第373話 サウスビーチへ

「コニー気持ち良いかぁー?」


「めっちゃ気持ち良いですぅー♪」



20メートルくらい離れた所ではニィナと一緒に飛んでるフラニーも楽しそうだ♪



本来なら午後からアストレア様に会いに行ったり、ベスと話をしなきゃいけなかったりするんだけど


旅から帰って来て頑張って仕事をし過ぎたせいで、はっきり言って俺は疲れた!



もうなんにもしたくありませーん!



って事で


今日は旅の間にサウスビーチでスカウトした、めちゃめちゃ美味しい『つくね』を作れるクレアさんという少女と


商会の事務員候補で、現役の商業ギルド職員のアカリさんを迎えに行く事にした。


これも立派な仕事だから何の問題も無い!



せっかくだからいつも留守番をしてくれているコニーとフラニーに感謝の意味も込めて、サウスビーチの街を観光させてあげようと思い


パラシュートを使ってサウスビーチに向けて空の旅を満喫中だ♪



コニーとフラニーはエルフの研修生だから、たまには他の街を見るのも必要だろうしな


そして生活魔法しか使えない俺の魔法と違って、攻撃魔法が使えるコニーとフラニーの魔法の威力は桁違いに強いから


パラシュートを使えば風魔法で一気に雲の高さまで上昇して滑空するだけで相当なスピードで進んで行く


山越えも楽だし襲われる事も無いからかなり安全な移動方法だけど、パラシュートを使えるのが俺とニィナだけだし


1個のパラシュートの定員が2人っていうのがなぁ、だから今回も帰りはトゥクトゥク自転車で帰る



体力自慢のケイトが居ないから少し不安だけど


狐の神獣ヨウコさんに貰った製薬スキルでエナジードリンクを作って、皆で運転を交替しながら行けばなんとかなるだろう。



風魔法で高度を維持しながら進んでいるお陰で、遠くの方にまだ行った事の無い街が見える


上から見ると星形になるように城壁で囲まれた城郭都市のような街は気になるなぁ


場所的には王国十二家、保守派のジェミニ辺境伯の領地っぽいから


同じ保守派のゲオルグ様に頼んで紹介状書いて貰おうかな



池田屋商会会長の俺は紹介状が無くては自由に街を観光出来なくなってしまっている(悲)


いや、自由に観光しても良いけど俺が池田屋商会の会長だとバレると、領主とか街を治める代官的な人達に挨拶をしないといけなくなる


だからといって、こちらから挨拶に行くと本当に池田屋商会の会長なのか?と疑われて証明するのに時間がかかるから


実に面倒くさい!



サダルスウド侯爵家からの紹介状さえあれば、とてもスムーズに話が進むはず!


まあこの方法は同じ保守派の貴族にしか通用しないんだけど(悲)



中立派はアストレア様に紹介状を書いて貰えるから良いとして、将来を考えれば王国十二家の鷹派貴族にも接触する必要があるよなぁ



『鷹派貴族』って聞くと全員ゴリゴリの武闘派で


損得勘定より義理人情を大切にして筋を通さん奴等は容赦無くぶん殴ってそうな気がする


まあ俺の勝手なイメージだけどな(笑)




「シン殿ぉ、あそこに見えるのがサウスビーチですかぁー?」



コニーの指差す方を見ると確かにサウスビーチの街が見える、上空からだと海が一望出来て最高の眺めだ♪



「そうだぞぉー、綺麗な街だろ」


「はい♪」


「あー、あー、ニィナ街の手前で降りようか」


「・・・了解しました。」



無線機でニィナに伝えたら森の中の開けた場所を探して降りる



すぃーーっとっと、無事着地っと♪


ニィナもパラシュートの操作が上達したのか直ぐ後に続いて着地して来た


着地と同時にパラシュートを回収っと



「「シン殿、凄く暑いです!」」



わぁお


コニーとフラニーがとても興奮しているよ


上空を飛んでる時は程よく涼しかったけど、やっぱサウスビーチは暑いな


眠れる森はあんまり気温の変化が無いらしくて、今でも季節の移り変わりに驚いているから


サウスビーチの暑さは凄くびっくりしたんだろうな♪


ここまで来たからには、コニーとフラニーに存分に海を漫喫させてやるぜ!






つづく。

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