第370話 酒の神様の好物?
「ぷはぁっ、、はぁ、、はぁ、、」
「シンさんお帰りなさい♪」
「えぇーっと、ただいま?」
綺麗な紅葉の見える山から戻って来たと思ったら、オリビエさんに抱きしめられている
毎度の事だから慣れたけど、抱きしめられると前後の記憶が曖昧になるんだよなぁ
今日の俺はいったい何をしてたんだっけ?
「ふふっ、『ハイボール』っていう美味しい飲み方があったなんて、シンさんがドワーフで無い事が私は未だに不思議で仕方ないわ♪」
そうそう、思い出した!
今日はオリビエさんのお祝いに『ハイボール』をご馳走したんだった
お祝いの名目が『酒の為に号泣出来たから』という、なんともドワーフらしい理由なのが
控えめに言って最高だよ♪
「気に入って貰えて良かったです。唐揚げも食べて下さいよ、今日のはお藤さんが作った唐揚げなんで美味しいですよ♪そしてハイボールに抜群に合います!」
「「「カラアゲ?」」」
あれ?
なんだかオリビエさん達の反応が変だな
『ガシッ!』
「シ~ン~さん♪」
おぅふ
俺の腕を掴むオリビエさんの笑顔が恐いです(汗)
「ナンデショウカ(汗)」
「カラアゲってなぁ~に?」
「鳥肉に衣を付けて油で揚げた料理ですけど、出した事無かったでしたっけ?」
「初耳ね、油で揚げるなら『豚カツ』や『ビーフカツ』とは違うのかしら」
「勿論『チキンカツ』も料理としてあります。でも衣の違いで呼び方が変わるんですよ」
「お前さんが見た事無い料理を出したところで今更驚きはせんが、その様子だとワシ達には単純に教えるのを忘れてたみたいじゃな」
「忘れてたのは申し訳無かったですけど、我が家じゃ普通に食べてる物ですし誰が何を食べて、何を食べて無いのかなんて把握しきれませんよ」
「お前さんも何かと忙しいからそういう事もあると理解はするが、、、これは何か考えんといかんな」
「とっ、とにかく!唐揚げが冷める前に食べて下さい、ハイボールのおかわり作りますから、、、、、はい、どうぞ!」
ここは強炭酸水を使って、ウィスキーと炭酸水の割合が8:2の濃いめのハイボールでなんとか誤魔化そう!
「「「いただきます」」」
「あーんっ、、はふはふ、はふはふ、、ここでハイボールを、んぐんぐんぐ、ぷはぁっ♪」
「「「旨ぁーい♪」」」
おおっ!
見事にリアクションがシンクロしとる(驚)
「シンさん、この唐揚げという料理はもしかして酒の神様の好物なのかしら?」
「え?そういう話は聞いた事が無いので分かりませんけど」
俺も詳しく知らんけど、この世界の神様は創造神様だけなんじゃないかな?
ちーちゃんさんみたいに別の世界には酒の神様も居るのかもしれんが、、、
「ねぇシンさん、私もシンさんの家に一緒に住めばお藤さんの料理が食べれるのよね?」
あぁ~
オリビエさんは以前にも同じような事を言ってたなぁ
はっきり覚えて無いけど、あの時は我が家は既に定員オーバーだからって断ったんだっけ?
実際住人の数が多くて本当に定員オーバーではあるけどな
それよりも
今の我が家は製麺所の地下室なんかよりも、他人に漏らせない秘密がたんまりあるんだよな
調味料もそうだけど、スキルの「店」で見知らぬ酒を見付けたら購入して夕食の時に試飲するから
気軽に他人を住まわせる事は出来ない。
オリビエさんなら問題無い気もするけど、このまま親方やジャックさんと一緒に住んでいて欲しい
「オリビエさん、残念ですが既に我が家は定員オーバーです。」
「そうよね、カスミちゃんやスミレちゃんもまだまだ大きくなるんですもんね、それにシンさんにもいずれ子供が出来るかもしれないし
だからシンさんの結婚祝いは新築のお家にしようと思ってるの♪
勿論メリルさんに間取りとかを相談してからだけど、私達も住めるように立派な物にするから心配は無用よ!」
「あれ?俺結婚する事言いましたっけ?」
「言って無いな、ワシ達はスミレさんから聞いただけじゃ。だが結婚すると決めたなら早う言わんか!
まぁスミレさんも昼に知ったばかりと言ってたから今回は許してやろう。家に関してはワシと長老が責任を持って作るから安心せい!」
「うむ♪」
今住んでる家って賃貸だから勝手に間取りを変えたり出来なくて、けっこう不便な所もあったんだ
だから親方とジャックさんに家を作って貰えるなんて、これほど嬉しい事は無いよ♪
それに親方とジャックさんが作る家なら、ドラゴンブレスも1回くらいなら耐えられる気もするしな(笑)
今日はこのまま宴会に突入かな?
せっかくだから商会の従業員にも報告して、ドワーフの皆さんも呼んで宴会にするか
「シンさーん、ニィナさんが商会でお祝いの宴会をしてくれるって言うから行くわよぉー♪」
むむっ?
オリビエさんに声をかけられて周りを見ると、既に皆が地下室から出て行こうとしているではないか!
「ちょっ、皆置いてかないでぇー(泣)」
つづく。
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