第338話 さすらいの虎獣人その名は、、、
手を振り見送ってくれている侯爵家の皆さんに笑顔で応え
我が家のみんなを乗せたトゥクトゥク自転車は、サウスビーチの街をゆっくりと走って行く
また会えるとは言え別れというのは毎回寂しいなぁ
「ねぇダンナ、冒険者ギルドにオークキングの報告はしたの?」
「あっ!そう言えばすっかり忘れてたよ、でもオークキングは倒したし問題は無いだろ」
「出来れば報告はして欲しいかな」
「どうしてだ?」
「それはオークキングが生まれる条件を調べる為だよ、キングやジェネラルは倒しても4~5年経つと新たな個体が生まれると言われてるんだ
4~5年で確実に次の個体が生まれるって事は、幾つかの条件を4~5年かけて満たしているんじゃないかって言うのが最新の研究結果かな」
「へぇ~、ケイトって冒険者の活動はしてないのに色々知ってるんだな」
「そりゃ命がかかってるから最新の情報を常にチェックするのは当然だよ。まぁそれを怠って死ぬ奴が後を絶たないんだけどね」
「そういう事なら報告してくるか、ニィナと2人で行って来るからケイト達は門の所で待っててくれ、そこにヤン先生も来るはずだから」
「あいよ~」
「それじゃあニィナ、冒険者ギルドに行こうか」
「はっ!」
トゥクトゥク自転車を降りてニィナと一緒に歩いて冒険者ギルドに向かう途中、俺は気付いた
冒険者ギルドでオークキングを倒したとか言うと絶対に騒ぎになって面倒事になる、そしてこの事がソレイユ様に知られるのも駄目だ
危険な事をしては駄目だと、後で絶対に怒られる、、、っていうかキャラバンシティまで来て怒られるかもしれん(汗)
だがしかし
オークキングを倒したのはトラサンダーさんであって俺では無い!
という事で、シン殿の知り合いであるトラサンダーが冒険者ギルドにやって来ましたよ♪
◇ ◇ ◇
side:アカ・トラサンダー
「受付のお姉さん、よろしいですか?」
「はい、本日はどのよう、、なっ?!」
何故か受付のお姉さんが凄く驚いているのだが、私が先祖返りの虎獣人だからだろうか?
「大丈夫ですか?」
「、、、え?、あ、はい、申し訳ありません、先祖返りの獣人は珍しいので驚いてしまいました。改めまして、本日はどのような御用件でしょうか?」
「実は街の近くの山中でオークキングが集落を作っていたのを発見したので報告に来ました。」
「オークキングですって?!それが本当なら今すぐ領主様に報告しないと!」
「それには及びません、オークキングは倒しましたし集落に居た他のオークも全滅させて燃やして来ましたから。」
「は?、、、あのう虚偽の報告をした場合は罪に問われますよ」
あぁ~
予想はしていたけど全く信じてくれてないよ(悲)
オークキングを倒す時は街に居る冒険者を強制召集したりとか、大部隊を編成して行くらしいからなぁ
まあこういう時の為にオークキングの魔石を持っていて良かったよ♪
「倒したオークキングから魔石を取って来ましたので確認をお願いします。」
「なっ?!みっ、見た目は確かにオークキングの魔石に見えますけど、、、ちなみにあなた方のお名前は」
「申し遅れました、わたくしさすらいの虎獣人、アカ・トラサンダーです。」
「同じく、シロ・トラサンダーと申します。」
「残念ながらギルドに所属していませんので身分を証明する物がありませんけれど、その魔石で信じて頂けたでしょうか?」
「トラサンダー?、、、もしかして砂糖の製法を無償公開した、あのトラサンダーさん?!」
「随分昔の話ですけどね(笑)それで、オークキングの件は信じて頂けるのでしょうか?」
「少々お待ちください!急いで担当の職員に鑑定させますので『ガンッ!』痛っ(泣)」
受付のお姉さんが魔石を持って勢い良く立ち上がろうとした瞬間、思いっきり脛をぶつけていたけど大丈夫だろうか?
「白虎さん、騒ぎになる前に我々はおいとましよう」
「はっ!」
でもその前に
受付の中を覗いて冒険者ギルドなら必ず置いてあるであろう物を探す、、、あった!
サウスビーチ周辺の詳細な地図、これにオークキングの集落の場所を、シュルシュルシュルっと書き込んで
これで良し♪
「トラさん?」
むむっ!
冒険者ギルドを出た所で人族の女性に名前を呼ばれた
私はシン殿達以外に知り合いは居ないのだが
目の前の女性はいったい、、、
つづく。
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