第393話 自転車の練習をしよう。
「ナガクラ様、ちゃんと持ってて下さいね!離しては駄目ですからね!」
「エレーナ様、大丈夫ですよ~」
「シッ、シン殿?!手を離してしまっているが大丈夫なのか?」
「ゲオルグ様静かに!エレーナ様に聞こえてしまいます。これが私の故郷では当たり前の練習方法なんですよ、それに倒れずにちゃんと進んでいるのでもう補助も要りませんね♪」
「たっ、確かに。しかし何回見ても車輪2個だけで倒れぬとは、自転車というのは不思議な乗り物だな」
現在の時刻は夜が明けて間もない早朝だけど
ステフ様
マリーナ様
エレーナ様
ミレイユ様
以上の4人に自転車の乗り方を教えている。
本当はステフ様だけの予定だったんだけど、貴族の皆様はキャラバンシティに滞在中は仕事が無く暇だったようで
揃って朝稽古の準備をしている所に遭遇してしまい、自転車に興味を示したゲオルグ様の娘さん達も一緒に自転車の練習をする事になった。
幸いだったのは、ソレイユ様も自転車に乗りたがったんだけどさすがに怪我をさせられないって事で
メイドさん達に全力で止められてもの凄ぉーくがっかりしていたけど、こればっかりはどうしようもない。
『ガシャンッ!』
「ナガクラく~ん、どうしたら自転車に乗れるようになるの?」
「えっと、自転車はある程度スピードが無いと倒れてしまうので、思いきってペダルを漕ぐ事ですね」
「スピードが出る前に倒れる場合は?」
「あぁ~、、、無の境地です!雑念があっては駄目です!」
「分かった!精神統一して来る!」
うーむ
それっぽい事を言ってみたんだけど大丈夫かな(汗)
マリーナ様、エレーナ様、ミレイユ様は難なく自転車に乗れて今も旧領主邸の庭を自転車で走り回っているからステフ様も直ぐに乗れるかと思ったんだけど、意外にも苦戦中なんだよな。
ただマリーナ様達の場合は、自転車が倒れないように俺が支えてうしろから押すという事が出来たから
良きタイミングで俺が手を離してあげれば、そのままの勢いで走って行けたんだけど
ステフ様を支える筋力は俺には無い!
代わりにニィナに任せる方法もあるけど、ニィナは一瞬で自転車に乗れてしまったから自転車に乗れない人の気持ちは分からないんだよな
だから教える側になるのは残念ながら適して無い。
こうなったらヨウコさんとニィナに頼んで、力いっぱい自転車を押し出して貰うか?
ステフ様なら多少の事では怪我をしないだろうから坂道を利用してみるか?
「なぁシン殿、ワシも練習すれば自転車に乗れるだろうか?」
「ええ、勿論乗れますけど見ての通り練習は結構危険です。それに自転車に乗れてもゲオルグ様の立場だと敷地内で乗るだけになりそうですけど、それでも練習します?」
「うむむっ!」
「旦那様、ナガクラ様、お話中のところ申し訳ありません。少しよろしいでしょうか?」
さきほどから自転車の練習を見守っていたメイドさんがやって来たけど何だろう?
「許す、遠慮せず申せ」
「ありがとうございます。自転車の練習を見ていた所、我々でも乗れると判断致しました。ですのでメイド専用の自転車の購入を上申致します。」
「自転車を欲する理由は?」
「自転車は馬より遅いながらも歩くより早く、馬より小さく手間もかかりません。街に行く場合等はかなり有用な乗り物と考えます。」
おおっ!
見ていただけなのにメイドさんは自転車の事がよく分かってるなぁ♪
燃料も不要なうえに歩くより数倍早く移動出来るという、人類史上で確実にトップ10入りする偉大な発明なんだぜ♪
俺が偉そうに言う事では無いけどさ(笑)
「購入出来るかどうかは販売元に聞かねばならん。という事でどうなのだシン殿」
「構いませんよ。3輪タイプの自転車なら直ぐに乗れますし、前後にカゴも付いてますからちょっとした荷物なら乗せられます。小さめのリヤカーなら連結も出来そう、、、かな?」
『ガシッ!』
「やはりナガクラ様は素晴らしいです!」
「あっ、はい、どういたしまして」
美人なメイドさんに手を握って貰えるのは嬉しいんですけどね、ちょっとだけ強く握り過ぎて手が痛いです(泣)
「やったぁー!ナガクラくーん、乗れたよぉー♪」
『チリンチリン♪』
精神統一のお陰なのかステフ様も無事に自転車に乗れて良かったよ
「ステファニー様も自転車に乗れるようになられましたし、次は我々メイドの番ですね♪旦那様、ナガクラ様をお借りして宜しいでしょうか?宜しいですよね!」
「うっ、うむ(汗)好きに致せ」
おーい、ゲオルグ様ぁー!
完全にメイドさんの圧に負けてるし、目が泳ぎまくってますやん!
「旦那様の許可も頂きましたし、参りましょう♪」
『『ガシッ!』』
あっ、、、
今度は2人のメイドさんに左右から抱えられて移動してまーす。
凄く丁寧に運ばれてるし、色んな柔らかい所が沢山当たるし、良い匂いもするしで不満なんて全く無い
朝食まで自転車の練習頑張るぞぉー♪
つづく。
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