第435話 新居の相談

ミリーさんも我が家で一緒に住みたいと言い出したので、新居の相談をする為にアルテミスさんとミリーさんの3人でオリビエさんの所にやって来た。



「こんにちはー、オリビエさーん居ますかー?」


「シンさんいらっしゃい、あら?今日はアルテミス様とミリアリアも一緒なのね、また家が足りないのかしら?」


「ええ、まぁ、実はアルテミス様と婚約したので我が家が狭くなっちゃいまして、新居の相談に来たんですよ」


「そうなのね♪シンさん、アルテミス様、おめでとうございます。」


「オリビエ様、ありがとうございます。若輩者ではございますが、今後もよろしくお願い致します。」


「やっ、止めて下さい、頭を、頭を上げて下さいアルテミス様(汗)私は『様』なんて呼ばれるようなドワーフじゃ無いんですから」



ふふっ


オリビエさんがアルテミスさんに深々と頭を下げられて困っている


アルテミスさんが普通にしてるから忘れがちだけど、伯爵令嬢に頭を下げられたらオリビエさんの反応が普通なんだよな


アルテミスさんが貴族特有の高貴なオーラを意識して抑えているのかは分からないけど、そうじゃなかったら俺も初対面からアルテミスさんと普通に会話するのは無理だったかもしれん。



「オリビエさん、私も一緒に住むので新居は大きいのをお願いします!」



あぁ~


ミリーさんも一緒に住むのが確定だと、ウェンディさんも一緒じゃないと絶対揉めるよなぁ



「とにかく座って話しましょう。新居については直ぐに出来るから」



むむっ?


新居について具体的な話はまだ全然してないのに直ぐ出来るとはいったい、、、



「シンさんの結婚祝いは新築の家に決めてたから既に図面もあるのよ♪」



そう言えばメリルとの結婚が決まった時に、オリビエさんから結婚祝いは新築の家にするって言われて、その後ガゼル親方からも


「家に関してはワシと長老が責任を持って作るから安心せい!」って言われてたっけ


すっかり忘れてたよ(笑)


ガゼル親方とジャックさんが作る家なら、ドラゴンブレスにも耐えられそうとか考えて、テンション上がってたのがとても懐かしい♪



さてさて


オリビエさんが持って来た新居の図面を見ますか、、、ん?


本格的な家の図面を見るなんて初めてだし、見たところで部屋数くらいしか分からない


ガゼル親方やジャックさんが気合いを入れて作るなら『豪邸』になるんだろうなぁ、くらいは予想してたけど


今俺の目の前にある新居の図面を見る限り、違和感しか無いんですけどー(汗)


部屋数が多いのもリビングやキッチンがめちゃめちゃ広いのも何の問題も無い、問題なのは大きさだ


キャラバンシティの旧領主邸と同じくらいの建物が4個『ロの字』に繋がってるように見えるのは俺の気のせいか?


これだと『豪邸』じゃなくて、中庭付きの立派な『旅館』やん!



「あのう、オリビエさん、さすがに大き過ぎやしませんか?」


「そりゃあシンさん達だけで住むなら大き過ぎるでしょうけど、アストレア様の滞在場所も作らなきゃだし、私達も住むし池田屋商会の女性用の住居も兼ねてるから問題無いわよ。共用部分とプライベートな場所はちゃんと分けるから心配しないで♪」



なるほど


元世界にあった2世帯住宅のような作りなのか、、、っていうかこの大きさだと10世帯住宅でも余裕そうだけどな(笑)



「あのオリビエ様、、いえ、オリビエさん、室内にお風呂が無いようですけど中庭に作るのでしょうか?」


「アルテミス様はまだ教えて貰って無いようですね、お風呂は『シャワールーム』と書いてある場所になります。」



むむっ!


シャワールームだと?


この国に『シャワー』なんて言葉も物も存在しない。魔法が得意なら似たような事が出来るだろうけど、ゲオルグ様の所の風呂場でさえシャワーなんて無かったよ


シャワーの代わりにメイドさんが優しくお湯をかけてくれるから、必要無いとも言えるけど


そもそも水道が無いのにシャワーを作るのは難しいと思う。家の屋上に水を貯めるタンクを設置すればシャワーも作れるだろうけど、水を補充する労力を考えると現実的では無いだろう


もしかして自動で水を汲み上げる魔道具でも設置してあるのかもしれんけど、お湯はどうすんの?それも魔道具か?



「ねぇシン君、シャワールームって、なぁ~に?」



あ゛っ?!


ミリーさんが素敵な笑顔で笑っていらっしゃる!


ただ今回に関しては俺の方が教えて欲しいくらいなんですけどぉー(汗)



「えっと、オリビエさんシャワールームと言うのは」


「それについてはシンさんの協力が必要なのよ。結婚のお祝いと言っておいて申し訳無いのだけど、勿論メリルさん、ニィナさん、お藤さんには相談済みだけど、どうかしら?」


「無料の時点で充分過ぎるほどなんで喜んで協力しますけど、俺に出来る事は無いような気が」


「大丈夫よ、必要なのは組み立て式の家だから。お風呂、トイレ、リビング、ソーラーパネルを木造の家に組み込む感じね♪」



なるほどその手があったか♪


オリビエさんが言ってる組み立て式の家は、俺が創造神様からパフェ3種類と交換して貰った『プレハブ仮設住宅』の事だ。


たくさん貰ったから研究用にひと組オリビエさんにプレゼントしたんだけど、こういう形で有効利用してくれるとは思わんかった。



プレハブ仮設住宅に付属している電化製品は、屋根に設置したソーラーパネルで発電した電気で動くんだけど、なんとこのソーラーパネル、水も自動で作って蛇口から出してくれる超便利アイテムなんだ!


創造神様が創った物だから、物理法則とか通常の魔法原理を完全に無視したチートアイテムだけど


環境に優しい超エコエネルギーだから何の問題も無い


こういうとんでも便利アイテム


俺は大好きだぜ♪






つづく。

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