閑話 シャワー
side:サチコ・イセガミ
「おーいリリー、そんなに急がなくても充分間に合うから、もうちょっとゆっくり歩いてよぉ(汗)」
「がうがうっ!」
「はいはい、料理は出来立て熱々が美味しいから絶対に遅れたく無いんだよね?分かってますよー」
「わん♪」
今にも駆け出して行きそうなリリーを説得して、なんとか早歩きにして貰い後を付いていく。
今日はシンさんから
『旧領主邸に家を建てたから一緒に晩ご飯食べない?』
というちょっと意味の分からない晩ご飯のお誘いをされたので、リリーと一緒に旧領主邸に向かっている。
シンさんが私の想像を遥かに越える、とんでもない人だというのは充分承知しているけれど
家ってそんな簡単に建てられる物だったかな?
「わふっ!」
「リリーさんお疲れ様です。警備は我々にお任せ下さい!イセガミさんもお疲れ様です。話は聞いてますのでこのまま庭へどうぞ!」
「あっ、はい、ありがとうございます。」
リリーを追いかけるように歩いていたらあっという間に旧領主邸に着いていた。
でも門兵さんが普通にリリーとお話してるのには、驚きを通り越して思わず笑っちゃいそうになったけどね(笑)
それにしてもシンさんが家を建てたって事は、旧領主邸の庭に引っ越すって事なのかな?
まぁ頑丈な塀に囲まれてるし、アストレア様の兵士さんが常に警備しているから安全を重視した結果なのかもしれないけど、、、え?
『家』を建てたって言うからてっきり貴族の屋敷みたいなのを想像してたんだけど、私の目の前に幾つも並んでる建物は
あきらかに木とは違う素材で出来た箱みたいに凄い四角い建物だった。
庭には他に建造物が無いからこの箱みたいなのが家だと思う。
ちゃんと『ナガクラ』って表札を出してくれているから間違い無いと思うけど、普通にドアをノックして良いのか迷ぅー(汗)
「わふっ」
「え?ドアの横にあるボタンを押せば良いの?リリーがそう言うなら、えいっ!」
リリーに言われるままにボタンを押すと
『ピンポーン』
音が鳴った?!
『ガチャ』
「さっちゃん、リリー、こんばんは~♪」
「スミレちゃんこんばんは」
「わん♪」
ほっ
貴族のお屋敷みたいにメイドさんとか執事さんが出て来るんじゃないかと緊張したけど、ドアを開けて出て来てくれたスミレちゃんを見て安心する
「もうすぐご飯だから早く入って~」
「わふわふ♪」
ふふっ
リリーは食いしん坊だから嬉しそうだなぁ(笑)
2人に続いて家の中に入ると見た目通りそれほど広くは無い
だけど
畳だ
畳の部屋がある!
基本的には洋風の家なのに、随所に日本を感じられる物があってとても懐かしい気持ちになる
こういうのを見ると、シンさんも日本に住んでたんだなぁと改めて思う。
他にもこの家の台所とかトイレとか驚く物はいっぱいあったけど、その中で私が1番驚いたのはシャワーだった。
何なのこのシャワーという物は!
水もお湯も自由に切り換えが出来る上に、勢いも凄いから髪の毛を洗うのも一瞬だった。
シンさんの持ってる魔道具が凄いからだっていうのは分かるけど
今まで長い時間をかけて髪の毛を洗っていたあの時間っていったい、、、
はぁ~
色々考えてたら少しだけ心の汗が出てしまい、一緒にお風呂に入っていたスミレちゃんに心配されてしまった。
うん、私は大丈夫!
シンさんと池田屋商会の為にこれからも頑張ろうって思えたから
一所懸命に働くから商会の宿舎のお風呂にも、シャワーの魔道具を付けて貰えないかなぁ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。