第397話 自由な神様は好きですか?

姉さん事件です!


いや、俺に姉は居ないんだけども


そんな事をノリと勢いで言っちゃうくらいには大きな事件、、、


街の人達にとっては慶事と呼ぶべき出来事が起きた。



俺とメリルの結婚式が1週間後に迫った今日は、久し振りに池田屋商会に顔を出して会長としての仕事をしたり


オリビエさんの所に行って結婚式の細かい打ち合わせをしたりしてたんだけど、最後に行った教会でそれは起きた。



教会にも結婚式の打ち合わせをする為に行ったら、女神像の前で光輝く女性2人が普通にお茶飲みながらお菓子を食べてるんだもの


ついでに女神像もキラキラ光ってるし(汗)


お茶はシスターさんが出したらしいけど、お菓子は教会の隣で『こども園』の子供達が売っている大学芋っぽいお菓子『甘芋』だった。


シスターさんが言うには


光輝く2人の女性は、歩いて子供達のやっている屋台まで行って普通に列に並んだらしい


順番が来ると身ぶり手振りで欲しい数を店員の子供に伝えて、ちゃんとお金を払って教会に戻って来たんだとか


こんな事があったのにほとんど騒ぎになって無いのが不思議なくらいだけど


キャラバンシティに住んでる人達にとって神様の姿を直接見る事は、珍しい事では無くなってるし


下手に騒いで御機嫌を損ねるのが怖いっていう理由もあるんだと思う。



しかしですね


創造神様にちーちゃんさん、何も言わずに突然出て来るのは止めて欲しいなぁ


たまたま教会に来ていた人達が床にひれ伏して祈っちゃってるじゃないですか!


神様のなさる事に文句を言うなんて畏れ多いので何も言いませんし


2人の、、、2人?


神様を『2人』って言うのは間違っている気がするけど、こっちに来てる間は面倒だから2人で良いや(笑)


2人を見た人達は喜んでるから問題無いと言えば無いんだけれど



(やっほぉー♪結婚するって聞いたからお祝いを言いに来たでぇ~、おめでとうなぁ)


(おめでとうございます。お相手の方共々私が祝福を授けますから、遠慮無く励んで大丈夫ですよぉ~♪)



おぅふ


何を励むのかはあえて聞かないし、祝福はとても嬉しいですけど


なんだかなぁ



(創造神様にちーちゃんさん、ありがとうございます。えっと、お祈りしなくてもこっちに出て来れましたっけ?)


(普段は無理やねんけど、今は結婚式の準備で街の人達の気持ちが1つになってるのもあるし、街に住む人も増えたからやね♪だから大会の時も来れると思うから安心してええで♪)



それは安心する所なのだろうか?



(あまり長居しても良くないし、そろそろ帰りますね)


(えぇー?!まだポップコーン食べてないやん!)


(ちーちゃん!ポップコーンは定期的にお供えしてくれてるんだから今食べなくても良いでしょ!)


(目の前で作ってくれる出来立てが食べたいやん)


(はいはい、そういう我儘は地球でやってよね。今度こそ帰ります、、、そうそう!ウェディングケーキ楽しみにしてますね♪さようなら~)


(1段目のチョコレートケーキの割合はもう少し多くても良いと思うで。ほな、ばいばーい)


(さようなら~)



どうやらウェディングケーキは予想以上に喜んで貰えて、楽しみにもしてくださって良かったけど


とりあえずチョコレートケーキは個別にお供えしておこう。



「あっ、あのシンさん、よろしいでしょうか?」



教会の隅で静かに創造神様達を見守っていたシスターさんが声をかけて来た。



「はい、なんでしょう。」


「はっきりとは聞こえなかったのですが、創造神様と女神様はポップコーンを御所望なのでしょうか?」



おおっ!


シスターさんは創造神様達の声がなんとなく聞こえたっぽいけど、神様が2人も出て来た事についての疑問とかは無いのだろうか?


聞かれても答えに困るから良いんだけどね。



「ポップコーンに限らず屋台の食べ物は好きそうですよね、アハハハ」


「そうなのですね♪さっそく屋台の食べ物をお供えしなくては!シンさん、失礼します。」



言うが早いかシスターさんは走って外に行ってしまった。



「ナガクラ様、お願いがあります。」



ん?


微妙に顔色を悪くしたヨウコさんが俺にお願いって事はまさか、、、



「なんでしょう」


「ウェディングケーキの2段目はチーズケーキですけど、ベイクドチーズケーキを追加して頂く事は可能でしょうか?」


「まぁ色んな種類のチーズケーキを並べただけなので入れ換えは可能ですけど、、、ちなみに創造神様とちーちゃんさん、どちらからの要望なんですか?」


「えーっと、両方ですね、アハハ」



ヨウコさんの渇いた笑いがなんだかなぁ



「無いとは思いますけど、お願いと言う名の脅迫ってことは」「無いです!無いです!決してそのような事はありませんので、ご安心下さい!」


「その焦り方はちょっと怪しいですけど」


「もしナガクラ様に断られた場合を考えると、どうしても冷静で居るという事は難しいですから(汗)」




創造神様とちーちゃんさんの性格を考えると、無意識に圧をかけちゃってるんだろうなぁ~


次のお供えの時にでも、やんわり注意をしておこう♪






つづく。

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