第410話 秋の浮島ツアー
「さぁさぁシンさん、先ずは何処を案内してくれるのかしら♪」
「とりあえず畑を見に行きましょうか、作物はシエーネさんしか食べないらしいんで収穫し放題ですから」
俺は今、第一の試練をあっさりクリアしたアストレア様に浮島を案内している、、、とは言えないな
だって今の俺はアストレア様にズルズル引きずられているんだもの(笑)
まぁ、アストレア様はいつものように素敵な笑顔でいらっしゃるから何も問題は無い!
それに浮島を案内すると言っても見る所は、今向かっている畑とキノコが大量に育っている林と洞窟くらいだ。
おっと
そんなこんなで畑に到着だ。
「ねぇシンさん、今回は不作という事なのかしら?」
「あぁ~、残念ですけど流石にメロンの旬は終わりですかね」
前回来た時には大豊作だったメロン畑だけど、今は所々に少し小さいのが残っている程度だ。
まぁ小さいといっても普通にスーパーで売ってるくらいの大きさはあるんだけど、、、っていうか秋はやっぱりそっちか!
「アストレア様、向こうを見て下さい。」
「向こう?あらあらあら♪」
やはり秋はメロンじゃ無い!
畑から少し離れた所にはちゃんとサクランボ、ブドウ、モモの木があって大豊作やん♪
ただ木に成ってる実を1つずつ収穫するのは時間と手間がかかり過ぎるから、ここは魔法の出番だ!
指先からビー玉くらいの大きさの水の球をモモのヘタに狙いを定めて、パシュッ!パシュッ!
命中♪
落下して来たモモは地面に落ちる前にそのまま収納に回収っと
「お見事♪やっぱりシンさんくらい魔法が使えると便利ねぇ」
「すべては創造神様のお陰ですけどね(笑)この調子で一気に収穫しちゃいます。」
パシュシュシュシュシュシュシュ、パシュシュシュシュシュシュシュ、パシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ
うーむ、収穫ってこんなにイージーで良いのだろうか?
命中補正でもかかってるのか超ざっくりした狙いでも、俺の放った水の球は寸分違わずヘタ部分に飛んで行って実を落としてくれるから
キノコのある林を目指して歩きながらも、次々に水の球を飛ばして実を落とし回収して行く。
結果
5分程度で軽トラック3台分くらいの量が収穫出来てしまった。
まぁ果物はいくらあっても全く困らない
半分はアストレア様に渡すとしても、池田屋商会の従業員用の食堂に持って行ったら2日くらいで全部無くなる量なんだもの(笑)
『ジュワジュワジュワジュワジュワジュワジュワジュワ』
「シンさん!そろそろ良いんじゃないかしら?」
「そうですね、ここに醤油を少し垂らして完成です♪さあどうぞ」
「いただきまーす。ふぅー、ふぅー、あーんっ、はふはふ、はふはふ、、、うん!じゅわっと旨味が出て来て美味しいわぁ~♪」
ふふっ
豪快に焼きたての椎茸にかぶり付いているアストレア様は10代の少女のような雰囲気すらあるから
見ていてとてもほっこりするよ(笑)
どうして椎茸を焼いて食べているのかと言うと
果物の次はキノコの収穫をしようと、前回来た時にはポルチーニ茸や松茸が大量にあった林に来てみれば
こっちも秋仕様なのかソフトボールくらいの大きさのマッシュルームと、アストレア様の顔くらいある椎茸が大量だったから、休憩がてら椎茸を焼いて試食している。
だがしかし
この世界って作物を育てるのに季節はあまり関係無い気がするんだよな、苗から育てて収穫まで凄く早いし。
まぁ創造神様が1年中美味しい作物が食べたいからって事なのだろう。
そしてキノコのチョイスは、前回来た時にドラゴンのシエーネさんに渡した焼き肉のタレに合いそうなキノコを選んで育てている気がするよ(笑)
そうそう!
忘れちゃいけないトリュフも、ちゃんとワイン樽いっぱいに収穫しておいた。
何故かは分からんけど、アストレア様は大量のトリュフを見て少し頭を抱えていらっしゃったけど
収穫した『佐藤錦』みたいなサクランボを試食して、めっちゃ御機嫌だったから何も問題は無い♪
「そうそう、娘のアルテミスが久しぶりに帰って来るのよ。近々シンさんに紹介するから遠出の予定は入れないでね」
「かしこまりました。という事は歓迎の宴をしないといけませんね」
「うーん、あの子は宴とかは嫌がるかも」
「そうなのですか?」
「ほら、前にも言ったけどアルテミスは政略結婚だったから、妬まれはしてもあの子が歓迎される宴なんて無いから」
「なるほど、そういう事であれば我が家で普通の食事会にしましょう。しかし聞けば聞くほど貴族の世界って面倒ですね」
「えぇ、私も心の底からシンさんの意見に同意するわ。でもシンさんから貰ったトリュフのお陰でアルテミスが帰って来るんだもの、感謝しかないわ。ありがとうシンさん♪」
「どっ、どういたしまして?」
うーん
トリュフでどうしてアルテミス様が帰って来るのかさっぱり分からないんだけど、トリュフが凄く好きなのだろうか?
「あの、ちなみにアルテミス様が好きな食べ物って何ですか?」
「特別好きな物も嫌いな物も無かったと思うけど、シンさんが作る料理なら何でも気に入ると思うからよろしくね♪」
「お任せ下さい!」
アルテミス様かぁ、話を聞いたイメージだと御自身で前に出て積極的に何かをするような性格では無いっぽいから、貴族には向いて無いのかもしれん
だからといって俺に出来るのは美味しい料理とお菓子を作る事だけだからな
久しぶりに気合いを入れまっせ!
つづく。
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