第345話 名付け

狐さんがお詫びの品として大小様々な日本刀をケイトに持って来てくれた。


日本刀は俺も1本欲しいんだけど、まずはケイトが選んでからだ


ケイトの戦闘スタイルに日本刀は合わないと思うけど、どれを選ぶのかとても気になる



「じゃあねぇ、コレにする!」



ケイトはまたあっさり選んだなぁ、しかも短刀を選ぶとは実用性も考えたのかな?



「お気に召した物があってなによりです。良ければ大きい方も選んで頂いて構いませんよ」


「1本だけで良いよ、コレクションとして大事に持ってる趣味は無いから」


「左様でございましたか」


「なぁケイト、その短刀に銘はあるか?」


「めい?」



「その短刀の銘は【乱光包】(みだれみつかね)ですね」



『みだれみつかね』だと?!


昔やってた『名刀コレクション』っていうアプリゲームで見た事がある


はっきり覚えて無いけど江戸時代に加賀の前田家に仕えた本多政重の愛刀だったと思う


徳川四天王の本多忠勝で有名な本多家とは別だから、当時はかなり混乱した思い出がある(笑)


知らなかったとはいえケイトはなかなか渋い短刀を選んだな♪



「ダンナはこの短刀の事知ってるの?」


「名刀だって事しか知らんけどな」


「へぇ~、腕の良い職人の物だとは思ったけどダンナが言うんだから間違い無いね♪」



よし!


次は俺の番だ



「狐さん、俺も1本欲しいんだけど駄目かな?食べ物なら色々あるんでそれと交換して貰えると嬉しいんだけど」


「こんな物で良ければいくらでも持って行って貰って構わんのですけど、『タレ』言うんがあったらそれと交換でいかがでしょうか?」


「たれ?」



「そうです、ドラゴンさんが『タレ』を貰うてえらい喜んどって、気になってたんです」



なるほど、神獣も美味しい食べ物に飢えてるのだろうか?


とりあえずスキルの「店」から


『タレ』『ソース』『ドレッシング』と名前の付いてる物をそれぞれ2~3種類ずつ適当に選んで購入して狐さんの前に並べていく



「お待たせしました、これくらいで良いですか?」


「ぎょうさん種類があるんですねぇ、これで充分でございます。刀は全部差し上げますので遠慮せず持って行って下さいませ」


「いえいえ、1本で充分ですから残りは勇者の為に置いといて下さい。ちなみに『和泉守兼定』ってありますか?」



『長曽祢虎鉄』も捨てがたいけど、やっぱ『和泉守兼定』だよな


ちなみに『菊一文字』は実在しないって聞いた事がある、本当かどうかは知らんけど(笑)



「それでしたら、えーっと、、、、コレですね」


「ありがとうございます。」



本当にあったか『和泉守兼定』、鞘から抜いて刃を見てみる


良いねぇ、日本刀独特の吸い込まれるような鈍い輝き♪


俺はもう満足でござる!



「狐さん、お茶ありがとうございました。俺達はそろそろおいとましますね」


「ちょっ、ちょっとお待ち下さい!女神様から色々と預かってる物もあるし、景品も受け取って貰わんと(汗)」


「えっと、創造神様では無いんですか?」


「正確には『神』なんですけど呼び方に意味はありませんね、『おい』でも『お前』でも敬う気持ちがあれば問題ありません。女神様という呼び方も、この世界の人達の呼び方に合わせただけですから」



へぇ~、創造神様って『神』だけで良かったのか、ここに来て知る意外な事実


俺はこれからも創造神様って呼ぶけどな。



「ちなみに、狐さんやドラゴンさんに名前は無いんですか?」


「あえて言うなら『狐』が名前なんですけど、せっかくやから名前付けて貰えませんか?」



おぅふ


ずっと狐さんって呼ぶの変だろって思って聞いたら面倒な流れになってしまった、ここで名前を付けると毎回名前付けなあかんパターンやん(汗)


そう言えばフェンリルのリリーも俺に名前を付けて欲しがったっけ


いまさら嫌とか言えないから付けるけど、狐さんの名前は『妖狐』と書いて『ヨウコ』と読む、これ1択だよ(笑)



「じゃあ『ヨウコ』さんで!」


「ヨウコ?、、、なんやろう、何故か身体に馴染む心地好い響きは、、、気に入りました♪只今からヨウコと名乗らせて貰います。」



ほっ


名前を付けたら身体が光ってパワーアップするとかのイベントが無くて良かったよ


さっさと景品貰って我が家に帰ろう♪






つづく。

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