第426話 いつもの朝

朝、目が覚めると


俺の左側には昨夜サーシャさんが産んだリコちゃんが寝ていて、右側にはいつも通り腹を出したケイトが寝ている。


リコちゃんを挟んで向こう側にはお藤お母さんとメリルとカスミが居て、女将さんとニィナはソファーベッドでちっちゃいドラゴン姿のシエーネさんと一緒に寝ている。


サーシャさんの出産が約9時間かかったから皆さんお疲れなんだろう。


今朝は俺が朝食の用意をしますかね、リコちゃんを起こさないようにそーーっと、、、



「んんぅ、、、ふぎゃ、、、」



あ゛っ


ヤベェ、リコちゃんが目を覚ましてグズっている!


赤ちゃんは寝るのと泣くのが仕事らしいけど、今の時間はちょっとだけで良いから我慢して欲しい(汗)


とりあえずリコちゃんを抱っこしてあやしながらグズっている原因を調べよう!


体調は、、、問題無し


オムツ、、、違う


お母さんが恋しい?当たってるかもしれんけど、サーシャさんは別室で休んでるからなぁ


どうしたもんか(困)



「ダンナ、リコちゃんはお腹が空いてるんだよ」



おおっ!


いつの間にやらケイトが起きているではないか



「リコちゃんのお腹が空いてるってよく分かるな」


「そりゃあ赤ちゃんの世話を1番してるのは孤児院の子供だろうからねぇ」



ぐはぁっ


色々と事情はあるんだろうけど、この国の大人はどんだけ子供を孤児院に捨てとんねん!


そんな事よりも今はリコちゃんの空腹を満たすのが先だな



「俺の収納から哺乳瓶を取り出すから手を出してくれ」


「あいよ~」



こういう事も想定して、サーシャさんには搾乳機を使って貰って母乳は確保済みなんだ♪


母乳も俺の収納に入れておけば時間停止して劣化しないから、沢山ストックしておけばサーシャさんの負担も減らせるだろう。



「じゃあ哺乳瓶出すぞ~、せーのっ」


「、、よっと!」


「ナイスキャッチ♪」



ふふっ


ケイトに哺乳瓶を差し出されたリコちゃんはグビグビ母乳を飲んでいて、その姿を見てるだけで和むなぁ


沢山飲んで元気に育つんやで♪



しかしながら出産直後のサーシャさんはしばらく我が家で安静にしていて貰う必要がある


間違っても数日で仕事復帰なんて事はあり得ないし、自宅に戻るのも無しだ!


申し訳無いけどサーシャさんの自宅の衛生環境は赤ちゃんが生活するのに適して無いと思う。


サーシャさんの自宅が特別どうって訳ではなく、この国の一般的な衛生に対する考え方が日本と比べると劣っているってだけだ。



「あう゛ぅ、、、ふあ゛ぁ、、ぶあ゛っ」



ありゃ?


リコちゃんがまたグズり出しちゃったよ、母乳の飲み過ぎで気持ち悪くなったのかな?


いや、今回はオムツか


赤ちゃんってのは忙しいねぇ(笑)



「ケイトすまんけどその辺にオムツ置いてあったろ?取ってくれ」


「は~い、それにしてもダンナが出してくれた『神オムツ』って便利だね」


「そうだろ♪っていうか『神』じゃなくて『紙』な、創造神様が創ってるから『神オムツ』と言っても間違いじゃ無いんだろうけどさ」


「でも1回使ったら捨てるんでしょ?ちょっと勿体無い気はするかな」


「だからと言って洗えないんだよな。育児の負担が激減するから我が家では『神オムツ』を使うから、ケイトも使い方覚えてくれよ」


「うん♪」



紙オムツの他にも粉ミルクや離乳食やら、必要そうな物は片っ端からスキルの「店」で購入済みだ♪


サーシャさんには悪いけど、将来自分の子供を育てる時の練習にリコちゃんを使わせて貰うつもりだ。


その代わり、我が家に居れば母子共に病気や怪我をしても即対応出来るし、全力で育児をサポートするから許して欲しい。


今後、池田屋商会の従業員が出産したら、お祝いとして『紙オムツ』と『粉ミルク』を贈るとしよう!



「ねぇダンナァ、お腹空いたよぉ~(悲)」


『『『『グゥ~~~』』』』


「「「うんうん!」」」



わぁお!


いつの間にかヨウコさんとシエーネさん、そしてリビングの外に出したソファーベッドで寝ていたはずのスミレがやって来ていて


4人のお腹が仲良く鳴ってるよ(笑)



「はいはい、今日はリコちゃんが産まれためでたい日だからな、お祝いに寿司とすき焼きと、デザートにロールケーキも付けるか」


「「「「やったぁー♪」」」」



ふふっ


何があっても、我が家の朝が賑やかなのは変わらないねぇ(笑)






つづく。

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