバンシティまで新鮮な状態で魚を運ぶのは無理があります。」
「そこに関しても色々と考えてる事があるんですよ。まだ詳しく言えませんけど、魔道具の研究を始めたんです。手応えは感じてるんで近々良い報告が出来ると思います。」
「なんと、シンさんは魔道具の知識まで豊富だったとは!」
「別の知識がたまたま魔道具に応用出来ただけですけどね(笑)おっと!待ち合わせをしているのでそろそろ街に戻らないと」
「シンさんには教えて欲しい事が盛り沢山なのですが、仕方ありませんね。この後はゲオルグ様の所にも行くのでしょう?何か珍しい魚が捕れれば届けますよ」
「期待してます♪それじゃあまた」
「ええ、仲睦まじい新婚の2人に相応しい魚を期待してて下さい!それでは失礼します。」
「なっ?!なななな仲睦まじい、、、(照)」
ニィナの可愛い反応を見て満足したのか、タコヤーさんは簀立てを設置している浅瀬の方へ颯爽と走って行ってしまった。
ふふっ
タコヤーさんもなかなか言うようになったではないか(笑)
そしてタコヤーさんの言葉を聞いたニィナが耳を真っ赤にして照れている。
「さあさあ、ニィナも照れて無いでニックとレイチェルさんとの待ち合わせ場所に行こう。」
「てっ、照れて無いから!タコヤーさんにも分かるくらい旦那様と仲が良いのが嬉しかっただけだから!」
ぐはぁっ(照)
あのねニィナさん
タコヤーさんに言われた言葉よりも、ニィナさんが今俺に言った言葉の方がよっぽど照れるんですけど
奥さんからここまでハッキリと、仲が良いのが嬉しいって言われたら
俺はこれから2割増しで頑張れちゃうんだぜ♪
つづく。
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