第352話 相談と宴会となんやかんや
「それでシンさんの相談って何かしら?」
「相談というか確認というか、そろそろメリルに結婚を申し込もうと思って」
「あら♪やっとなのねぇ、全然そういう雰囲気にならないから本当に心配したのよ。」
「色んな人から遅いって言われるんだけど、俺としてはメリルと出会ってからもうすぐ1年になるからその時にって考えてて、それだとやっぱり遅いのかな?」
「まだ出会って1年経って無かったのね、それならシンさんが急がないのも理解はするけれど、今すぐ結婚する事に何か不都合でもあるのかしら?」
「不都合は無いけど、俺が元日本人だからなのかどうしても年齢が気になっちゃって」
「染み付いた価値観を変えるのは難しいかもしれないわねぇ、でもこの世界では合法なんだし良いじゃない♪
貴族なら12歳くらいで結婚して強制的に子作りさせられるなんて珍しく無いけれど、シンさんはそうじゃ無い
結婚しても2人のペースで生きて行けば良いんだし、そもそも『結婚』なんてただのイベントであって本当に大切なのはソコじゃないでしょ?」
「うーん、それもそうか、やっぱりお母さんに相談して良かった♪」
「役に立てたのなら良かったけれど、ニィナちゃんは大丈夫なの?」
「今日の夜にでも話をするつもりだけど、、、後のフォローをお願いしちゃ駄目かな?」
「ふふっ、少し甘え過ぎな気もするけど、可愛い我が子を放ってはおけないから任せなさい!その代わり、ちゃんと当たって砕けて来るのよ♪」
「あの、砕けちゃ駄目だと、、、今回ばかりは砕けなきゃいけないのかな?」
「はいはい、そろそろ行かないと皆が待ちきれずに押し掛けて来ちゃうわよ」
お藤お母さんに背中を押されながら宴会場になってる商会の裏庭に行くと沢山の従業員が、、、
いやまあ、商会の廊下の窓から裏庭は見えてたから到着するまでにある程度心の準備は出来ていたけれど
池田屋商会って従業員めっちゃ多いのね。
前回の宴会の時より従業員は増えたし、短期雇用者とか専属契約の冒険者とか諸々を含めると全部で何人居るのかは知らんけど
食べ物の屋台がズラッと並べられているとはいえ、裏庭が人で埋め尽くされるくらいの人数が居るんだから
これはもう宴会じゃなくてちゃんとした祭りだよ(汗)
「ダンナにお母さんも遅いよぉー!2人ともこれ持って」
「はいはい」
「おっ、おう」
俺とお母さんに文句を言いつつも凄く楽しそうなケイトにビールが入ったジョッキを渡された途端
一気に皆の視線が俺に集中する
ひぃぃぃ、会長である俺の合図を皆が待っているのは分かっちゃいるけど、これだけは慣れないのよ
「それでは皆さん、かんぱーい!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
『パチパチパチパチパチパチパチ♪』
よく分からないけど、俺の隣で拍手をしている従業員一同に告げる
俺を見つめて泣きながら拍手をするんじゃあ無い
はじめてのおつかいが上手に出来た子供か俺は!
まあ泣いてるのは主に奴隷の従業員だから、俺が旅に出た事で色々と心配してくれた結果なのだろうと思うから文句は言わないけどね
えーっと、我が家のみんなはどこに居るんだ?
いたいた、VIP席みたいな場所に居るから向こうは大丈夫だな
宴会だからといってゆっくりしてられない、普段は会長としての仕事は少ないけれど
逆に今日みたいな日は従業員とコミュニケーションをとる為の大事な時間になる
「おーい、シンさーん♪」
はい、さっそく来ましたよ
記念すべき1人目は商会の人事責任者で面倒くさい男のアルヴェロヴェール
通称アル
「やあアル、今日も無駄に楽しそうだな」
「あはははは、それは当然でしょう。是非ともこの宴会を『宴会大会』として登録しましょう!儲かりますよ♪」
「だから大会ネタはもうええっちゅーねん!それに他のやつが宴会やっても人が集まるかどうかは別問題やろ」
「そこは池田屋商会がアドバイスしたり料理の提供をして2倍3倍の儲けを出すだけです♪まあこれは後日相談するとして、不肖アルヴェロヴェール、従業員を代表しまして感謝の言葉を述べさせて頂きます。
シンさん、無事に帰って来て頂き誠にありがとう御座います。さぞ女神様、、、創造神様もお喜びになられているでしょう。」
「待て待て、無事に帰って来て安心したって事なら分かるけど、感謝は違うやろ」
「何を仰いますか、我々はシンさんに見棄てられるとそれは同時に創造神様にも見棄てられる事と同義なのです。
ですから、我々を見棄てず帰って来られたシンさんに感謝する事は当然の行為なのです。」
あぁ~
面倒くさい男の面倒な部分が創造神様を巻き込んで、とんでもなく面倒に(汗)
創造神様の名を出されると安易に否定したり笑いにしたり出来ないから、スゲェめんどいよぉ~
「良し!アルと従業員の気持ちは理解した、これからは7日に1度教会の女神像に池田屋商会名義でお供えをしよう!
お供えする食べ物は何でも良いけど、試作品の料理や甘味が望ましいと思う。」
「ほぉほぉ、シンさんがわざわざそのような事を仰るという事は、創造神様は我々の事をお認めになられたと?」
「認めるとか、認め無いとか俺は知らんけど、『見て』はいると思うよ。」
「そっ、そうですか、創造神様は我々のような者にまで、、、総ては創造神様の御心のままに(泣)」
ぐはぁっ!
アルがとても綺麗な心の汗を流している、なんか色々勘違いがあるような無いような
まあ、創造神様は真剣に祈り、敬い、お供えする者を見棄てたりはしないだろうけど
とりあえずデリケートな問題過ぎて俺には荷が思いからアルはこのままにして
次、行ってみよう!
つづく。
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