第452話 出張という名のお見合い その2
ぶぃーーーーん♪
あっという間、、、では無かったけれど、お昼を少し過ぎた頃に無事サウスビーチに到着。
ニックとレイチェルさんが一緒に居る時間を確保する為に、道中で見付けた商人を呼び止めて商品を見せて貰ったり(残念ながら欲しいと思う商品は無かった)
冒険者を呼び止めて保存食を売ったりしながら、とてもゆったりした移動だった。
「それじゃあニックとレイチェルさんは2人で自由に街を見て楽しんで下さい。」
「なぁアニキ、、、じゃなくって会長、サウスビーチに来たのは仕事ですから、楽しむのは駄目だと思いますけど」
なっ?!
なんてこった、ニックが俺に敬語を使っているだと?
恐るべしレイチェルさんの指導力!
ただなぁ、今は街を歩いている人が沢山居るから敬語で良いけど、家とかだと普通に話してくれるんだよな?
申し訳無いが、ニックが敬語を話しても違和感しか無いわぁ~(悲)
「ニックの言う通り仕事で来た訳だが、客として楽しむ事でサウスビーチに足りない物を発見しやすくする目的がある。足りない物が分かれば、それを作れば儲かるという事になる。」
「なるほど、でも俺、、じゃなくて私が担当しているのは甘味ですから、街を見てるだけで新作のヒントになりますか?」
「そこはあまり気にしなくて大丈夫だ。サウスビーチで気になった物や良かった物、逆に良くなった物等々、まずはそれらを知る事が重要だからな。その中に甘味に使える物があればラッキーだし、無くても商会で使える物があれば良い。アイデアだけ誰かに売るという方法もあるし、全く関係無い所から何かを閃く事もある。だから今日は楽しめ」
「おおっ!やっぱアニキはスゲェーや、俺も色々考えてたけど全然だもんなぁ、、、あ゛っ、、、レイチェルさん今のは、そのっ、あのっ(汗)」
「ふふっ、ニック君焦らなくて大丈夫、話し方なんて慣れだから。それでは会長さん、時間が勿体無いので私達は街を見て来ますね。」
「じゃあ日暮れ前に商業ギルド前に集合って事で、お守りを渡しておきます。」
「あら?小さいゴーレム?」
俺がレイチェルさんに渡したのは10センチくらいの大きさになったゴーレムの『ルタ姐』だ。
『お守り人形』に見えるようにカバンに付けられるストラップを装備させているから、他人に見られても大丈夫だろう。
しかもルタ姐は『狐火』を防ぐ事が出来る結界を張れるらしい。ちなみにドラゴンブレスは防げ無いんだとか
ドラゴンブレスと狐火の違いは俺には分からないけど、神獣レベルの強者が攻撃をして来ない限り、レイチェルさんとニックにはかすり傷ひとつ付く事は無いだろう。
「へぇ~、アニキが持って行けって言うんだから、本当に守ってくれる物なんだろ?」
「まぁな、サウスビーチだと危険な事は無いだろうけど、ニックは金持ちのボンボンに見えるって事を忘れるなよ。それとレイチェルさんもかなりの美人だから、スケベ野郎にも気を付けろ。」
「おうっ!見廻組のホイップさんに護身術教えて貰ってるから任せろ!」
むむっ?!
見廻組に『ホイップ』なんて名前の隊員が居ただろうか?
見廻組の隊員になると必ず俺とニィナが直接会って話をしてるし、『ホイップ』なんて珍しい名前は忘れないと思うんだけどなぁ
確認の為に隣に居るニィナを見ると、、、
めっちゃ良い笑顔で頷いてるから、ちゃんと在籍している隊員なんだろう。そしてホイップさんの護身術もニィナが認めるほどのレベルのようだ。
「じゃあニックにレイチェルさん、サウスビーチの街を楽しんで来て下さい。」
「はい♪ニック君行くよ」
「おう!」
仲良く並んで歩くニックとレイチェルさんと、『任せろ!』と手を振るルタ姐を見送る。最初はどうなるかと思ったけど、ニックとレイチェルさんの雰囲気は悪く無さそうだな。
「ねぇニィナ、見廻組にホイップなんて名前の隊員が居たっけ?」
「勿論居るわよ。
最初は諜報活動をする時のコードネームだったんだけど、本人が気に入ってそのまま本名として使ってるのよ」
「へぇ~、ちなみに本名は?」
「えっと、出来ればホイップで覚えてあげて欲しいんだけど」
ニィナがそこまで言うって事は相当おかしな名前だったんだろうな、すると心当たりはあの子しか居ないよ
放送禁止用語を名前に付けられたあの子だろうなぁ。
両親が奴隷で本人も生れた時から奴隷だったから、名前は最初の主人に付けられたと言ってたっけ
まったく、他人の名前で遊ぶんじゃねぇよ!
ウチの大切な隊員の名前で遊んだ馬鹿野郎に出会う事があれば、『地獄への招待状・年間フリーパス』をプレゼントしてあげないとな♪
とにかくだ
このままだとホイップさんが可哀相だから、帰ったら従業員名簿を『ホイップ』で正式に登録し直しておこう。
つづく。
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