第10章 すべては自分の幸せの為に

第340話 キャラバンシティに帰る前に

サウスビーチでのやるべき事も終えて帰路についた俺達は、アリエス辺境伯領の領都ガーデンシティに薬師のヤン先生を送り届ける為


トゥクトゥク自転車で街道を爆走中!


途中で何処かに寄り道をして帰りが遅れるのは絶対に駄目だから、とにかくひたすら突っ走ったお陰で


午前中の早い時間にガーデンシティに無事到着♪



街に入る為に冒険者や傭兵や犯罪奴隷のムサい男共が長い列を作っていて近寄りたく無いので


街の少し手前でトゥクトゥク自転車を街道脇に停める。



「ヤン先生お疲れ様でした、ガーデンシティの少し手前に着きましたよ」


「はぁ~、相変わらずとんでもない早さで帰って来たね」


「遅いよりは良いじゃないですか、街に入ると時間がかかるのでここでお別れで良いですか?」


「それは構わないけどステファニー様には会って行かないの?」


「色々と予定がありますので、よろしくお伝え下さい。お土産があるんで持って行って下さいね、ヤン先生は収納のスキルは持って無かったですか?」


「あれば便利なんだけどねぇ」



となるとあまり大量には持っていけないから、こんな時にはスキルの「店」に何か、、、


あった!


荷物を乗せて運べる、折り畳み式コロコロカート♪


これにお土産を詰め込んだ段ボール箱を乗せてと


中身はレトルトのカレー、麻婆ソース、エビチリソース、チゲ鍋の素、等々


唐辛子を使ったピリ辛料理のレトルト食品を中心に選んでみた


ガーデンシティは是非とも『辛い料理発祥の地』として発展して欲しい♪



「ヤン先生、はいどうぞ♪」


「君はまた珍しい物を、でもナガクラ君だからね、いちいち驚いてたらやってらんないよ(笑)」


「あはは、それじゃあ俺達は行きますね。」


「うん、楽しい旅だったよ♪ナガクラ君もお連れの皆さんも元気でね」


「ヤン先生も元気で」


「「「「「ばいばーい♪」」」」」



「しゅっぱーつ」


「「「「「おー!」」」」」


『チリンチリン♪』






「ねぇダンナ、このままキャラバンシティに向かって良いんでしょ?」


「その前に、旅の目的がまだ1個残ってるんだよ」


「でもおにいちゃん、ガーデンシティからキャラバンシティの間には寄る所は無いでしょ?」


「それがあったんだよ」


「「「「「んー?」」」」」



ふふっ


相変わらずみんなで首をかしげている姿は可愛いなぁ♪


ここは記念にカメラで1枚撮っておこう


『カシャ』


良し!



今回の旅に出る時、フェンリルのリリーに「知り合いがよろしくって言ってた」と言われたけど


フェンリルのリリーの知り合いなんて神獣とか神様関連の奴しかいねぇーよ!


だがしかし


具体的な事は何も言われなかったから放置していたんだ


そしたら来たよ、招待状がな!


俺の収納に直接届けられた招待状の内容は


〈ナガクラ様へ〉


君がため


秋の山に出でてキノコ摘む


積もる想いを


フェンリル頼らずいふよしもがな


稲荷の社で過ごす日々


逢うも逢えぬも、神のまにまに



『稲荷神社でいつでもお待ちしております。狐』



なにこの平安とか室町時代の恋文みたいな招待状は!


むしろこれは招待状と解釈してはいけないのか?


最後の名前も『狐』やし、、、


さすがにここまでされて俺に無視する勇気は無い!


だがしかし


『稲荷神社』で待つと言われても場所が分からないから、旅の間は暇な時間を利用して心当たりを探していたんだ


相手が神獣って事なら手掛かりは1つしかない


浮島に行った時にカスミにカメラで撮って貰った壁画だ。


あの壁画にはドラゴンをはじめ神獣と思われる12種類の生き物の絵があり


なかには何の生き物か分からない奴も居たけど、『狐』の絵はばっちりあったよ


壁画は12体の神獣とその居場所が描かれていると思うのだが、全く解読出来ず半泣きになりながら頑張ってもやっぱり解読出来ず、諦めかけていたその時


『稲荷神社』の文字が浮かび上がった!


3Dアートっていうのかどうかは知らんけど


目を細めて絵をぼぅーっと眺めてると、文字やら絵やらが浮かび上がるアレ


壁画の『稲荷神社』の文字が浮かび上がった場所と合致する地形が無いか、バルゴ王国の地図で探したら


ちょうどガーデンシティとキャラバンシティの間にあったよ


実は他国に似たような地形があって本当はそっちだったとか、ここでそんなオチは無いと信じてますよ!


いざ


稲荷神社へ!






つづく。

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