第449話 お節介をしたい年頃なんです。
『コンコンコン』
「こんばんはー、おーいベス居るかぁー?」
『ガチャッ』
「誰だい!こんな時間に訪ねて来る常識知らずは、、、おや?会長じゃないか、何か用かい?」
「まぁちょっとした相談に来たんだけど、誰が訪ねて来たか確認する前に怒鳴るのは止めとけよなベス」
「どうせここには同業者が嫌がらせに来るか家賃の取り立てくらいだからね、ドアを開けた瞬間に水をぶっかけられなかっただけありがたいと思いな♪」
「ありがたいって言うか、家賃はちゃんと払えよ。とりあえず中で話せるか?ちゃんと手土産も持って来たしさ」
「いっひっひっひっ、礼儀をわきまえてる奴は大好きだよ♪」
相変わらずベスの笑い方は悪巧みをしている悪代官っぽいんだよなぁ(笑)
「ベスがいつ暇なのか知らんから夕食のタイミングで来たんだけど大丈夫だったか?」
「問題無いよ、今のあたしゃ娼館と酒場の営業が終わる早朝以外は暇だからね。逆に早朝は売り上げの計算で忙しいよ。狭い所だけど遠慮せず入んな」
「おじゃましまーす」
「そうそう!椅子は1つしか無いからあんたら2人は床で良いかい?」
「幸いな事に椅子は俺の収納に入ってるから大丈夫だよ」
「チッ!これだから収納持ちは面白く無いねぇ」
待て待て待て!
今のはベスの小粋なジョークな事くらい分かるけど、舌打ちせんでもええやん
とはいえ、ベスって俺以外の人と話す時は普通に丁寧語しか使わないんだよな、敬語じゃない所がベスっぽいけど(笑)まぁこれも俺への信頼の証と受け取っておこう。
奥さん兼護衛のニィナと2人でベスの自宅を訪ねたのにはちゃんと理由がある、それはニックとスナックの嫁さん候補の相談をする為だ。
無理矢理どうこうする気は無いけど既婚者の先輩としては、出会いのきっかけくらいは作ってやりたいじゃないか!
元世界でも20~30歳の男女にアンケートを取ると
『出会いが無さ過ぎて恋愛そのものに興味が無くなった』
という人が独身者全体の半数を越えるとかってニュースを見た事がある。
池田屋商会の場合は女性の割合に対して、若い男性が少な過ぎるのが問題だから、必要なのは若い男性従業員を増やす事なんだけど
キャラバンシティに住んでいる成人男性の大半は、冒険者か兵士になってしまっている。
冒険者になる奴は性格に難があるのが多いし、兵士はいったん王都に招集されてからそれぞれの任務地に送られるから、転職の誘いが出来るのもキャラバンシティに里帰りした時だけだ。
とまぁ、なんやかんや言ってはいるが、基本的に結婚相手は自分でどうにか見付けて欲しい。
スナックはともかくニックは放っとくと仕事しかしないからな、おっさんとしては多少のお節介はしてやりたい!
元世界だったら何かしらのハラスメントになるのかもしれんけど、こっちの世界では子供を産んで人口を増やさないと、国力低下で他国に侵略されてしまうという切実な問題があるから
多少のお節介は許して欲しい。
「それじゃあベス、話をする前に土産に持って来た酒で乾杯しようか」
「ひっひっひっ、物事の流れを分かってる奴は出世するよ♪」
「待て待て、商会の会長から出世しても良い事無さそうだし、俺にはベスと一緒に馬鹿な金持ち相手に稼ぐくらいがちょうど良いよ」
「そうそう、何事もほどほどにしとくのが1番さ。馬鹿な金持ちからは、ほどほど以上に搾り取ってやるがね♪」
「当然だ♪」
「「ふわぁっはっはっはっはっ♪」」
ベスとの悪巧み感満載の会話は何回しても飽きないなぁ♪
「旦那様、ベスさん、馬鹿な会話はほどほどにして下さい。お酒の用意が出来ましたので乾杯しましょう」
おぅふ
ニィナが久し振りに『妻』として俺の事を呼んでくれたというのに、なんだかなぁ(悲)
「ほぉほぉ、ダークエルフの嬢ちゃんはいつもは会長の後ろに控えてただけなのに、結婚してちゃーんと夫婦をしてるんだねぇ。」
「そっ、それほどでも(照)」
ふふっ
ニィナは照れながらも凄く嬉しそうだなぁ♪
「よし、2人とも早くグラス持ってくれ、では、かんぱい♪」
「「かんぱい♪」」
つづく。
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