第366話 新作

『チリンチリン♪』



ジャックさんと親方から受けたダメージも、回復魔法を使って何も無かった事に出来たので(笑)


ニィナの運転する自転車の後ろに乗り、次の目的地である池田屋商会の本店に向かっている


スミレはジャックおじいちゃんと一緒におやつを食べるらしいので工房に置いて来た。


あっちはいつの間にかスミレの背負い袋に入って寝ていたヨウコさんが「任せて下さい!」って言ってたし


ジャックおじいちゃんもスミレを家まで送ってくれるらしいから何も問題は無い。



今日はニックとスナックから仕事の休憩時間を利用して、新商品の試食をして欲しいと呼び出されているんだ


なんだかんだであの2人も忙しいから仕方ないけど


いつの間にか甘味部門の幹部から商会の幹部に昇進していて、他の従業員にアドバイスをしたり相談にも乗っているらしくそりゃ忙しいだろう。


ニックとスナックは良くも悪くも俺の影響をガッツリ受けているから、日本人的な考え方が染み付いてきたせいだろうと思う


毎日コツコツ仕事をするのは日本人の得意とするところだから、俺の影響を受けたニックとスナックも


当然のように毎日コツコツ真面目に仕事をしていた結果


自分達で商会を立ち上げられるくらいの知識と経験と技術があるらしい


チート能力無しで1年経たずにそこまでになるとはスゲェーな!


どうやら商人としての実力ではニックとスナックに追い越されてしまったみたいだ、これで俺もあの2人の世話から卒業かと思ったら


世の中はそんなに都合よく行かないのがテンプレだよ(悲)


良くも悪くも俺の影響をガッツリ受けたニックとスナックは、独立したり責任ある立場になると


とても面倒くさい&大変だという事を学んでしまい、この先もずっと俺の下で働く事を望んでいる節がある


経営者とか責任ある立場って、努力じゃ埋められない何かしらの才能が必要だと思う。


俺にもそんな才能は無いけど、代わりにチート能力でゴリ押ししてどうにかしてるだけだ


だからニックとスナックがあまり出世したくないと思ってたとしても、まあしょうがない(笑)



「主様、商会に到着しました。」


「ありがとうニィナ」



考え事をしていたらあっという間に到着していたよ



『ガチャ』っと商会の扉を開けると、なんとも言えない良い匂いがする♪


どことなく懐かしさも感じられる匂いのような気がするけど、従業員の夕食かな?



「シンさんこんにちは、ちょうど良かったです」


「あんたは昔から運が良いのか絶妙のタイミングで現れることが多かったからねぇ(笑)でも私は運の良い男は好きだよ♪」



なんだかよく分からないけど、俺はグッドタイミングで商会に到着して女将さんの俺に対する好感度が上昇したらしい


しかしそれは当然の事だろう、だってここは『テンプレな異世界』なんだから


タイミングを外したら話が進まないんだよ(笑)



「イセガミさんに女将さんこんにちは、2人で商会に来るなんて珍しいですね。それと昨日の宴会で会わなかったですけど来てました?」


「昨日は少し遅れて行ったからね、あんたは会長として忙しそうだったから声をかけるタイミングが無かったんだよ。メリルちゃんと他の子には挨拶したから良いかなと思ってね」



なるほど、確かに昨日は忙しかったし宿屋に関して俺はほぼノータッチだから、トラブルが起きない限り話す事はあまり無いしな



「それで俺に何か用ですか?」


「実はサチコさんが新しい料理を作ってね、今日は商会幹部の定例会があるから試食して貰おうと思って持って来たんだよ」



わぁお!


俺の知らない間に定例会などという物が行われていたとは


発案者はアルしかいないだろうけど、定例会に会長の俺は呼ばれていないけど大丈夫だろうか?


ウチの幹部は全員優秀だから結束してクーデターを起こされたら、俺は手も足も出ないんだが(汗)


とっ、とにかく


パワハラとかセクハラ発言をして嫌われる事だけは無いようにしなければ!


こんな事なら元世界に居た時に『パワハラ&セクハラ撲滅講習』を受けておくんだった


この問題は後でお母さんに相談するとして


イセガミさんの新作料理は楽しみだな♪






つづく。


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