第346話 きつねうどん

「狐さん、、じゃなくってヨウコさん」


「はい♪なんでしょう」


「景品が貰えるって事ですけど第九の試練をクリアして無いのに良いんですか?」


「構いませんよ景品はあくまでもオマケやし『攻撃力、防御力、知力、体力、精神力、魔力』この6つを見る試練以外もオマケやから、ちなみに第九の試練もオマケの1つです(笑)」



試練の半分はオマケなのかよ!


こういう事は言っちゃ駄目な事のような気がするけど、俺が黙っていれば問題無いか



「えっと、創造神様からも何か預かってるんですよね」


「さっき言うた女神様は地球の女神様の事なんです、ややこしい言い方になってごめんなさいね


色々預かってるんで、あ゛っ!・・・


ちょっと失礼しますね(汗)」



これで何回目になるやろう、「あっ!」じゃなくて


聞いた方が不安になる「あ゛っ!」を聞くのは


地球の女神様って事は、ちーちゃんさんからの預かり物


何を預かったんか知らんけどめっちゃ重要な物なんやろうなぁ、ヨウコさんたっぷり5秒はフリーズしてたもんなぁ(汗)



「お待たせしました。あぁ~れぇ~、、、お腹が空いてこれ以上動けないでありんす、およよ」


チラッ





うーむ


何だろうこの三文芝居は


いったん部屋を出ていったヨウコさんが戻って来たと思ったら


俺にしなだれかかって来てチラチラ見てくるのだが、そして「およよ」って何?



「お腹が空いたでありんす、およよ」


チラッ



この三文芝居に付き合わないと駄目なんだろうか?


駄目なんだろうなぁ


我が家のみんなに助けを求めてみるけど、全然目を合わせてくれないんだもの


おっさんを1人にしたら寂しくて泣いちゃいますよぉ~。



冗談はほどほどにして


お腹が空いてるなら食べ物を渡せば良いんだよな、相手は狐さんやし稲荷神社やし


ここは『稲荷寿司』しか無い!


お母さんのお助け重箱に稲荷寿司は、、、無いな


となると、コレで良いか



「あのヨウコさん、お腹が空いてるなら『きつねうどん』食べますか?」


「っ?!きつねうどん言うたら、お揚げさんが乗ってるあのきつねうどんですか?」


「そうですね、これはお湯を入れて5分で出来るお手軽なやつですけど」


「絶対食べます!心優しきあなたにはお礼に製薬スキルを差し上げましょう。丸薬、粉薬、水薬、カプセル等々自由自在のスキルです。はいっ、付与完了しました♪」



わぁお!


最初から製薬スキルを付与する予定だったのかな?


便利なスキルだからとてもありがたいんだけど、芝居をする必要は無かったと思いますよ。


とりあえず、きつねうどんのカップにお湯を入れてと



「はい、どうぞ!5分待ってから食べて下さいね」


「はーい♪」



ヨウコさん嬉しそうやなぁ(笑)


やっぱり狐というのは油揚げが好きなんやな


池田屋商会で働いてるスージィーも狐耳獣人やから油揚げ好きかな?


帰ったらお母さんに稲荷寿司を作って貰って差し入れしてみよう♪



「あの!そろそろ5分ですけど食べてもよろしいですか?」


「勿論です、軽くかき混ぜて下さいね」



『ベリッ』


「スーハー♪スーハー♪、、、いただきます!あちちっ、、ふぅー、ふぅー、あーんっ、はふはふ、はふはふ、、、はぁ~♪」


『ボフン』



あっ?!


油揚げを食べてあまりの美味しさに気が抜けたのか、ヨウコさんに耳と尻尾が生えた!


少しだけ九尾を期待したのだが、大きくてフサフサの尻尾が1本だけだった(笑)


あの油揚げは定期的に食べたくなる美味しさだからな、気が抜けるのも致し方無いだろう。



正直に言うと俺はお店で食べるきつねうどんに乗ってる油揚げより、赤色のカップに入ってるきつねうどんの油揚げの方が旨いと思っている!


あの油揚げだけを売って欲しいと何度思った事だろうか(泣)



「ずずっ、ずずー、、ぷはぁっ♪ごちそうさま、とても美味しゅうございました。」


「あっ、はい、お粗末さまでした。」



ヨウコさんはあっという間にスープも残さず完食してしまった。



「きつねうどんがこれほど美味しい食べ物やとは思いませんでした。ちなみに、他にも美味しい食べ物があるんですか?」


「美味しいかどうかはともかく料理は沢山ありますよ、コレなんかどうですか」



俺が取り出したのは銀色の容器に水を入れて直接火にかけて煮るタイプの『天ぷらうどん』


この天ぷらうどんの天ぷらも、天かすを固めただけっぽい見た目なのに


お店じゃ食べられない味なんだよなぁ(笑)



「天ぷらうどん?!うどんというのはいくつも種類があるんですか?」


「そうですね『海老天、肉、わかめ、月見、味噌煮込み』俺が今パッと思い付くだけでもこれだけありますね」


「そっ、そんなに?!そら女神様も興味を持つはずやわ。


今言ったうどんを全部女神、、、創造神様達にお供えして頂けるなら対価として便利な道具を差し上げますが、いかがでしょうか?」


「喜んでお供えさせて頂きます。」


「えーっと、お供えとは別に私の分も貰えますでしょうか?きちんと対価は払いますので」


「あっ、はい、良いですよ。」


「やったぁー♪」




うーむ


今回もちーちゃんさんが勝手にやってる事やとしたら、また創造神様に怒られるんとちゃうかなぁ(汗)


それとも俺が自主的にお供えするように仕向ける為の三文芝居だったりするのか?



これはあれやな


お供えの回数を増やして創造神様のご機嫌をとるっきゃない!






つづく。


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