第437話 お引っ越し

待ちに待った新居が完成したので今日は引っ越し作業で朝から忙しい、、、と言っても


オリビエさんに新居の相談をした翌日には作り始めて、その日の内に完成したから全然待って無いけどな(笑)


荷物も俺の収納に入れて持って行くから荷造りもしなくて良い。だから最後に約1年住んだ我が家をみんなで掃除している。


賃貸だから退去する時に頑固な汚れや破損等があると、修繕費を取られてしまうのは元世界と変わらない。



この家を借りる時、他に選べる物件が無かったから仕方無く借りた家ではあったけど『住めば都』の言葉通り、とても良い『家』だったよ



「おにいちゃん、家の掃除終わったよ」


「あいよ、そしたらみんな家の前に並んでくれ」


「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」



おおっ!


こうして家の前に並んだみんなを見ると、我が家も大家族になったんだなと実感する。


メリル、ケイト、ニィナ、カスミ、スミレ、お藤さん、コニー、フラニー、ヨウコさん、シエーネさん



最初は俺とメリルの2人だけだったのに、まさか1年でこんなにも家族が増えるとは思わなかったよ。おまけにこっちの世界でお母さんまで出来ちゃうし(笑)



「ダンナァー、もう押して良いのー?」


「いつでも良いぞぉー!」


「行くよー、せーのっ」


『ピッ、、、ピッ、、、ピッ、、、』



ケイトが三脚にセットされたデジタルカメラのシャッターを押してこちらに向かって走り出すと、デジタルカメラからセルフタイマーのカウントを知らせる電子音が聞こえる。



「ケイトねーちゃんはやくー!」


「わぁー、待ってぇー(汗)」


『ピッ、、ピッ、、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ』


「みんな笑えー♪」


「「「「「「「「「「にぃっ♪」」」」」」」」」」


『カシャッ』



よし!


さっそくデジタルカメラのモニターを確認すると、我が家をバックにして満面の笑顔のみんなが写っている


足下にはちっちゃい姿のままのゴーレムのゴレさん達もいるし、最高に良い写真が撮れた♪


新居に行ったら一緒に住む事になったミリーさんとウェンディさんを加えて、また写真撮らなきゃな


だがしかし、このタイミングでアルテミスさんも我が家への引越し準備の為に、いったんピスケス領に帰ってるから居ないんだよな


とはいえまだ結婚して無いからなのか、アルテミスさんも我が家のみんなには遠慮してる感じがするから仕方ないか




「なぁアニキ、本当に引っ越さなきゃ駄目なのか?」



むむっ!


俺がデジカメで撮った写真を見ながらニヤニヤしていると、裏庭のテントを片付け終わったニックとスナックがやって来た。


この2人は池田屋商会の幹部だから、部屋を借りるどころか家を買えるだけの稼ぎがあるのに、未だに我が家の裏庭でテント生活をしている。



「見ての通り俺達は引っ越すから、ニックとスナックが家賃を払うなら住み続けて良いぞ」


「裏庭を使うだけなのに家賃を払うのはなぁ」


「ニックにスナック、2人はその辺の商人や冒険者やり稼いでるんだから、テント生活もそろそろ卒業しろよ。そんなに家を借るのが嫌なのか?」


「借りるのが嫌って言うか、アニキの家の裏庭が良いんだよ」


「ちょっと意味が分からないんだが」



すまんニック、俺にはマジで意味が分からん


確かに我が家の裏庭なら気軽にご飯の差し入れとか出来たけど、メリットはそれくらいしか無くね?



「アニキ、兄ちゃんは説明が下手だから僕が説明するよ」


「確かにニックは口下手だからな、頼むぞスナック」


「うん、と言っても簡単な話なんだ。池田屋商会の従業員って裕福だから、男女問わずよく声をかけられるんだよ。まぁ半分は他の商会からの引き抜きで、残りはお金目当てで結婚したいって人達なんだけど」


「なるどなぁ。でもそれは以前からあった事だろ?」


「まぁね、だからそういう人達の誘いはキッパリと断ってるんだ。でも断られたからって簡単には諦めてくれないんだよ。池田屋商会で働いてると将来安泰なんだから当然だよね」


「俺としては支払ってる給金がそれほど高いとは思わないんだけどな。他の所が安過ぎるだけでさ」


「それは僕も感じてるけど下働きじゃそんな事言えないよ。だからそういう人達は凄くしつこいんだけど、それもアニキの家の近くまでなんだ。アニキに迷惑をかけるのは流石に駄目だって理解してるんだと思う。」


「あぁ~、なんか色々とすまん」


「これはアニキのせいじゃ無いから謝らなくて良いよ」


「となると解決策は、、、ちなみに商会の宿舎に住むのは嫌なんだよな?」


「嫌ってほどじゃ無いけど、僕も兄ちゃんも仕事が終わったら1人になりたいから」



なるほど


宿舎だと自分の部屋から出ると必ず誰かに

会うからな、ニックとスナックはそれがストレスに感じるから宿舎は嫌なんだろう。


我が家は基本的に俺以外の男の立ち入りは禁止だから、ニックとスナックと一緒に住むという選択肢は無い


たまには夕食に招待するけどそれくらいだ。


じゃあどうするか、、、



「よし!毎月の家賃を大銀貨2枚で俺が家を貸してやるから、ニックとスナックはそこに住め。場所は旧領主邸の庭だから一般人は入れないし、俺の家の隣にしてやるから良いだろ?」


「マジで?!いや、それより家を貸すってアニキは家を持ってるのかよ」


「ニックよ、家を持ってないと貸せないだろ」


「そうだけどさぁ、、、まぁアニキだから家くらい普通に持ってるか」


「良かったね兄ちゃん、またお藤さんのご飯が食べれるよ♪」



ニックの言う普通が何かは俺にはさっぱり分からんけど、結局のところニックとスナックはお藤さんのご飯が食べられなくなるのが嫌だっただけなんじゃ、、、


1度でもお藤さんの料理を食べた事があるなら、毎日食べたいと思うのは仕方無いけどさ


ニックとスナックの家問題も解決したし


新しい我が家へ


れっつらごー♪






つづく。

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