第330話 お供えと優先討伐魔物
『ガチャ』
「ただいまぁ~」
「おにいちゃんお帰りなさい、あれ?ケイトは?」
「ケイトなら直ぐに戻って来るから心配要らないよ」
「主様!この豆腐が凄く美味しいです♪」
豆腐?
なるほど、侯爵家の料理人さん達が作った豆腐をみんなで食べてる最中だったか
そりゃあ大豆から丁寧に作った豆腐は美味しいだろう♪
「おにいちゃん、キャラバンシティに帰ったら商会で豆腐作って売ろうよ、大豆は安く手に入るんだし」
「主様、私もお嬢様の案に賛成です!」
うーむ、豆腐作りはかなり手間がかかって大変なんだけど、作るのは従業員だから問題は無い
問題なのは
「副会長に聞くけど、今の池田屋商会に新しい事をする人的余裕が無いのは分かってるよね?豆腐作りの為に専用の場所も作らないといけないし」
そう!
いつもの事だけど、その場のノリで色々やってるお陰で池田屋商会は常に人手不足
それでも最近は、たまにスラム街で炊き出しをするくらいの余裕が出て来た所なんだ
新しい事をしてまた人手不足になって人を増やしての繰り返しで、自転車操業的な事は避けたい
「それじゃあ、豆腐作りだけをする商会を作って誰かに任せるっていうのはどうかな?」
わぁお!
メリルはまたとんでもない方法を提案してきたよ(汗)
「えぇーと、誰かって誰に?」
「眠れる森のエルフが良いと思う。研修生を増やす計画もあるからちょうど良いと思うんだけど駄目?」
「なるほど、でもそれだと研修生が街の生活に慣れた後の話になるから、大分先の事になるけど」
「うん、何か新しい事をするには半年から1年くらいは準備期間が必要だってアルさんも言ってた
それと何か思い付いて直ぐに実行出来るのは、おにいちゃんが特別なだけで普通は無理だって事も教えて貰ったから」
おおっ!
面倒くさい男のアルも優秀なだけあって、仕事については凄くまともな教えをしてくれていたか
そして、俺のチート能力のせいでメリルの常識が少し普通とズレてしまったのは反省せねば
これからは俺も含めて、この世界の常識を学ぶ機会が必要なのかもしれん
「そういう事であれば、新事業として正式に商会の幹部会議で検討しよう。」
「やったぁー♪」
ふふっ
メリルの笑顔を見られたし、ケイトが戻って来るまでに創造神様にお供えをしておこう
いつものように机の上に白い布を敷いて女神像とお供え物を並べていく
今日のお供え物はカニ刺しとカニ鍋セット、そしてデザートはガリガリかき氷にして全種類用意してみた
かなり大量になっちゃったけど、余っても創造神様なら時間停止して保存するくらいは出来るだろう。
「あーあー、創造神様、お供えを用意致しました。カニ刺しはそのままか、カニしゃぶとして食べるかお好みでどうぞ。」
言い終えるとお供え物はいつものようにうっすら光って消えて行く
「は~い、いつもありがとうございます♪それと、ちーちゃんが勝手に料理の催促をしたみたいでごめんなさい」
うぉい!
いきなり創造神様に謝罪されてしまった、やっぱりちーちゃんさんは創造神様に無断でカニ料理のリクエストしたんやろうなぁ
「創造神様、謝罪は不要です!ある程度欲しい物が分かった方が選ぶ手間が省けますので、、、ちなみにちーちゃんさんは」
「あなたの優しさに感謝します。ちーちゃんは反省の為に星磨きの旅に出ています。」
「星磨きですか?」
「ええ、そうです。今回のお詫びとしてあなたの収納に便利グッズを送っておきますので活用して下さい。
私はいつでもあなたを見守っています、それではさようなら~♪」
「さよなら~」
星磨きっていったい何なんだろう?
凄く気になるけど神様のする事を俺なんかが理解出来るはずも無いか
そんな事よりお詫びの便利グッズを確認しないと、もう収納に入ってるんかな?
あった!
ビールサーバーやん♪
しかも業務用のデカいやつやし、これはドワーフの皆さんが喜ぶで
でもガチのビールサーバーやから酒場作らな勿体無いよなぁ、街の雰囲気に合わせるならイギリスの『パブ』みたいなんが良いかな?
これはオリビエさんと相談やな!
『ガチャ』
「あっ!ケイトお帰り~」
「うん、ただいまお嬢」
おっと!
兵士に話を聞きに行ってたケイトが戻って来たけど、表情が暗いな
「ケイト大丈夫か?」
「えっと、あたしちょっと出掛けて来る、朝までには帰るから心配しないで」
「待て待て待てーい!こんな遅い時間に出掛けて朝に帰って来るとか心配するに決まってるやろ!全員、ケイトを確保ぉー!」
「「「「おー!」」」」
「わぁっ?!」
ケイトは迷惑をかけないように俺達の前から居なくなろうとした前科がある、あの時は引き留められたけど
だからまた同じ事があっても良いようにこっそり練習していた甲斐があったぜ
みんなでケイトに抱き付いて身動き出来なくしてやりましたよ♪
「ダンナァ~(泣)」
「とりあえず兵士に聞いた話を教えろよ、原因はそれなんだろ?」
「うん、実は街の近くにオークが出たらしいんだ」
「オークって豚っぽいやつだったな、でもそんなに強い魔物じゃ無いだろ?冒険者に任せとけよ」
「確かにオークは強くは無いけど、目撃されたオークは逃げたらしいんだ」
「ん?そりゃあオークだって逃げる事もあるだろ」
「はぁ~、やっぱダンナは知らないか、コボルトくらいになると逃げる事もあるけど
ゴブリンとオークは知能が低いからね、欲望の赴くままに突き進む事しかしないんだよ、そして女を拐うんだ
だから優先討伐モンスターに指定されてる訳だけど」
「欲望のままに女を拐うか、その先は考えただけで吐き気がするな。それでもオークが逃げたからって何なんだ?」
「人を見て逃げたって事は恐怖を感じたか、最初から逃げるつもりだったと思う。
どちらも知能が高くないと出来ない事だよ、それはつまりオークに『知恵』を付けた奴が居るって事になる」
「キング、もしくはジェネラルが居るのですね?」
「ニィナの言う通りだよ、ゴブリンとオークには希に知能が高い個体が生まれる事がある、それがキングとジェネラルなんだ
指揮官を得たオークは時間をかけて組織化されて、やがて騎士団に匹敵する強さになる
だから手遅れになる前にキングかジェネラルを討伐しないと!」
「話は分かった!だったら尚更相談しろっての、ちなみにオークの居場所は分かってるのか?」
「オークが目撃された場所の近くに集落を作ってると思うんだけど、、、」
「確証は無いんだな?」
「・・・うん」
「まったく、こういう時こそ俺を頼ってくれよ」
「いくらダンナでも居場所が分からないんじゃどうしようも無いから」
「ふっふっふっ、ケイトよ俺を侮るんじゃあ無い!そして俺はいつだって準備万端なのを忘れてるんだもんなぁ」
「え?」
「もう!ケイトは忘れっぽいんだから」
「ケイト殿は主様に頼る事を覚えるべきですね」
「ケイトさん、ご主人様に頼ってください!」
「頼るのー!」
「ダッ、ダンナ、何とか出来るの?」
「勿論だ、こんな時にはアレしか無いだろ♪それではみなさん御唱和下さい、せーの」
「「「「「プランB♪」」」」」
オーク討伐作戦開始だー!
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。