第403話 そして伝説に?
結婚式というめでたい日に、キャラバンシティを襲撃に来た空気の読めない馬鹿な賊を蹴散らす為
レヴァティ様、ステフ様の2人を先頭に
我が家のみんなも一緒に街の外が良く見える石壁の上にやって来た。
「あちゃ~、予想以上の団体さんだけど、どうするのダンナ?」
「どうするって言われてもなぁ、、、」
ケイトの言うように街から1キロくらい離れた街道には、武器を持った団体さんが居て
梯子やら門を壊す為の攻城兵器と思われる道具を乗せた馬車と共にこちらに近付いて来ている
しかも街道脇の森にもかなりの人数が居るっぽいんだけど
どーすんのこれ?
「あのようなゴミは私が残らず冥府に送ってご覧にいれましょう♪」
『カシャン、カシャン』
笑ってるぅーー!
ニィナが警棒を両手に持って素敵な笑顔で笑ってるぅー(汗)
「あのですね、夫としては奥さんを戦わせるのは嫌なんだけど」
「おっ、おおおおお奥さん(照)、、、そう言われるのであれば今回は戦うのを止めます。」
ほっ
ニィナならあんなゴミ相手にやられはしないだろうけど、今回は相手が200~300人は居るっぽいし
ここはヨウコさんとリリーの神獣ペアに頼るしか無いか?
「わはははは、シン殿達は既に良き夫婦のようだな♪これは我等も気合いが入ると言うものだ、準備は良いかアリエス辺境伯」
「いつでも良いよ~♪」
レヴァティ様とステフ様が石壁の上から賊に向けて何かするみたいだけど、、、
「アストレア様、2人に任せて良いのですか?」
「ふふっ、旦那様もすこ~しだけ本気みたいだから大丈夫でしょ♪」
アストレア様の表情がいつもと同じって事は、あの程度の賊は問題無いんだろうけど
(ナガクラ様、我々はどうしますか?)
おっ!
ヨウコさんの念話
(とりあえず様子見でお願いします。)
(かしこまりました)
レヴァティ様とステフ様は先程から何やらぶつぶつ呟きながら集中力を高めているように見える
賊との距離はまだ500メートル以上あるけど、魔法を使うのか?
「ウォーターウォール!」
っ?!
レヴァティ様が魔法を唱えた次の瞬間、街と賊との間に水の壁と言うか水のカーテンみたいな物が出現し、賊を囲むように広がって行く
それを確認したステフ様が1歩前に出た。
「ふぅー、、、穿て、ヴォルケーノ!」
『ズドォーーーン!ズドォーーーン!ズドォーーーン!』
「「「「「おおっ!」」」」」
「わぁっ、綺麗♪」
「そっ、そうだね(汗)」
メリルが言った通り水のカーテン越しに見える地面から噴き出した何本もの火柱は、まるでプロジェクションマッピングを見ているかのようにとても幻想的だ♪
ステフ様の火魔法をレヴァティ様の水魔法で囲う事で、森を燃やさず効果範囲を限定してるっぽい
それにしても、地面から噴き出した火柱は賊を燃やすのではなくて吹き飛ばしているんだけど、、、
まぁ馬鹿な賊はどうでも良いや
貴族ってのは皆こんなに大規模な魔法を平気で使えるのか?
「ん?、、、誤解の無いようにシン殿に言っておくが、このような大規模な魔法を使えるのは十二家だけだし、その中でもあの2人は別格だからな!」
俺はよほど驚いた表情をしていたのだろう、それに気付いたゲオルグ様が慌てて説明をしてくれるけど
たとえ大規模な魔法が使えなくても、レヴァティ様とステフ様の2人と肩を並べる他の十二家っていったい、、、(汗)
「これでシンさんは街を守った英雄として後の世に伝説として残るかもねぇ♪」
「え゛っ?!、、、しかしアストレア様、賊を蹴散らしたのはレヴァティ様とステフ様ですよ?」
「うふふっ、2人はシンさんの為に頑張っただけだから、そこまでさせたシンさんが称えられるのは当然じゃない♪」
うーむ
まったく納得出来ないのだが
「ねぇおにいちゃん、これって『商人英雄伝説』達成だよね♪次はどんな伝説を作るの?」
おいおいメリルさん、何ですかそのダサい名前の伝説は、、、
っていうかそのダサい名前付けたん俺やがな!
すっかり忘れてたぜ
最初はメリルを元気付ける為に、ノリと勢いで伝説創ろうって言っただけなんだよなぁ
でも、我が家のみんなが期待を込めたキラキラした表情で俺を見ているから
今更そんな事を言える雰囲気では無い!
「えぇーっと、、、次は池田屋商会で伝説創ってみる?」
「それ良いね♪さっそく商会に戻ってアルさんに相談しなくっちゃ!」
「主様、私は影ながらお手伝いしますので、その、えーっと、、、」
「はいはい、ニィナは俺の護衛を頑張ってくれれば良いから」
「はい♪」
ニィナって未だにアルが苦手なんだよな、まぁ初対面の時の印象が悪かったからしょうがないけど(笑)
『『『ぐぅ~』』』
はい!
スミレ、ケイト、ヨウコさんの我が家の腹ぺこ娘トリオが空腹で限界みたいだ。
「皆さん戻って食事にしましょう。試作して熟成させてたウィスキーの感想も聞きたいですし」
「なっ?!それってシンさんが最初に造ったウィスキーよね?」
「そうですね、熟成中に自然蒸発して量が減っちゃったんでこれ以上置いとけないんです。」
「こうしちゃいられないわ、シンさん急いで!」
オリビエさんのテンションが上がるのも無理は無い
俺が酒場のエールを蒸留して造ったなんちゃってウィスキーだけど、1番熟成期間が長いから味がどうなっているのか気になるんだろう。
「あの、ご主人様」
「カスミどうしたん?」
「良い奥さんになるにはどうしたら良いんでしょうか?」
「ん~、、、なかなか難しい質問やな、カスミやったら今のままで充分素敵な奥さんになれると思うけど」
「それじゃあもっと頑張りますね♪」
「おうっ、頑張れ!」
カスミは充分頑張ってるねんけどなぁ
「あははは、ダンナも頑張んないとな♪」
「そうね、私達エルフの為にもシン君には頑張って貰わないと!」
「ミリーさんにケイト、それはどういう意味なの?」
「ミリーちゃんにケイトちゃんにシンさーん、置いて行くわよ~」
「はーい、マーマ今行きまーす♪」
「お母さーん待ってよぉー!」
あれ?
気付けば我が家のみんなは俺達を置いて商会に向かって歩いているではないか!
「ちょっ、みんな置いて行かないでくれぇ~(泣)」
「旦那様、お早く♪」
「おにいちゃん早く~♪」
振り返ったニィナとメリルの笑顔を見てると、、、
もう奥さんになったのか
世界で1番別嬪さんな奥さんと、世界で1番美人な奥さんの笑顔を見れるなら
俺はこれからも全力で頑張れちゃうんだぜ♪
自分の幸せが1番大事な男、シン・ナガクラ
これは彼と彼の家族の、とても些細な日常の物語である。
第10章 完
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