第362話 ジョニーなお酒

ガゼル親方の工房に



れっつらごー♪




「ご主人さま~」



むむっ!


スミレがもふもふキツネバージョンのヨウコさんを頭に乗せてやって来るのだが、いつの間にこんなに仲良しに?


それは良いんだけど



「スミレどうしたん?」


「何処行くの~?」


「ガゼル親方の所に行くねんけど、、、一緒に行こか♪」


「うん、行く~♪」


「じゃあ背負い袋持っといでぇ」


「はぁ~い」



ふふっ


スミレは俺が親方の工房に行く時はだいたい一緒に行きたがるんだよな


ジャックおじいちゃんに会いたいからなんだろうけど、ジャックおじいちゃんもスミレを孫みたいに可愛がってるから


日頃のお礼も兼ねてお土産は必要だな、まぁスミレが持って行くって言うだろうけど


ジャックおじいちゃんに渡すお土産と言えばこれしか無い、前回も渡した『ジャックでD』なウィスキー


その中でもほどほどにランクの高いやつだ♪


この酒は贈り物専用の酒だから、スミレの

ように『お土産で渡したい!』と誰かが言うか、お祝い事でしか渡さないと決めている


そのせいでオリビエさんに凄い顔で睨まれたりするんだけど(汗)


ここは数少ない俺の絶対譲れないポイントなんだ


我が家の誰かが空気を読んでオリビエさんにお土産で渡したい!って言えば渡すんだけど


我が家のみんなは何処の空気を読んだのか、今のところオリビエさんにお酒のお土産は持って行って無い(笑)




「ご主人さま~、持って来たー♪」


「おっ、早かったなぁ、そしたらお土産のお酒入れとくな」


「ありがとうご主人さま!」



うーむ、スミレも成長したからもう1本背負い袋に入れて持って行けそうやな


となるとスキルの「店」にあるウィスキーで、、、


これや!


『ジャックでD』なウィスキーと同じくらい有名で人気のウィスキー(俺調べ。)


『ジョニーでW』なウィスキーだ♪


これもほどほどにランクの高いやつを、ポチッとな



「スミレせっかくやからもう1本持って行ってぇ」


「はぁ~い♪」



それにしても気になるのがスミレの頭に乗っているヨウコさんだ



「ヨウコさんはそのまま行くんですか?」


「はい、私はナガクラ様のご家族にしか興味がありませんから、この姿やったら寝たフリをしてても問題無いかなと思いまして」



頭が良いとこうなるよね~、俺も寝たフリをして色んな面倒事をスルーしたいぜ(泣)



「スミレとヨウコさんは自転車の前カゴな」


「「はーい」」



俺はニィナの後ろに乗ってと



「主様、出発して宜しいですか?」


「おう、運転は任せた」


「はっ!」


『チリンチリン♪』




自転車に3人乗りして、、、ヨウコさんも含めると4人か?


なんにしても俺達を乗せた自転車はキャラバンシティの街を軽快に走り抜ける


途中リヤカーのクレープ販売を見かけたけど、相変わらずスゲェ人の列が出来ている


クレープ販売だけは委託販売というかフランチャイズ契約というか、そんな感じでかなり人数を増やしたんだけどまだまだ人が足りてないっぽい


『甘味屋リリー』と『食事処リリー』も、お客の列が店の外にまでズラッと出来てて大変そうだったなぁ


元凶は俺だけどな(笑)


そして俺には人を増やすくらいしか解決策が思い付かない、こういうのは現場で働くニックとスナックに相談するのが1番だな



「主様、到着しました」



考え事をしていたらあっという間に工房に着いちゃったよ


いつものように誰も居ない事務所兼応接室から呼び掛けてみる



「こんにちはー、親方いますかー!」


「・・・」


『ドタドタドタドタドタドタ!』


「おおっ!お前さん良い所に来た、まずビールをくれんか?話はその後だ!」



珍しくガゼル親方が直ぐ出て来てくれたのは良かったけど、なんか疲れてる?



「よく分かりませんけど、『シュポッ、トクトクトクトクトクトク』どうぞ」


「助かる!んぐんぐんぐ、ぷはぁっ♪やはりお前さんが出すビールが1番冷えてて旨いぞ!ガハハハハハハ!」


『バンッ、バンッ、バンッ』


「ぐえっ、、けほっ、、、親方痛いっす(泣)」


「うむ、お前さんもちぃーっとだけだが酒の量が増えたみたいで嬉しいぞ!わっはっはっはっは♪」



親方の言ってる事は全く意味が分からんけど、マジで俺をアル中の駄目人間みたいに言わないで欲しいよ


でも久しぶりに親方に叩かれた背中の痛みは、そんなに悪くはないんだよなぁ(笑)






つづく。

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