第432話 創造神像

「これ旨っ!ふーちゃん、このお菓子ジャンクな味がしてめっちゃ美味しいで♪」


「ちょっとちーちゃん!勝手に食べないでっていつも言ってるでしょ(怒)それと、ジャンクな味が何かなんて分かって無いのに雰囲気で言ってるだけよね?」


「こっ、ここここ細かい事はええやん、雰囲気も大事なんやから(汗)駄菓子ありがとうなぁ~、ほなばいば~い♪」


「もう、ちーちゃんったら。そうそう、お供えにはジャンクな食べ物も大歓迎ですから気にしないで下さいね。それではさようなら~」


「はい、さようなら~」



創造神様と地球を担当している神様のちーちゃんさんは、お供えの『駄菓子詰め合わせ』を持って、ご機嫌に帰って行った。


まぁいつものように、創造神様とちーちゃんさんは全身が光輝いて表情が見えないから


ご機嫌な雰囲気をビシバシさせて帰って行った、と言うのが正しいんだけどな(笑)



「あっ、あの、シンさん、、、めめめ、、、めが、、女神、、女神様が!」


「アルテミスさん、今のは女神様では無くて『創造神様』とその友達ですから、お間違い無きようにお願いします。」


「創造神様ですか?わっ、分かりました、、、って友達?!」



ふふっ


『驚いて目を丸くする』なんて表現はよく聞くけど


驚いて目を丸くする人を実際にこの目で見る日が来るとは思わなかったよ。



俺はアルテミスさんと一緒に教会に来ている。


俺の秘密を口で説明するよりも、教会でお供えをして創造神様の姿を見た方が早いと思ったからだ


充分過ぎるほどの効果はあったけど、、、 やり過ぎた感じも否定は出来ない。しかしながら色々と恩恵はあるから許して欲しい。



「えっと、とりあえず『ひと口ドーナツ』食べますか?」


「どーなつ?」


「ええ、驚き過ぎて頭が働かない時は甘い物を食べるのが1番ですよ、はいどうぞ♪」


「いただきます。あーんっ、、あまぁ~い♪」




よし!


アルテミスさんには落ち着くまで、お供えの残りの駄菓子を食べて貰ってと


俺はそのまま教会の後ろの方に視線を移し、涙を流しながらも静かに創造神像に向かって祈りを捧げている教会のシスターさんに


『今回もお騒がせして申し訳ありません』という意味を込めた視線を送る


すると俺の視線に気付いたシスターさんも『すべては創造神様の御心のままに』と返してくれた。


キャラバンシティで創造神様が降臨するのは珍しい事では無いけれど、俺以外の人が祈りを捧げても創造神様が降臨する事は無い


時には祈りを捧げて無いのに勝手に降臨しちゃう、とてもお茶目な神様ではあるけどな(笑)


たま~~~にだけど、俺以外の人の祈りにもきちんと応えて下さる素晴らしい神様なのは間違い無い!


そんな感じだから創造神様を崇拝しているシスターさんは、その御姿を見ると毎回感動しているという訳だ。



以前まではキャラバンシティの教会に設置している像の呼び方に決まりは無かった。


創造神様も呼び方にこだわりは無いみたいだったから、像の見た目から『女神像』と呼んでも良いし


俺の真似をして『創造神像』と呼ぶ人も居たのだが、『神殿』が女神様を信仰していると分かった今、キャラバンシティの教会に設置してある像は『創造神像』でなければならない!



その理由は『神殿』にある


神殿という組織は『女神様至上主義団体』、無駄に揉め事を起こす気は無いらしく、他の神様を否定しないし女神信仰を押し付けたりもしないらしいのだが


キャラバンシティの教会に設置してあるのが『女神像』という事になると、嬉々として神殿の管理下に置くだろう事は簡単に予想出来る


だからこれからは間違っても『女神像』と呼んでは絶対にいけないんだ。


『女神様』も『創造神様』も同じ神様なのに実に面倒くさいが、こればかりは仕方無い。




「あのシンさん、創造神様の友達と言うのはどういう事なのでしょうか?」



駄菓子を食べて落ち着いたのか、アルテミスさんが『創造神像』に向かって正座をした姿勢のまま俺に質問をしてきた。



「見ての通り仲が良さそうでしたよね♪」


「えっと、、、私の聞き間違いかもしれかいんですけど、何か揉めていたような気がしないでもないような」


「アルテミスさんには創造神様の声が聞こえたんですか?」


「もしかして、聞こえてはいけなかったのでしょうか(汗)」



へぇ~、ここが教会とはいえ声が聞こえるとはアルテミスさんやりおる!


創造神様の声を聞くには素質が必要らしくて、我が家でもはっきり声が聞こえるのはニィナだけなんだよな



「心配いりませんよ。声が聞こえた方がコミュニケーションがとりやすいってだけですから」


「シンさんは創造神様の使者様なのでしょうか?」


「うーん、どうなんでしょうね、アハハハ」



こっちの世界に来る時に創造神様から直接『テンプレな異世界を楽しんでね♪』って言われたから


その通りにこの世界を楽しんでる俺は創造神様の『使者』と言えなくも無いのかもしれないけど、それを認めると面倒くさい事にしかならないよなぁ



「そっ、そうですか」


「まぁアルテミスさんも深く考えずに楽しむのが1番ですよ♪せっかくなんで今から知り合いにアルテミスさんを紹介したいんですけど、良いですか?」


「勿論構いません。」


「そしたら最初は商業ギルドに、れっつらごー♪」


「おっ、、、おー(照)」






つづく。

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