第447話 鰤を入手せよ!(準備篇)

(ヨウコさん、シエーネさん、厨房に集合!)



我が家のお母さんが『鰤の照り焼き』を食べたいと言うのでその願いを叶える為に、未だに部屋で寝ているだろうヨウコさんとシエーネさんを念話で厨房に呼び出す。


鰤を確実に入手する為にはヨウコさんとシエーネさんから創造神様に、やんわりと鰤が美味しい事を教えて貰うのが良いだろう。


無事に鰤を入手したら


鰤の照り焼き、ご飯、味噌汁、お漬け物、それらをセットにした『鰤の照り焼き定食』を創造神様とちーちゃんさんにお供えしたら、きっと喜んでくれるから何も問題は無い!


だがしかし


間違っても直接、創造神様に鰤が美味しいと言ってはいけない。


美味しい食べ物を食べる為に創造神様は妥協などしないからな、マジでサウスビーチの海に鰤の大群が押し寄せてしまいかねん(汗)


鰤が食べたいと言っても毎日食べたい訳では無いからな。


とは言え、俺とお母さんが『鰤の照り焼き』を食べたいというやり取りは、創造神様が既に見ている可能性はあるからあまりゆっくりしてはいられない。



「ナガクラ様、おはようございます。朝から念話で呼び出しとは何事です?」


「ふぁ~、眠い。ナガクラ君、朝からどうしたの?リリーも含めて神獣が3人も居るんだから緊急事態って訳でも無いでしょ?」



俺の念話の呼び出しで狐の神獣ヨウコさんと、まだ眠そうにあくびをしながらドラゴンの神獣シエーネさんが厨房にやって来た。



「ヨウコさん、シエーネさん、おはようございます。ある意味で緊急事態です。我々は早急に鰤を入手しなければいけなくなりました。」


「「ぶり?」」


「もしかして2人は鰤を知らないんですか?」


「私が知らないという事は海か空に関する事でしょうか?シエーネさんは知ってますか?」


「ボクも知らないから海関連かなぁ?海ならリッちゃんが担当してるから聞いても良いけど」



むむっ


シエーネさんの口から発せられた突然の新キャラクター名『リッちゃん』とはいったい、、、


ドラゴンの知り合いなんて嫌な予感しかしないけど、聞かない訳には行かないよなぁ(汗)



「えっと、シエーネさん『リッちゃん』とは誰ですか?」


「リヴァイアサンの神獣のリッちゃんだよ。海はリッちゃんが担当してるから、そっち関連なら詳しいはずだけど」



あぁ~


やっぱ実在すんのかリヴァイアサン!


元世界だとリヴァイアサンは水棲の怪物で『蛇』とか『鯨』に似てるとか言われてた気がする。



「鰤って言うのは海に生息してる魚の事なんで、リッちゃんさんに聞くほどの事では無いかなぁ、アハハハ(汗)」


「まぁリッちゃんは基本的にずっと寝てはるから、創造神様からの呼び掛け以外は無視するんと違いますか?」


「あはは、確かにリッちゃんなら無視するだろうね。たまに創造神様の呼び掛けにも気付かず寝てるからねぇ~」



ほっ


どうやらリヴァイアサンのリッちゃんに会うという流れは無さそうで良かったよ。


でも神獣って事は何番目かの勇者の試練を担当してるんだよな?


広大な海から試練の場所を探して当てて、辿り着いたらリヴァイアサンが待ってるとか難易度高過ぎやろ!まぁ俺は試練には行かないから良いけど



「リッちゃんさんの事は置いといて、確実に鰤を入手する為にヨウコさんとシエーネさんには、創造神様にやんわりと間接的に鰤が美味しい事を伝えて欲しいんですよね」


「あの、ナガクラ様、それは我々が創造神様に直接伝えるという事でしょうか(汗)」


「ナガクラ君の頼みなら大抵の事は喜んでするけど、ボク達が創造神様に直接何かを伝えるっていうのはちょっと(汗)」



待て待て待て!


神獣やねんから創造神様に何かを伝えるくらいで顔色を悪くするのはおかしいやろ!


とは言え、創造神様に直接何かを伝えて欲しい訳では無い


俺達が鰤を入手する為に『何かをしている』という行為そのものが大事なんだ。


その事を創造神様が見ていてくれるだけで良い。そうすれば俺がサウスビーチに行ったタイミングで、創造神様が鰤の群をサウスビーチに誘導する程度の手助けをしてくれる筈。


間違っても見渡す限りの鰤の大群がサウスビーチに押し寄せる、なんて事は無いだろう


いや、これはそうなれば良いなぁっていう希望的観測でしか無いけれど


きっと大丈夫!


大丈夫だよな?


創造神様ぁー!


信じてますからねぇー!!






つづく。


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