特別S.S. テンプレな夢のおはなし
side:???
目が覚めると
外から射し込んだオレンジ色の光が、部屋の窓ガラスに反射してキラキラしているのが見える
もう夕方か
椅子に座ってぼーっとしていたら寝てしまっていたらしい
最近は昼間に寝ている事が多くなったなぁ、身体はまだまだ元気だけど俺も年をとったという事か
窓ガラスも俺がこの世界に来た時は侯爵様の邸でも見た事無かったけど、最近になってようやく普通のお金持ちでも手に入るくらいまで普及してきたんだよな
当時もガラス瓶はあったのに何十年かかっとんねん!っていう話だよ
どうせガラス組合とかが邪魔してたとかやろうけど
「おじいさまおきたのぉ~?」
先程から俺の膝に座って絵本を読んでいた犬耳の女の子が振り返って聞いてくる
「起きたでぇ~、ほれっ♪」
「おかあひゃんよんでくりゅね♪」
『ガチャ』
俺が女の子のほっぺをむにむにすると、短パンに開けた穴から出した、くるんと丸まった短い尻尾をぶんぶん振りながら嬉しそうに部屋から出て行ってしまった。
あの犬耳の女の子の名前は『なずな』俺の孫だ
そして母親は、、、誰だったかな?
子や孫達の名前は当然ながら全員覚えているけれど、孫や曾孫や玄孫が多過ぎてそれぞれの親子関係まで覚えるのは無理だった
だから曾孫以降の子供達も全員統一して『孫』と呼んでいる(笑)
『ガチャ』
「旦那様ぁ~、なずなが呼びに来ましたけど起きたのなら組合の人達と会って下さい、皆さん旦那様と話がしたいからって待ってますよぉ」
なずなが呼びに行ったのはウェンディだったか、なずなとウェンディに血の繋がりは無いけれど
我が家は家族が多いから結婚している女性は全員、成人前の子供達から『お母さん』か『マーマ』と呼ばれている
元々はお藤さんが『おばあちゃん』と呼ばれるのを嫌がった為に定着した習慣なんだけどな
「ウェンディ、そういうのは商会の担当者がやる事じゃないの?俺はもう現役じゃないんだけど」
「それはしょうがないですねぇ、旦那様に話を聞いて貰えたかどうかで信用度が全然違いますし、ステータスにもなってるんですから」
「いやいやいや、俺と話をしただけでステータスにはならんでしょ?!」
「もぉ、旦那様は昔から自分の価値を低く見てるんですから、でもそれが旦那様の良さでもあるんですけどねぇ~♪」
はぁ
マジで勘弁して欲しいよ、俺も今年で90歳やで
創造神様のお陰なのか90歳とは思えないくらい見た目が若くて元気だけどさ、流石に20代の時と比べると体力も落ちてるのよ
それに引き換えエルフのウェンディは、出会って約70年経つのに昔と全然変わらないんだよなぁ
いや、少し大人っぽくはなったか
高校生だった子が大学生になったくらいの変化はあるだろう、長命種族のエルフにとって70年の時間はそれくらいの変化しか無い
「お父さん、起きたのなら仕事をお願いします。お父さんでなければ片付かない仕事が山積みですので」
ウェンディに続いて部屋に入って来たのは俺の娘で次女のリィナ
銀髪と浅黒い肌と腰のベルトに挿した伸縮型の特殊警棒が特徴的なハーフダークエルフ
10代のような見た目だけど、たしか今年で67歳だったかな?
「なぁリィナ、俺はもう90歳のおじいちゃんなんやから、もうちょっと他の誰かに仕事をやって貰ったらあかんの?」
「お父様、それはちょっと無理かもしれません。お父様の影響力は下がるどころか高まる一方ですから」
困った表情で遠慮がちに俺に話しかけて来たのは、頭の上に途中で折れ曲がって垂れ下がっている2本のうさぎ耳が特徴的な、ハーフ獣人で三女のアスミ
アスミも俺の娘で年齢は62歳だ。
長命種族のウェンディやリィナとは違って年相応の見た目、、、とは言えないか
どう見ても20代にしか見えん!
女性の美しさを保つ為に、俺のチート能力を自重無しで使ったせいなんだけど
美しい女性が増えて困る奴などいないから何の問題も無いだろう。
我が娘ながら美人過ぎていつまでも眺めていられる♪
美人は3日で飽きるとか誰が言ったのかは知らんけど
俺はこの70年間、美人な奥さんと別嬪さんな奥さんを見続けて未だにまったく飽きないけどな!
「そうそう、ニィナお母さんに王都の騎士団から訓練をして欲しいって依頼が来てましたよ」
「丁重にお断りやな、向こうがゴネたら2度と酒は売らんって言うとけ」
「ふふっ、王都の騎士団にそんな事を言えるのはお父さんしか居ないんですから、頑張って仕事をして下さいね♪」
「えぇー?!」
くっ!
我が娘ながら容赦がない、いったい誰がこんな娘に育てたんだ
ニィナと俺だよ♪
とりあえず現実逃避の為に窓から外を見ると、俺とメリルの娘で長女のシェリルが庭の花壇の手入れをしているのが見える
シェリルもこっちに気付いたらしく手を振っているので俺も手を振って応える
シェリルは純粋な人族で年齢は今年で68歳だ
俺の子供の中では唯一歳相応、、、
でも無いか
どんなに頑張っても30歳くらいの見た目だもんなぁ(笑)
「パパァ~♪」
「キャンディ~♪」
『ぎゅぅぅぅ♪』
次に部屋に入って来て勢いよく俺に抱き付いて来たのは八女、、、いや九女だったかな?のハーフエルフのキャンディ
7~10歳くらいの見た目だけどこれでも50歳を越えている。
エルフという種族は長命故に精神の成長が緩やかで、50歳を過ぎてもキャンディはまだまだ甘えたい盛りだ。
だがしかし
シェリルやリィナをはじめ俺の子供達は立派に育ち過ぎてしまい、仕事に関して凄く厳しい(泣)
立派過ぎて最早俺の娘達だけでも池田屋商会は問題無く運営出来ると思うのだが、未だに俺を最前線で働かせようとするんだもの
それが最善の選択だと言われると俺も文句は言えないけど、将来を考えると心配でゆっくり隠居生活もしていられないのよ(悲)
だから未だに全力で甘えてくれるキャンディは俺の癒しだ♪
一緒にお風呂にも入ってくれるしな!
「、、、様、、、人様、、起きて、、、、、ご主人様起きて下さい!」
「はっ?!、、、カスミ!今までのは夢、、か?」
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「えっと、カスミは子供産んだ事無いよな?」
「はい、ありませんけど、、、?」
首をかしげて不思議そうにカスミが俺を見てるという事は、さっきのは完全に夢やな
はっきり覚えて無いけど妻も子供も凄くたくさん居たような気がする(汗)
子沢山なのは良いけど、メリルとニィナ以外の女性を妻にする気は無い!
あ゛っ?!
そういえば俺の意志と関係無く妾が増える可能性はあるんだった、、、
とっ、とにかく今はカスミのほっぺをむにむにして現実逃避をしよう!
「ごしゅじんひゃまくしゅぐったいれひゅ♪」
ふふふっ
いつ触ってもカスミのほっぺはスベスベやなぁ
よぉーし、次はスミレをもふもふしに行こうっと♪
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