第336話 グロスとはなんぞや?

「ソッ、ソレイユ、そろそろシン殿を離してやらんと息が(汗)」


「あら!私ったら嬉しくてつい時間を忘れてしまったわ(笑)シンさん大丈夫?」


「ぷはぁっ、はぁ、はぁ、、、勿論大丈夫です!」



テンションの上がったソレイユ様に抱き締められるのは全く問題無いんだけど


毎回綺麗なお花畑が見えてけっこうギリギリだったりするから、ゲオルグ様ももう少しだけ早く助けて欲しい



「シン殿も無事のようだし、そろそろ持って来てくれたプレゼントの説明が欲しい所だな、どのように使うのかさっぱり分からない物があるのだが」


「では説明させて頂きます。今回持って来たのは去年私とケイトが着ていた服のデザイン違いの物で、夏服と冬服と帽子のセットです。


そして隣にあるのがオイルライター、、、小型のランタンと考えて頂ければ良いかと」


「こっ、この小さな物がランタンだと?!」




ふっふっふっ


オイルライターの構造自体はランタンに火打ち石を付けようなシンプルな物だから、もしかしたら既に似たような物があるかもと心配したけど、杞憂だったな♪



今回持って来た制服は、元世界の某国海軍の制服にしてみた


やっぱり渋いオジさんと言えば海軍ってイメージなんだよな


ついでに勲章のレプリカも幾つか買って

みた、どういう勲章なのかは全然分からんけどゲオルグ様に凄く似合いそうだから問題は無い♪


そしてさっきからゲオルグ様が戸惑いながらもキラキラした目で見ているのは、真鍮製のレトロな見た目のオイルライター


魔法が存在して、火が出る魔道具も貴族なら気軽に買える値段で売られている世界だけれど


意外にと言うか魔法が存在するせいなのか、オイルライターのようなアナログな道具の研究はあまり進んでいない


オイルランタンは普通にあるんだからそのまま小型化をしていけば、オイルライターも作れそうな気がするんだけど


問題なのは魔法の素質があるのは10人に1人くらいで、魔道具に魔力を充填出来るほどの魔力を持ってる人となると


魔法の素質がある人の中から更に10人に1人くらいの割合しか居ない


にも関わらずアナログな道具の研究を積極的にしてないとかどうなのよ!


どうせ、魔法組合とか魔道具組合の権限が強くて圧力かけてるとかそういうパターンだろうと思う。



だからこそ、掌に収まるくらい小さいのに火が付くオイルライターをゲオルグ様のプレゼントに持って来たんだ


ゲオルグ様に持って来たオイルライターは1万円くらいの物だけど、元世界じゃオイルライターも安い物なら500円しない値段だったから


貴族に高値で売り付けてボロ儲けする商品として、今から色々なデザインの物をストックしておいても良いだろう。



『シュボッ、、、カシャン、シュボッ、、、カシャン、シュボッ、、カシャン』



ゲオルグ様にオイルライターの使い方を教えたら、ずっと火を付けては消してを繰り返している


俺も初めてオイルライターを買った時は、嬉しくてずっと触ってたもんなぁ(笑)



「あなた、いつまで遊んでいるのですか」


「あっ、遊んでいる訳では無いぞ(汗)これほど小さな物なのに魔力を使わずに火が付くのが不思議でな」


「その道具は小さなランタンだとシンさんが説明してくれたでしょう。ランタンで喜べる殿方が羨ましいわぁ」



あぁ~


これはソレイユ様にも何かプレゼントしないとあかんやつですね、了解です!


貴族に高値で売り付ける物とかプレゼントする物は、常にスキルの「店」で探していて良さそうな物はとりあえず購入してから


売っても大丈夫かどうかを我が家のみんなに聞いて、OKが出た物が幾つかある


その中から今回選ぶのは


『リップグロス』


唇に塗るとプルプルになったりラメ入りの物があったり色の種類もたくさんあって、ようするに口紅と考えて良いのだろうか?


保湿効果もあるみたいだから薬用のリップクリームなのか?


おっさんは化粧品に詳しく無いからよく分からん(汗)


とにかく我が家のみんなが金貨1枚でも売れるって言うんだから、プレゼントの品として問題は無いだろう。



「実はソレイユ様にもプレゼントがあるんです」


「あら♪嬉しいけれど下着では無いのよね?そうすると全く想像が出来ないわ」


「では、どうぞ」



俺はテーブルの上にリップグロスを並べていく、この人さし指くらいの大きさの1本で何回塗れるのかは知らないけど


女性というのはお金がかかって大変なんだなぁ



「あらまあ♪凄く綺麗な容器だけど何かしら?」


「リップグロスという唇に塗る化粧品です」


「これが化粧品?」



うーむ、ソレイユ様がフリーズしてしまったのだが


凄くキラキラした目をしているから興味はあるんだと思う



「えっと、良ければ試しに塗ってみませんか?それとも私がソレイユ様に塗って差し上げま」「お願いします!」



わぁお!


びっくりしたけどここは冷静にならなければ、万が一にも唇からはみ出して塗るなど許されないからな


だがしかし


ソレイユ様に合うグロスの色とかおっさんには分からん!


ここは無難に『クリスタル』という透明の物にしよう、これなら色が合わないという事は避けられるし、唇のプルプル感もわかりやすいだろう



「では、失礼して、、、、、、、完成です、どうぞ」



リップグロスも無事に塗れたので、鏡を取り出してソレイユ様に見て貰う



「ッ?!・・・」



ありゃ?


鏡を見たままソレイユ様がフリーズしてしまった


凄く似合ってると思うし上手く塗れたと思うんだけどなぁ



『ガシッ!』


「シンさん!」


「はっ、はい?!」


「リップグロスの事はしばらく娘達には内緒でお願い!」


「それは構いませんけど」


「それじゃあ、お酒でも飲みながらゆ~っくりお話しましょうねぇ♪」



てっきり娘さん達の分のリップグロスも欲しいって言われると思ったんだけど


ソレイユ様も、ソレイユ様を見てるゲオルグ様もめちゃめちゃご機嫌な様子だから問題は無い


問題は無いのだが、、、


俺はこのままリップグロスについて朝まで質問攻めコースっぽい


今日がサウスビーチでの最後の夜だし、とことん付き合いますとも!






つづく。

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