第440話 新居堪能・厨房篇

「そしたらどんどん栗を潰して行くでカスミ」


「はい、お任せ下さい!」



予め茹でて柔らかくしておいた大量の栗を前に、カスミは鼻息荒くめっちゃ気合いが入っている


今から作る栗のお菓子は、趣味も兼ねた3時のおやつ用やから楽しんで作ってくれてええねんけどなぁ



『引越ケーキ』を食べ終えたらやる事も無く暇になったので、それなら新しく広くなった新居の厨房で以前からカスミと約束していた『栗』を使ったお菓子を作ろうって事になった。


新居の厨房には大理石の作業台を2つ設置したから、片方で『パイ生地』を作り、もう片方でチョコレートの『テンパリング』作業をする、なんて事も可能だ♪



「ご主人様、出来ました♪」


「カスミありがと、、、う?!」



わぁお!


いつの間にやら潰して裏漉しされた栗ペーストがボウルに山盛りになっとる(驚)


栗に関しては産休中だったサーシャさんが、大量に皮を剥いてくれたから消費するのも兼ねてるとは言え、1度にやり過ぎた感じは否めない


まぁ人数の増えた我が家なら数日で食べきる量だから良いか(笑)




さてと


裏漉しされた栗ペーストは2等分にして片方に砂糖と牛のミルクを混ぜて、残りの半分に砂糖とバターを混ぜる


これで2種類のマロンクリームの完成だ。



このままパンに塗って食べても美味しいけど、クリームチーズを混ぜたり、適当な大きさにカットした栗やナッツ類を混ぜて使う事も出来る。



「おにいちゃん、こっちも完成したよ」


「ご主人さまー、焼けたー!」


「あいよ~、そしたらスミレもパンケーキにクリーム挟むの手伝って~」


「は~い」



ふっふっふっ


せっかく作業台が2つもあるんだ、遊ばせておくなどという勿体無い事は俺が許さん!


っていう事で隣の作業台では、メリル、コニー、フラニーにマロンクリームの要領で、芋クリームを作って貰っていたんだ。



バターを混ぜたマロンクリームと芋クリームは、薄く焼いたパンケーキに挟んでから冷やせば、『マロンバターサンド』と『芋バターサンド』の完成。


ここで終わりと思うなかれ、スミレに焼き加減を見て貰っていたのは『タルト』だ。


まだクリームも何も入れて無いタルトだから、ここにクリームチーズを混ぜたマロンクリームを入れて、仕上げに栗の甘露煮を上に乗せれば


『マロンチーズタルト』の完成!


芋バージョンもあるから、その日の気分で好きな方を選べるのが良いね♪



という事で、焼いてる時に割れてしまったタルトの欠片にマロンクリームを付けてと



「カスミ口開けてぇ~、はい、あーん」


「あー」


「ほいっと、俺もあーんっと、、旨い!」


「甘さ控えめにしたお陰で、栗の味がよく分かって凄く美味しいです♪」



味見をしたカスミの耳がピコピコ動いているという事は、貴族に高値で売っても問題無いレベルの味って事やな♪


まぁ素材が良いから美味しいのは当然だろう


栗は浮島から持って来たやつだから、ほぼほぼこの世界の最高品質の栗だろうからな



「ねぇ旦那ぁ~、もう出来た?食べて良い?」


「おいケイト、わざわざ『旦那』と呼んだからって試食分以外は駄目だからな」


「「えぇーー?!」」



先程から厨房の隅っこでずっと、俺とカスミがお菓子を作るのを見ていたケイトとヨウコさんが仲良く落ち込んでいるけれど


ちゃんと試食を用意した俺を褒めて欲しいよ。



しかし厨房に作業台を2つ置いたのは正解だったな、これなら我が家のみんなでお菓子作りや料理の仕込みも出来るから、お藤お母さんも喜んでくれるだろう。


さてと


頑張ってお菓子を作ったら軽く汗をかいてしまったし、新居のお風呂に行きますか♪






つづく。

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