第441話 新居堪能・お風呂篇

ザパァッ


「あ゛ぁ゛~~、ええ気持ちやぁ~♪」


「う゛ぁ゛~♪」「ん゛ぁ゛~♪」



ふふっ


ガゼル親方もジャックおじいちゃんも、湯船に浸かりながら凄い声を出しているよ


こういうのは世界とか種族は関係無く声が出ちゃうものなんだな(笑)



「親方もジャックさんもお風呂はどうですか?」


「最高だな!貴族の屋敷にはあると聞いていたが、まさかこれほど気持ちの良い物とは思わなかったぞ、ガハハハハ♪」


「うむ、冬になれば更に気持ちがええんじゃろうなぁ」



現在、俺とガゼル親方とジャックおじいちゃんの3人は、新居の大浴場でお風呂を堪能している


おっとっと


ここはお風呂ではなく『シャワー室』なのを忘れていたよ。


オリビエさんが言うには平民の家に風呂があるのは駄目らしい。


理由としては


馬鹿な貴族が不敬だと言って絶対に騒ぐからって言われたけど、アストレア様も滞在されるんだから馬鹿な貴族は潰したら良いのにって思うけど


馬鹿な貴族を潰すにも色々とマナーみたいなものがあるらしい。まったく貴族というのは実に面倒くさい!



馬鹿な貴族の事はどうでも良いや


脱衣所から浴室から浴槽に至るまでの全てを、良い香りのする木で作られた高級感溢れるシャワー室、、、なのだけど


浴槽の隣にユニットバスの入り口があるのはなんだかなぁ


あのユニットバスは『プレハブ仮設住宅』に付いてた物だけど、ユニットバス内にある蛇口からお湯を出さないと、浴槽にお湯が溜められないのだからしょうがない。


他にも


夏場にサッと汗を流すだけならユニットバス内にあるシャワーで充分だろうから、多少見た目を犠牲にしてでも設置する価値はある。



『プレハブ仮設住宅』は創造神様の造った特別製だから、付属のソーラーパネルで発電した電気でエアコンや照明を付けるのは勿論、何も無い所から水すら造り出してしまうという、とんでもアイテムだ!


頼り過ぎるのは駄目なんだろうけど、せっかくの便利な道具を使わないのも勿体無いし、魔道具で同じような物が作れないかの研究も同時に進める必要はあるだろう。


ちなみに男湯は5~6人が入れる大きさだけど、女湯は1度に10人程度が入れる大きさの風呂を新居の2ヵ所に設置されている。



「体も温まって来た所で、お風呂の楽しみ方を親方とジャックさんに教えますよ。よいしょっと、どうぞ♪」


「「ん?」」


「ワハハハハハ♪さすがはお前さんじゃ、

分かってるではないか!しかしじゃ、風呂でこんな事をして怒られはせんか?」


「まぁ特別な時限定ですね。今日は引越し記念って事で大丈夫でしょう。勿論オリビエさんには明日にでも親方がしてあげて下さいよ」


「分かっておる、だが酒とつまみはお前さんが用意してくれるんじゃろ?」


「ええ、明日の夕方にでも持って行きますから、ちゃんと冷蔵庫に入れて冷やしておいて下さい」


「うむ!」



プレハブ仮設住宅のリビングにはミニ冷蔵庫が標準装備されていて冷蔵庫の説明をした時は、いつでも冷えたビールが飲めるってオリビエさんが泣きながら喜んでいたけれど


なんせ『ミニ』冷蔵庫だから、ドワーフがひと晩に飲む酒の量だとギリギリなんだよな(笑)



「問題も解決したようじゃし、早く乾杯しようではないか」


「それでは、乾杯」


「「乾杯♪」」


「んぐんぐ、、くぅー!」



これこれぇー!


旅館と言えば、お風呂に入りながらキンキンに冷えた日本酒を飲むのが憧れだったんだよ♪


まぁここは旅館のように見えるだけで、自宅の風呂だけどな(笑)


おつまみはキンキンに冷やした『茶碗蒸し』にしてみた。まだ夕食前だしこれくらいあっさりした料理でも充分だろう。



「風呂で温まりながら冷えた米の酒を飲み、風呂上がりには冷えたビールが飲めるのじゃろう?シン殿にしか出来ん贅沢じゃな♪」


「長老の言う通りだ、しかも今日から同じ家?隣?まぁどちらでもええが今までよりは近くに住む分、酒の補充も簡単になるのは良いな」


「購入してくれるなら酒も料理も幾らでも用意しますけど、冷蔵庫の容量はやっぱり小さいですよね?」


「まぁ贅沢な悩みではあるがな。今はギリギリ間に合っとるからええが、これから住人が増える事はあっても減る事はほぼ無いと考えるべきじゃ。となると魔道具で同じような物を作る必要はあるだろうがな」


「親方は魔道具を作ったりは出来ないんですか?」


「残念ながら完全に専門外だな、それは長老を含めドワーフ全般にも言える。」



うーむ


これは性能の良い魔道具を輸出していると言われる『魔国』に行くべきか?


いや、わざわざ行くまでも無いのか


輸出してるならバルゴ王国にも魔道具を取り扱ってる商会か貴族が居るはずだから、料理のレシピを対価にして譲って貰うか


それが無理でも魔道具を見せて貰えれば、俺の元世界の知識と併せて魔道具を作れる可能性は充分にある!


とはいえ


性能が悪くても良いから魔道具を入手して、1度は実際に手にとって見るのが先だな。意外と簡単に作れるかもしれんし



未来の我が子や孫達の為にも快適な日常生活は


俺がどうにかしてみせーる!






つづく。

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