第419話 温かいお酒と世間話となんやかんや その3
「そういえば気になってたんですけど『神殿』って王都に教会のような建物があるんですか?」
「あるわよぉ~、でも王都ベルチカにあるのは所謂支部で、本山は聖域と呼ばれている『アッティカ』だけどねぇ~。シン君が神殿の事を聞くなんて、そんなに気になっちゃう?気になっちゃうの?ちょっとだけなら良いかなぁ~、あははははは♪」
おぅふ(汗)
あんまり深刻な感じにしたくないからミリーさんがホロ酔いになるまで待ってたけど、これは既に泥酔しとるがな!
「ミリアリアが言うように、あんたから神殿の話題をしてくるのは珍しいね」
「さすがの俺でもそろそろ避けては通れないだろうなってのは感じてるからな。とりあえず神殿の基本情報は教えて欲しい」
「あんたが知りたいって言うなら教えるのは構わないけど、まだちょいと飲み足りないねぇ」
「はいはい、梅酒で良いか?他にも米の酒とか色々あるけど」
「梅酒は家でも飲みたいからあるだけ欲しいね♪」
「あるだけだな、ワイン樽で100樽ほどあるけどちゃんと持って帰ってくれよ」
「、、、は?今100樽って言ったのかい?ワイン樽で100樽?」
「足りないなら後日追加で贈るけど」
「バカな事を言うんじゃないよ、100樽も入る豪邸に住んでる訳が無いだろうが!」
いやいやいや、あるだけって言いましたやん(悲)
「じゃあ3樽くらいで良いか?」
「瓶で5本もあれば充分だよ」
「とりあえず1本は持ち帰りで残りは家に届けさせるよ。ベスって今はスラム街に住んで無いんだよな?」
「あぁ、元々は他の娼館より早く優秀な人材を確保しようと住んでただけだからね。今じゃスラム街も縮小傾向で住む意味が無くなっちまったけど、他より待遇が良いから雇って欲しいって女は毎日のように来るからね」
「そっちは頑張れとしか言えないけど、そろそろ神殿について教えてくれよ。ベスの為に持って来た『バッテラ』食べながらで良いから」
「ばってら?」
「サバって言う魚を酢で締めて酢飯に乗せた『寿司』って料理だよ。」
「ほぉほぉ、とりあえず1つ、あーんっ、もぐもぐもぐもぐ、、、なっ?!おいあんた、こんなに旨い物を今まで黙ってるとは酷い事をするじゃないか」
「えぇー?!無茶言うなよ、知ってる料理を片っ端から御馳走してもどうせ『食べきれるか!』とか言って怒るくせに」
「あはははははは、ババアの理不尽に耐えるのも若者の仕事のうちだよ。まっ、戯れは程々にして神殿についてだったね。神殿ってのはね、、、」
ベスから教えて貰った神殿について纏めると。
1、バルゴ王国建国から20~30年後に『神殿』という組織が作られ、バルゴ王国内のあちこちに神殿が管理する教会が建てられはじめる。
2、神殿は女神様を唯一神とする『女神様至上主義団体』
3、当時の神殿は回復魔法を使って怪我や病気を治療する、診療所のような役割だった。
4、200年ほど前に活躍した勇者『ヒーロー・サワタリ』によって、各地から優秀な人材を神殿に集めるようになり、神殿は組織として急拡大する。
5、現在は希少な回復魔法を使える者を王都に派遣する事で、王族や王都に駐在している貴族に多大な発言権を持つ。
「なぁベス、結論から言って神殿は危険な組織なのか?」
「前にも言ったと思うけど、神殿の領分を侵さない限りは何もして来ないよ。神殿は色々やってるけどその目的はただ1つ、女神様に会う事なんだよ。」
うーむ
いまいち神殿の領分とやらが何か分からんけど、貴族や裕福な商人相手に薬は売らない方がよさそうだ。
「女神様って会える存在なのか?」
「あたしにはその辺の事は詳しく分からないけど、初代勇者『ヒーロー・サワタリ』は生涯をかけて女神様に会おうとしてたらしいよ。その為に優秀な人材を集めてたらしいし、神殿はその意思を継いだって所かね」
初代勇者ヒーロー・サワタリ
もしや『英雄』と書いて『ヒーロー』と読むキラキラネームの日本人転生者もしくは転移者?
待て待て待て!
ヒーローで勇者って、ベタ過ぎるにも程があるやろ!
今さら確認のしようが無いから確かな事は分からんけど
元世界とこっちの世界の時間の流れは違うみたいだし、元世界からこっちの世界に来る時もタイムラグみたいなのがあるのかもしれない
お藤さんやイセガミさんも元世界だと俺よりかなり前の時代を生きてたっぽいからなぁ
『ヒーロー・サワタリ』が日本人だと仮定すると、名前の付け方からして俺より年下の可能性は充分にある。
昭和の時代に所謂キラキラネーム独特の名前の付け方は無かっただろうし、外国でも通用する名前って事ならもう少し一般的なのを付けるだろう。
ヒーロー・サワタリが俺より異世界ものの小説やアニメに詳しく、尚且つ中二病的に異世界とかチート能力に憧れがあったとすれば
何処かから勇者の試練の事を知って、どうにかして浮島に行こうと色々頑張ってる間にテンション上がってやり過ぎちゃった感は否めない。
ついでに言うと、ヒーロー・サワタリがチート能力を持っていたとすれば、こっちの世界に来る時に創造神様に会ってる可能性はあるから
唯一神として教会に女神像を設置するようにヒーロー・サワタリが進言したとすれば、とりあえず色々と繋がりはするのか?
創造神様も勇者の事は何も言って無かったから単純に忘れてるだけなのか、創造神様の興味を惹くような存在では無かっただけなのか、、、
まぁドラゴンさんが言うには浮島に勇者が来た事は無いらしいから、ヒーロー・サワタリの実力はその程度なのだろう。
だかしかし
既にキャラバンシティに創造神様が何回も降臨しちゃってるんだけど、これって神殿が真相を確認しに来たりするのではなかろうか(汗)
つづく。
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