第356話 気遣い?
「もう!アストレア様(怒)こんな事でシン君を失ったら笑い話にもならないんですからね!」
「ミリアリアに叱られてしまったわ。シンさんもごめんなさいねぇ」
「いえ、私は綺麗な花畑が見えてなんだかとても気持ち良かったです♪」
「シンくーん、それ見えちゃ駄目なやつだからー!気持ち良くなっても駄目なやつだからぁーーー!」
どうやら今回ばかりは本当に危険だったらしい
まあこんな事で創造神様の所に行っても追い返されるだろうし、俺が日本人だった時の両親からも笑顔で追い返されると思う(笑)
『ふにっ!』
むむっ!
右腕に押し付けられた控え目ながらも柔らかいこの感触は、ウェンディさんか!
「あのう、ウェンディさん、密着されると暑いので少し離れて欲しいなぁ」
「駄目ですぅー!シン殿を1人にしておくとまたアストレア様にお花畑を見せられちゃいますぅー(泣)」
「わぁー!ウェンディさん泣かないで下さいよぉ」
「ナイスよウェンディ!そのままシン君にくっついてなさい!」
「あらあら、困ったわねぇ、今回ばかりは本気で怒らせてしまったみたい♪」
アストレア様は困ったと言いつつ嬉しそうなんだよなぁ、そのせいで俺は自由に動けなくなってしまった
でも、俺の腕をガッチリ掴んでるウェンディさんは怒ってるけど、ちょっと嬉しそう?
あっ!
もしかしてアストレア様はこれを狙ってわざと、、、うーむ分からん
俺の事を学習したウェンディさんは、無理矢理密着しようとしたら俺が断わる事は分かっている
だから最近は俺が嫌がるような事はしないんだけど
そんなウェンディさんを可哀想だと思ったアストレア様はこれを狙った?
真相は分からんけど、こういう事をナチュラルにやるのがアストレア様だからなぁ
仮に掌で転がされていたとしてもウェンディさんが嬉しそうだから、まあ良いや♪
「はぁ~、ミリアリアとウェンディを怒らせちゃったし私は退散しようかしら♪でもその前に、昨日カプリコーン辺境伯から連絡があったのよ
わざわざ通信の魔道具を使っての緊急連絡で、『浮島』が我が領地に近付いて来ているのは貴様の仕業か!ってね、まったく私を何だと思っているのかしら、ねぇシンさん♪」
「アハハハ(汗)」
浮島ってだいたい10年おきにバルゴ王国の上空を通るらしいんだけど、今年は10年ぶりに浮島がやって来て通り過ぎたばかりなのに
浮島に居るゴーレムのゴレさん達に会いたいから、俺が呼んじゃったんだよなぁ
ついでにアストレア様を『浮島』に連れて行く約束もしてるし
「カプリコーン辺境伯の事はどうでも良いの。王国内では既に浮島が来ている事は噂になっていて、女神様がお怒りになっているとか言われているんだけど、どうなのかしら?」
アストレア様ぁー!
王国十二家はどうでも良い存在では無いと思いますよぉー!
それは置いといて、やっぱり浮島は神様が住んでるとか思われてんのかな?
「えぇーっと、女神様のお怒りと浮島は関係無いと思いますよ、なぜなら本当に神という存在が怒っているのなら既に国のひとつやふたつは消えてるでしょうから」
「うふふ、それが分かれば今日はもう充分♪秋の催しについては後日ゆっくり話しましょうね、それじゃ私も宴会を楽しもうかしら、行くわよシンシア」
「はい、奥様」
アストレア様は相変わらず自由だねぇ
『ムニッ!』
おぅふ
今度は左腕か
「ねぇねぇシン君!さっきのアストレア様との会話、凄く気になる事が沢山聞こえたんだけど!気になる事が沢山聞こえたんだけど!」
「ミリーさん、俺の腕を掴んで密着した状態なのに、同じ事を2回言わなくてもちゃんと聞いてますから」
「大事な事は何度でも言わないと駄目!シン君だから2回だけど、10回言っても聞こうとしない人は沢山居るんだから!」
「はいはい、気になるのは分かりましたけど、今日はせっかくの宴会を楽しみませんか?ウェンディさんも宴会デートの方が良いでしょ?」
「デート?!デートの意味はよく分かりませんけどシン殿と一緒なら何でも良いですぅ♪」
「後日ちゃんと教えてくれるなら良いけど、、、私あそこで焼いてる『お好み焼き』が凄く気になります!」
「じゃあ露店巡りでもしますか、俺が奢りますから好きなの食べて下さい」
「じゃあじゃあ私は芋を使った『イモンブラン』が食べたいですぅ」
「甘いものはデザートだから最初は『お好み焼き』からね」
「えぇー!ミリアリア様ずるいですよぉー!」
あ゛っ
これはいかんですよ!
左腕をミリーさんに、右腕をウェンディさんにガッチリ掴まれて両手に華で嬉しい状況のはずなのに
俺はこの後2人に振り回される未来が見える!
美女な2人に振り回されるのだから喜ぶべきなのだろうけど、平等に相手をしないといけないし色々気を使って俺の精神がゴリゴリに、、、
誰か助けてぇー(泣)
つづく。
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