第335話 旅8日目

ふぁ~、眠い


部屋の窓から外を眺めると、夕日に照らされてオレンジ色に染まるサウスビーチの街が見える



昨夜から徹夜でオークの集落を探して討伐をしていたせいで、侯爵邸に戻ったのが朝食の直前


そして、こんな日に限って午前中からソレイユ様のお茶会が開催されたので参加した為に


ゆっくり眠る事が出来たのはお昼ご飯を食べ終わってからだった


侯爵邸で待っていたメリル、カスミ、スミレも、俺達の事が心配であまり眠れなかったみたいなので


みんなで一緒にお昼寝をする事にしたんだけど、、、お昼寝であっても変わらずケイトは腹を出して寝るんだな(笑)



旅も8日目、色々あったけどサウスビーチでやるべき事も全部終わったし、余裕を持って明日にはキャラバンシティに帰る予定だ


実は旅の間にやるべき事が1つ残っているんだけど、はっきり言ってどうなるかが分からないから1日余裕を見ている。



さてと


そろそろ夕食の時間だからみんなを起こしますか



「みんな起きろ~」


「主様、おはようございます」


「ふぁ~」「ん~」「にゅ~」


『ペチペチ』


「ケイト起きろ~」


「・・・んにゃ?」



ニィナは元気そうだけど他のみんなが眠そうなのは仕方ないか


そしてケイトの腹は夕方でも良い音がする♪




◇ ◇ ◇




あっという間に夕食も終わって夜も遅い時間になっちゃったよ!


今日の夕食は侯爵家の料理人さん達が作ったカニとエビ料理だったので、味とか改善点とかの質問攻めにされて食べた気がしなかった(泣)


他にもカニとエビ関連の中間報告書を見てアドバイスをしたり、エビの養殖を提案してみたりした


今後エビの人気が出て需要が高まるのはほぼ確実だろうから、それを見越して今から養殖の研究をすれば近い将来必ず大きな儲けになるだろう。



さあさあ


今宵は最後の暗躍のお時間です♪


最後の夜なのに俺1人だけなのは少し寂しいけれど、今日は大変な1日だったから我が家のみんなには早めに休んで貰っている。



『コンコンコン』


「入って良いぞ」


『ガチャ』


「失礼しまーす、、、ってソレイユ様もいらしてたんですか」



いつものようにゲオルグ様の執務室に来たら、今夜はソレイユ様とゲオルグ様が待っていた


まったく、この仲良し夫婦め♪



「シンさんこんばんは、夜は毎日この人と何やら美味しいお酒と料理を食べてたんですってね、私を呼んでくれないなんて酷いじゃない」



おぅふ!


これはあかん状況ですよ(汗)


ゲオルグ様の顔を見ると、、、了解です、ここは俺が何とかします!



「えぇーと、ソレイユ様を呼ばなかった事については、申し訳ありませんでした。と言うしか無いのですが


実は、ソレイユ様とゲオルグ様が2人きりで楽しめるように、どのようなお酒と料理が良いかを相談していたんです。


それを私が帰った後にサプライズでお出しして、ソレイユ様を驚かせる計画だったのですが、配慮が足りず申し訳ありませんでした。」


「あらあら♪そうなのあなた?」


「そっ、そそそそうなんだよ(汗)ソレイユの驚く顔が見たくてシン殿には少し無理を言ってしまった、許して欲しい」


「もう!そういう事なら2人には私から謝らないといけないわね、ごめんなさいね」



ほっ


ゲオルグ様もかなり慌てていたけれど、俺がアドリブで考えた言い訳に上手く合わせてくれて助かったよ



「謝る必要は無いですけどこの話はこれで終わりという事で、今夜もお酒と料理を持って来たんですが、乾杯の前にゲオルグ様にプレゼントがあるんで受け取って下さい、どうぞ」



事前にスキルの「店」で購入しておいたプレゼントを取り出してテーブルに置く



「まさかこのタイミングでワシ個人にプレゼントがあるとは思わなかった、シン殿からは貰いっぱなしなのだがなぁ」


「あなた、こういうのはありがたく頂戴して、後から2倍や3倍にしてお返しするのが礼儀ですよ」


「まぁ普通の貴族が相手ならそれで良いんだが、シン殿が喜ぶ物となると悩むぞ」



デスヨネー、俺が喜ぶ物って貴族の後ろ楯だからなぁ


何かあった時にちゃんと守って貰う為のプレゼントだったり、レシピ登録だったりするんだもの


はっきり言って金銭を要求するよりタチが悪いと自分でも思う(笑)



俺にも守らなきゃ行けない人が沢山出来ちゃったからな、ここはどうしても譲れない!



「ソレイユ様にゲオルグ様、実はお2人にお願いがあるのですが」


「あら珍しいわねシンさんがお願いなんて、私で出来る事なら何でも言って頂戴♪」


「うむ、遠慮せず何でも言ってくれ!」


「ではお言葉に甘えて、改めてお2人とは良き友として末長く仲良くしてほし」『ぎゅうぅぅぅ!』



む゛ぅぅぅ?!



「勿論よシンさん!私とシンさんはずぅーっとずぅーっと親友でいましょうね♪」



ソレイユ様、ここは3人でガッチリと固い握手をする所だと俺は思うんですよ、ゲオルグ様も含めて3人で


ソレイユ様に抱き締められてゲオルグ様の表情は見えないけれど


何故だかとってもご機嫌な雰囲気がビシビシ伝わって来る


おそらく喜んでるソレイユ様を見て、ゲオルグ様はニヤニヤ、デレデレしてるんだろうなぁ


この仲良し夫婦め!


そんな仲良し夫婦と仲良くなれて俺も嬉しいです♪


中身はおっさんな俺ですが末長くよろしくお願いします。






つづく。

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