第357話 それぞれの愛
池田屋商会での宴会も無事に終わ、、、ってはいない
ドワーフの皆さんと池田屋商会の従業員のテンションが限界突破したらしく、今日はひと晩中宴会をする勢いだったので
ミリーさんとウェンディさんと宴会デートをした後はさっさと我が家に帰って来た。
そして
俺は今、超ドキドキしている気持ちを落ち着ける為に、自分の部屋の前を行ったり来たりウロウロしている
部屋にはニィナが待っているはずで、俺はニィナに伝えなければならない事がある
これ以上待たせると誰の為にもならないという事を理解したので、どんな結果になろうともニィナにはきちんと伝えねばならない
でもなぁ、最悪の結果になったら俺は立ち直れない自信がある
まあ所詮は俺が立ち直れないなんてのは些細な事だけどな
いざ!
『コンコン』
「どうぞ」
『ガチャ』
「ニィナお待たせ」
「はい、永遠と思えるほどに待ちました」
わぁお!
なんだか凄くご機嫌が斜めなんですけどー(汗)
「うん、待たせた事は本当にごめんなさい」
「何か話があるのでは?」
「おっ、おう、実はメリルに結婚を申し込む事にしたから、ニィナには1番最初に言っておきたくて」
「そう、やっと決めたのね、、、」
「ニィナさん?」
「いつまでもこんな所に居ないで早くお嬢様の所に行きなさい」
「えっ?ちょっ、ニィナさん?!」
「ほら、早く!」
『バタンッ!』
おぅふ(汗)
あっという間に部屋から追い出されてしまった
俺は女心なんて分からん朴念仁だ、こんな時に相応しい言葉なんて1つも浮かんでこない
だから
「ありがとう、ニィナ」
これが今の俺の素直な気持ちだ、ニィナからの返事は無いけれどそれで良いんだと思う。
そして
「行って来ます、ニィナ」
ふぅ~
次はメリルの所に行かないとな
いくら朴念仁の俺でも一緒に住んで毎日顔を合わせているのに、メリルの気持ちが分からないなどという事は無い
まあ世の中に『絶対』は無いから、万が一を考えると凄く緊張するけど
今の時間だとメリルは何処に居るんだろう?
おっ!
ちょうどカスミが廊下の向こうから歩いて来たから聞いてみるか
「カスミ~」
「ごひゅじんひゃまくしゅぐったいれす」
今日もカスミのほっぺをむにむにしてみる、やはりカスミのほっぺはスベスベで気持ちええなぁ♪
「メリル何処に居てるか知ってる?」
「えっと、さっきまで一緒に作業部屋に居たのでまだ居ると思います」
「じゃあ行ってみるわ、ありがとうな~」
「はい♪」
作業部屋の前に来たけど緊張するぅー!
すぅーはぁー、すぅーはぁー、良し!
『コンコン』
「どうぞ~」
『ガチャ』
「メリル、今良い?」
「おにいちゃんどうしたの?」
「メリルに大事な話があって来ました」
「そうなんだ」
「ゴホンッ、えっと、俺と結婚して」「良いよ」
「・・・え?」
あれ?
即答?
もしかして俺は緊張のあまり違う事を言ってしまったのか?
「聞こえなかった?良いよって言ったの、それでね新しい商売を考えたんだけど」
「ちょっ、ちょっと待った!聞こえたけど即答?結婚ってもっとなんかこう、、、あれやん」
「言ってる意味が分からないけど、今さら他の男の人とか嫌だし考えられないし、結婚するならおにいちゃんって決めてたから即答しないと時間が勿体無いでしょ?」
「それは、、、そうだね」
「新しい商売の事なんだけどね、お弁当屋さんが良いと思うの」
あぁ~、メリルが久し振りにキラキラした顔をしている
まっ、こういうメリルだからこそ俺は惚れたんだけどな!
「もう!おにいちゃん話聞いて無いでしょ!」
「ははは、ちゃんと聞いてるってお弁当屋をやるんだろ?じゃあ専用のお弁当箱を作って売ろうか、お弁当箱を持って来てくれたら割引きか1品サービスすれば良いよ」
「それ良いね♪他には前日に予約して貰えば準備も楽になると思うの」
「それも良いね♪注文受けてから作るのは大変だから。冷めても美味しい料理をお藤お母さんに教えて貰わないとな」
「うん!他にも色々考えたから聞いて」
「おう!ここは会長としてしっかり聞かせて貰おう」
「ふふふっ♪」
俺の考えてたプロポーズとは全然違ったけど
ロマンチックなのより、俺とメリルにはこういうのが似合ってる気がする
お母さんも言ってたけど本当に大事なのは『結婚』じゃ無くて、メリルと2人でこれからどう生きて行くか、だもんな
今のところ何も考えて無いけど(汗)
メリルと一緒なら
なんとかなるだろ♪
つづく。
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