第364話 ジャックとスミレとオリビエとガゼルとおっさんとニィナ
「ねぇジジイ!」
「なんじゃ!」
「ちゃんと覚えているんでしょうね?」
「ふんっ、ワシはまだボケとらん!そういう馬鹿娘こそ大丈夫なんじゃろうな、次は落とせんのだぞ!」
「ええ、大丈夫よ、死んでも忘れないから!」
「よし!次はガゼルの番じゃな、頼むぞ!」
「おっ、おう」
チラッ、、チラッ、、チラッ、チラチラチラチラチラ
親方ぁー、そんなに俺の方をチラチラ見てたら怪しまれますよぉー(汗)
とにかく声を出さず、目線だけで親方に指示を出す!
「あなた!慎重なのは良いけど早くめくってちょうだい!」
「分かっとる、、、これだ!」
「やったぁー、これで逆転よぉー♪」
「良うやったぞガゼル!」
ふぅ~、しんどいよぉ(泣)
ジャックおじいちゃんとオリビエさんの父娘の距離を縮める為に、ニィナが提案した作戦
名付けて
『強制協力プレイで父娘の距離を縮めよう大作戦!』
ジャックさん、オリビエさん、ガゼル親方の『待っててお酒さんチーム』
スミレ、ニィナ、俺の『もふもふチーム』に別れて
ルールが簡単なトランプの神経衰弱で俺達は戦っている
『待っててお酒さんチーム』が勝つと、ジャックとジョニーのウィスキーをそれぞれ1本ずつプレゼントするって言ったから
俺とニィナの狙い通りに向こうは協力プレイをしてくれている。
そして、俺とニィナはこのゲームの目的を知っているから全力で負けようとしているし
ガゼル親方にもアイコンタクトである程度の事情は察して貰えたと思うんだけど
誤算だったのは、1番手のスミレがいきなり5連取してしまった事だろう
その後も俺とニィナはトランプを1枚も揃えないのに、スミレはどんどん揃えて取っていくんだもの
スミレがこんなに記憶力が良かったなんて、おっさんはめっちゃ嬉しいです♪
待て待て!
今だけは喜んだらあかんねん
俺とニィナも全力で記憶して、ガゼル親方にめくるトランプを指示しているのに残り4枚でやっと逆転したよ
だがしかし
次のオリビエさんがトランプを揃えたら『待っててお酒さんチーム』の勝ちだけど、もし外したら
再逆転してスミレが勝っちゃうんだよ(汗)
まぁその時はスミレに賞品としてお酒を渡して、『待っててお酒さんチーム』にプレゼントして貰えば良いか
「お父さん確認するけど、右側で良かったわよね」
「安心せい、それはさっきワシがめくったから覚えとる」
おおっ!
オリビエさんがジャックさんの事をナチュラルに『お父さん』って呼んだよ!
ジャックさんは長老だし、オリビエさんは長老に次ぐお偉いさんみたいだし
お互いに立場とか色々あって、ややこしい父娘関係だからなぁ
「じゃあめくるわよ、それっ!」
「「揃ったぁーーーーー!!」」
ほっ
とりあえずこれで任務完了だよ
「ご主人さま~、負けちゃったぁ~」
「もうちょっとで勝てたのになぁ残念、スミレはトランプ楽しかったか?」
「うん♪」
ふふっ、これは新たな娯楽としてトランプも広めてみるか
『ムニッ』
むむっ!
「あの、ニィナさん?」
「理由があったとはいえ、主様が負けるのは嬉しくありません」
そこは俺も同意するけれど、だからといって俺の腕を胸で挟むように掴むのは止めて欲しい
目のやり場に困るんだよ(汗)
「とっ、とにかく!ゲームに勝った賞品として約束通りお酒を1人1本ずつ差し上げますね」
「ねぇシンさん、そのお酒は貴重な物なのでしょう?本当に1人1本ずつ貰って良いのかしら」
「構いませんよ、貴重なのは確かですけどお酒は美味しく飲んでこそですから。それに出し惜しみして飲まないのはお酒に失礼ですからね」
「それなら良いのだけど女神さ、、、創造神様にお供えしなくて良いのかなと思って」
「創造神様にですか?お酒より甘味の方が好きみたいなので問題は無いと思いますよ。お供えして欲しいって事なら直接言って、、、じゃなくって!神託が来るんじゃないかなぁ、あははは(汗)」
「シンさんがそう言うのなら本当にそうなのでしょうね♪」
アハハハ、、、まあ夏に創造神様が光臨したのは見られてるからな、今更っちゃあ今更な話題だよ(笑)
「それじゃ賞品のお酒です、どうぞ」
「あぁ~、夢にまで見たこの瞬間がついに来たのね、シンさんありが、、、どぅあ゛ぁ゛~~~~~(泣)」
「えっ?!ちょっ、オリビエさん(汗)」
「ワハハハハ!心配せんでええぞシン殿、酒の為にこれほどの涙を流せるなど、我等ドワーフにとって何物にも代えられない生涯の誉れじゃ!」
「長老の言う通りだ、お前さんと出会わなければこのように貴重な経験は出来んかっただろうからな!今日は祝いの酒盛りじゃな、ガハハハハハハハハ♪」
待て待て待て!
そうは言っても良い歳した大人が酒瓶抱えて大号泣してる姿はとても危険な感じがするから止めて欲しい
でも祝いと言うなら贈り物が必要じゃあないか!
ジャックおじいちゃんと親方も楽しみにしてて下さいね♪
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。