第448話 鰤を入手せよ!(閑話篇)

「あう゛ぁ、う゛うぅ~~」


「ん?リコちゃんも鰤が食べたいって?まだ無理かなぁ」


「ふぎゃぁ、ふぎゃぁ(泣)」


「えぇー?!無理言わんでよぉ(汗)魚が食べられるようになるまで美味しい離乳食を用意するから、ねっ?」


「ふぎゃぁ、ふぎゃ?、、、う゛ぅ~♪」



ほっ


どうやらリコちゃんは鰤の代わりに離乳食で納得してくれたか。



「ねぇねぇ、ご主人様ってリコちゃんの言ってる事が分かるの?」


「いや、そんな気がするだけだよ(笑)」


「それにしては会話が凄く噛み合ってたんだけど、、、まぁウチらのご主人様だしこれくらい普通だよね♪」



うーむ


一緒にリコちゃんの世話をしてくれている狐耳獣人のスージィーが、俺の事を褒めてくれているのは良いのだが


何でもかんでも『ご主人様だから』で片付けないで欲しい。


そのうち俺は『ご主人様だから』のひと言で、キャラバンシティの領主にされるんじゃなかろうか?


まぁその時はピスケス伯爵領かサダルスウド侯爵領に吸収合併して貰おう!



本当なら今直ぐにでもサウスビーチに行って鰤を入手したいんだけど、今日はリコちゃんの世話という大事な仕事があるから無理なんだ。


サーシャさんもリコちゃんも我が家の新居と同じ建物内に、、、


4つのアパートをくっ付けたような巨大な建物を、『同じ』と表現して良いのかは分からんけど


とにかく


サーシャさんとリコちゃんは我が家の池田屋商会女性従業員専用エリアでミーナやスージィー、その他の女性従業員達と一緒に住む事になり


リコちゃんの世話をする人が増えた事によって、俺は晴れてリコちゃんの夜当番から解放されたのだが、その代わりに皆が1番忙しい朝当番になった。


リコちゃんの世話は楽しいから何も問題は無い♪



「んぅ~、、ふぇっ(悲)」


「あっ?!やべぇ、ミルクの時間だ!スージィー、ちょっとリコちゃん抱っこするの代わってくれ」


「は~い」


「尻尾に気を付けるのを忘れないようにな」


「うっ、うん!」



リコちゃんの世話をした事のある獣人は漏れ無くリコちゃんに尻尾をギュッと掴まれ、おしゃぶり代わりにあむあむされ、ヨダレでベタベタにされている


尻尾の代わりになる玩具を渡してみたりもしたんだけど、まぁ本物のもふもふ尻尾には勝てないよね(笑)


自分の意思で尻尾を動かして、リコちゃんに掴まれ無いようにすれば良いんじゃないの?と思うけれど


リコちゃんの世話に集中するとどうしても尻尾への意識が薄くなり、尻尾が勝手にゆらゆら揺れた所をリコちゃんに掴まれてしまうらしい


せめてもの救いは世話をする人が多いから、リコちゃんの世話は5日に1回くらいのペースでしか回って来ない事だろう。


とにかく今はスージィーの尻尾がリコちゃんに掴まれる前に、俺の収納に入っているサーシャさんの母乳入り哺乳瓶を取り出さなくては!



「良し!リコちゃんミルクだよぉ~」


「チュパッ、チュパッ、チュパッ」


「ふぅ~(汗)ミルクを飲んだら寝ちゃうから今回は助かったぁ~、ご主人様ありがと♪」


「獣人は尻尾を洗うのも乾かすのも大変そうだからな、マジで良かったよ」


「うん!スミレちゃんも毛が多いから毎日大変でしょ?」


「スミレの場合は俺が魔法で温風出して乾かすから、大変って事は無いよ」


「えぇー?!やっぱ魔法使えるって反則だよぉ(悲)」



おぅふ


スージィーがリコちゃんを抱っこしたまま思いきり落ち込んでしまった。


スージィーの事は勿論心配だけど、リコちゃんを抱っこしたまま落ち込むのは見た目的に心臓に悪いから止めて欲しい(汗)



「あのう、毛を乾かすのってどれくらい大変なの?」


「お風呂上がりに厨房とかパン焼き窯の残り火で毛を乾かすんだけど、遠いと乾かないし近付き過ぎると火傷しちゃうし、毎日皆でわーわー言いながら乾かしてるよ」


「あぁ~、、、それは大変そうだね。今まで放っていて申し訳無い。」


「こんなのご主人様が謝る事じゃ無いじゃん。毎日お風呂に入って尻尾を洗えるなんて凄い贅沢なんだから、乾かすのが大変な事くらい何でも無いよ」


「そうかもしれんけど、今日から温風が出るドライヤーって言う魔道具を設置するから、遠慮せず使ってくれ。スージィーは大丈夫だろうけど、基本的に我が家にある便利な道具は全部機密扱いだから外には漏らせないんだよな。商会にもドライヤーを設置したいけど、どうかな?」


「わざと外に漏らすようなのは居ないと思うけど、奴隷じゃない従業員も増えたし、ついうっかりってのはあると思うよ。商会の本店には貴族の娘さんも来るから、便利な道具を知られると騒がれちゃうかな。特にドライヤーは貴族の娘さんは欲しがるだろうから、そういうのご主人様は1番嫌でしょ?」



アハハ


さすがスージィー、俺との付き合いが長いだけの事はある!



「スージィーがそこまで分かってくれてるだけで充分だよ。出来るだけうっかりは無いようにして貰うけど、ドライヤーは本店にも設置決定!」


「ヤッ、ヤバい!やっぱウチらのご主人様素敵過ぎじゃん♪」






狐耳獣人のスージィー


自分の意見をはっきり言うギャルっぽい見た目の女の子


はっきり言い過ぎて言われたこっちが赤面してしまう事もあるけれど


たまにはそういうのも悪く無いんだよな♪






つづく。


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