第355話 認識の違い
「ライラにアリア久し振りだな、牛の世話とか諸々任せきりだし、たまにしか顔も出さず申し訳無い」
「なっ?!やめて下さい会長!こっちはアリアと2人で大丈夫ですし、それにこども園のウィル君や他の子達も手伝ってくれるんで最近はかなり余裕があるんです。」
「そうですよ会長、むしろ兄さんと私に凄く期待してくれてるのに牛の数がなかなか増やせないせいで、池田屋商会に迷惑かけてるんじゃないかってそれだけが心配で」
「その事なら心配要らないよ、乳製品部門で作ってるチーズやバターはアストレア様も凄く喜んでる♪
それに生き物が相手なんだ、こっちの思う通りにならないのはしょうがないよ、無理をしても品質低下に繋がるからマジで無理だけはしなくて良いからな」
「でも作れる量が少なくて販売までは出来てませんよね?」
「まっ、簡単に大量生産出来ないって事が知れ渡れば高値を付け易いって利点もあるけどな♪
だがしかし、俺にも余裕が出て来たから乳製品部門はこれから忙しくなるぞ!
まずはアイスクリームとソフトクリームを作ろう、そもそも俺はこれが作りたくて牛を飼育しようと思ったんだ」
「「シンさんちょっと待ったぁー!」」
おおっ!
やはり双子だな、突っ込むタイミングが一緒だよ(笑)
「すいません会長取り乱しました」
「まさか、チーズ、バター、生クリームの他にも作る物があったなんて」
「2人とも何言ってんだよ、チーズだけでも作りたいのは10種類くらいあるし、気軽にバターが使えなくて断念してる甘味が山ほどあるんだ
とは言っても2人は牛の数を増やしつつ今まで通りに仕事をしてくれれば良い
新商品に関しては新部門を作る予定だ、これからミルクの価値が一気に高まるぞぉ!まずはモッツァレラチーズの試作からだな♪」
「えっと、会長」
アリアがとても申し訳無さそうに話しかけて来たけど、もうちょっと気楽に接してほしいなぁ(悲)
「どうした」
「とても言いづらいんですけど、一般的な平民の感覚から言わせて貰いますとですね
作る商品が多過ぎます。」
うーむ
ここに来てまさかの意見!
まあ人手不足になって苦しんだ時期もあったから、当然の意見ではあるけどな(汗)
「他の商会より商品が多いのはちゃんと認識してるよ、だから従業員も増やして余裕もあるから大丈夫だろ?」
「ええ、人手は充分です。会長はキャラバンシティを池田屋商会にするつもりなのでしょうか?」
アリアは突然何を言い出すんだ?!
「ちょっと意味が分からないんだけど」
「池田屋商会が独自に作っている商品の数は、大きな商会8個分くらいあるんです。なので、大大大大大大大大商会の池田屋商会が他の大商会を潰して吸収すると思われてもおかしくありません。」
なんとびっくり、『大商会』の基準は独自の商品数だったとは!っていうか驚くのはソコとちゃうねん
「俺は他の商会を潰すつもりは無いんだけど」
「会長がそんな事をしないのは勿論分かってます。キャラバンシティを拠点にしている商会や商人の皆さんもそれは理解してると思います、がしかし
最初に言いましたけど、平民の感覚からするとそう考えるんです。実際に他の大商会はライバルとなる商会を普通に潰しますから」
「へぇー、知らんかったなぁ、商会経営って大変なんだな」
「「あぁ~」」
「そっ、そうですよね、忘れてたけどシンさんって会った時からそんな感じですよね、アハハハ」
ライラとアリアの微妙な反応で理解した
どうやら俺はまた何かをやっちゃったらしい(笑)
「会長、、、というかシンさんなら問題無いと思うけど、他の街の大商会や貴族の御用商会から池田屋商会は良く思われてないと思うんで、対策は必要かなと」
「それと、出来ればで良いんですけど新商品はウィル君が正式に商会の従業員になるまで待って頂けると」
「まっ、焦る事は無いし実際に働く2人の意見を尊重するよ。とりあえず話はこんな所かな、2人も今日は宴会を楽しんでくれ」
「「存分に楽しみます!」」
うーむ
これでまた乳製品部門の諸々の計画が後回しになってしまった
「シンさーん、はい、ぎゅうぅぅ♪」
むぅぅ?!
顔に押し付けられる柔らかいこの感触は、、、花畑や!綺麗な花畑が見える♪
ここでゆっくり昼寝を、、、
「わぁーーー!アストレア様、シン君が(汗)」
「あらあら♪シンさん大丈夫かしら?」
「ぷはぁっ、ぜぇーはぁー、ぜぇーはぁー、、、えっと、アストレア様ただいま帰りました。」
「はい、お帰りなさい♪」
『ぎゅうぅぅ』
む゛ぅ゛ぅ゛!
「わぁーー(汗)だからアストレア様、そんなに強く抱き締めたら駄目ですってぇー!」
なんだかミリーさんが騒いでいる気がするけれど、俺は今凄く眠いんだ
だから少し静かにして欲しいなぁ
「シン殿ぉー!駄目ですぅー!」
「・・・はっ?!ここは何処だ?」
「ふふっ、今回は少しやり過ぎちゃったかしら(笑)」
よく分からないけど
アストレア様ぁー、周りの反応から笑い事では無かったみたいですよぉー!
つづく。
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