第343話 狐さん
「ココなん?」
「うん♪ここからリリーと似た匂いがするの」
稲荷神社への入り口はスミレが既に見付けてるって事なので、連れて来て貰ったんだけど
俺の目の前にはガッツリ生い茂る草木しか無い
ここをかき分けて行くのは嫌なのだが(汗)
「主様、ここは私が行きます。」
「お手数をおかけしますが、お願いします。」
こんな所をニィナに先頭で行かせるのは自分でもどうかと思うけど
こんな茂みをかき分けて行くなんて無理過ぎる、絶対に虫が出て来るやつやん!
俺は虫は駄目なんだ(汗)
『蚊』でさえも殺虫スプレーを吹きかけてティッシュを3枚くらい重ねて処理していたからな
『ガサッガサッ』
ニィナが躊躇い無く茂みに突き進んで行くのを見ながら思う
頼もしい仲間が居て本当に良かった!
「主様、入り口がありました!」
早っ!
まだ2~3メートルしか進んで無いのに、そんな所に入り口があるなら見えるようにしておいて欲しかったよ
「みんな行くぞ!」
「「「「おー!」」」」
『ガサッ』っと
おおっ!
『稲荷神社』と書かれた鳥居が本当にあるよ、しかも1人が通れるくらいの可愛いサイズだ
そして鳥居の向こうには気が遠くなるくらいに長い石階段が見える、せめて坂道だったら自転車が使えたのに!
石階段は山の頂上まで続いてるっぽいし、途中で休憩処とか茶屋を作っていてくれる事を切に願う。
いざ詣る
稲荷神社だけにな!
『ガンッ!』
「ったぁ~(泣)」
むむっ?!
鳥居をくぐった直後になんか凄い音がしたけど、、、
振り向くと鳥居の前でケイトが頭を抱えてうずくまっていた
そして、メリルは何故か透明の見えない壁を押すパントマイムをして遊んでいる、本当にそこに壁があるようにしか見えないし、メリルはいつ練習してたんだろう?
忘年会用かな?
そんな事より今はケイトだよ!
「おーい、ケイト大丈夫か?」
「酷いよダンナァ(泣)結界があるなら言ってよ」
「結界?」
そんな物があるとは初耳だ、俺、ニィナ、カスミ、スミレはちゃんと鳥居をくぐってるんだから
結界があるならケイトの前に誰かがぶつかってるはず
「ニィナ、もう1回鳥居をくぐってみてよ」
「はい」
ニィナは何事も無く鳥居をくぐってケイトの頭の様子を確認している
「メリルも鳥居はくぐれない?」
「うん、駄目みたい。」
「横からはどう?」
「試してみるね」
ひょっとして鳥居の横から行けるんじゃね?と思ったけどそんなに甘くは無いか
見えない壁に阻まれてメリルがどんどん向こうに行ってしまっている
どうやら見えない壁はこの山をぐるっと囲むように存在してるっぽい
「よし!我が家に帰ろう」
「あのご主人様、狐さんは良いんですか?」
「メリルとケイトを置いて行けないし、後日リリーと一緒に来れば良いよ」
「ちょっ、ちょっとお待ちになってぇー(汗)」
あっ!
山の上から黒髪で白い和服を着た、いかにも日本人って感じの女性が石階段を凄い勢いで下りて来る
あの女性が狐さんかな?
『カシャン!カシャン!』
「主様は下がっていて下さい」
「えっ?ちょっ、ニィナさん?!」
何故かニィナが警棒を取り出して構えちゃってるけど、狐さんは敵ではありませんよー(汗)
『ズザザザザザァーーーーーー!』
「申し訳ありませんでしたーー!」
これはまた見事なスライディング土下座だなぁ、階段を滑り降りてくるとはやりおる!
「ケイト殿に怪我をさせた罪は償って頂きます!」
「それは当然の事と思います!その前に『パチン!』これで怪我も痛みも無くなったと思うのですが」
「だそうだけど、どうだケイト?」
「うん、本当に治ったよ♪」
「これで許して欲しいなどと虫の良い事は申しませんけれど、良ければ屋敷で話しませんか?」
「えっと、その前にあなたが『狐』さんで良いんですよね?」
「はい、私が第九の試練を担当しております、狐です。」
「ちなみに何故結界を?」
「それは万が一にも他の人が来て邪魔されんようにと思って、ナガクラ様の家族だけが通れる結界を張ったんですけど、、、」
なるほど
メリルとケイトは家族のように大切な存在ではあるけど、家族では無いからなぁ
ニィナ、カスミ、スミレは俺の奴隷だから家族扱いになったのかな?
「なぁニィナ、今回はわざとじゃなかったし謝罪もして貰ったから許しても良いんじゃない?それに第九の試練って事ならケイトが気に入るお宝があるかもしれんから、それを賠償金の代わりにしたらどうかな?」
「ケイト殿はどうなのですか?」
「そもそもたいした怪我じゃなかったし、何か珍しい物が貰えるならそれで良いよ」
「ケイト殿と主様がそう仰るなら私に異論はありません。」
「ではさっそく参りましょう♪もてなしの準備をして待ってましたので」
改めて稲荷神社へ
れっつらごー♪
つづく。
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