第327話 旅7日目
『ポン、、、ポン、ポポン、、ポン、ポンポン、ポポポポポン、、ポポン、ポン、、、』
「ご主人様、出来上がりました!」
「はーい、カスミありがとう」
「「「「「おおっ!」」」」」
『パチパチパチパチパチパチ』
今日は侯爵邸の厨房を借りてカスミとポップコーンを作っている
料理人の皆さんも見学しているんだけど、いい歳のおじさん達が完成したポップコーンを見て驚いている姿というのはなかなかにシュールだ(笑)
そしてポップコーンを試食してまた驚くっていうね
『シャクシャク』っていう独特の食感がなんともいえない不思議な感覚らしい。
今日はソレイユ様にお茶会に呼ばれていて参加しなくてはならないんだ
そこで甘くないお菓子が欲しいというリクエストに応えて、厨房を借りてポップコーンを作っている
味付けはちょっとリッチに
抹茶塩、トリュフ塩、シナモンシュガーの3種類を用意した
今は貴族の社交会シーズンらしく、お茶会で出される砂糖の塊みたいな甘いだけのお菓子にウンザリした結果
甘くないお菓子が食べたいって事らしいけど、甘いお菓子もちゃんとリクエストされている(笑)
はっきり言って女子会のようなお茶会に誘われても、おっさんは全く楽しめない
だがしかし
さすがの俺でもそろそろ参加しないとヤバいなって事は分かる!
だから朝食終わりに声をかけられた時は、それはもう満面の笑顔で
「待ってました♪」と言いましたよ
ついでに、お茶会用に特別なお菓子も用意してあると言っといたから、まあ色々な事が差引きゼロになっただろう。
「カスミ~、せっかくやからお茶会に持ってくお菓子の試食しよう」
「あの、良いんですか?」
「ええよぉ、お茶会に行ったら落ち着いて食べられへんしな、カスミはお茶会楽しいか?」
「あっ、えっと、あの」
ふふっ
普段はあんまり表情に出さへんのに、こういう時は素直やなぁ(笑)
「貴族相手じゃ緊張して楽しむ余裕は無いか」
「、、、はい」
「それはええとして、カスミは何味食べる?」
「それって昨日食べた氷菓子ですよね、お茶会には不向きじゃないでしょうか?」
俺が今から食べようとしているのは、昨日も食べた元世界でお馴染みのガリガリ食べる氷菓子
棒が付いたまま貴族のお茶会に出すには色々と微妙だから、これを削って『かき氷』にして食べる作戦だ
冷たいかき氷を食べながら温かいお茶を飲む
気温が高いサウスビーチなら貴族の新しい贅沢として流行りそうやん♪
そして俺は知らなかったけど、ガリガリ食べる氷菓子には『大人』シリーズなる物があったんだ
ピンクグレープフルーツ味
ミックスベリー味
Wりんご味
他にも定番の味として、コーラ、梨、グレープフルーツがあるのね
俺はソーダと梨しか見た事無かったからビックリしたよ
「俺はピンクグレープフルーツ味にするから、カスミはミックスベリー味な、いただきまーす」
「いただきます♪」
『『シャリシャリ』』
うん、旨い!
削っただけやのに全然違うお菓子みたいやな
そして高級な味がするぅー(笑)
「どうやカスミ?」
「凄く美味しいです♪」
「ピンクグレープフルーツも美味しいから食べてみ、ほらあーん」
「あー」
「ほいっと」
「んー!おいひぃれす♪」
耳がピコピコ動いて嬉しそうやなカスミ♪
カスミと一緒に暮らし始めてそろそろ1年かぁ
最初は我慢と遠慮ばっかりしてたカスミも、ちゃんと意見を言うようになって料理も俺より上手くなったし
俺がおらんでももう大丈夫やろ
カスミもいつか好きな相手を見付けて結婚するんかなぁ?
結婚が1番の幸せって訳では無いやろうけど、誰かを好きになる経験はして欲しい
「なぁカスミ」
「はい♪」
くっ、、、
駄目だ!
カスミのあんなに可愛い顔を見たら、好きな相手が居るのか?とか聞けるわけねぇーよ(泣)
すまんカスミ
成人するまでは恋愛の話はNGで頼む!
「ご主人様?」
「えぇーと、キャラバンシティに帰ったら新しいお菓子一緒に作ろうな!芋餡と栗餡を使って作りたいのいっぱいあんねん」
「はい、凄く楽しみです♪」
「あとサクランボのお酒も作りたいし」
「あの、お酒はほどほどにして下さいね」
「えぇ~、いつもほどほどにしてるやん、カスミも成人したら一緒に飲もうなぁ♪」
「はい、たのひぃみにしてましゅ」
こうやってカスミの頬っぺたをむにむにするのも、そろそろ終わりかなぁ
嫌がられる前に子離れしなくては、、、
むっ、無理かもしれん
考えただけで心の汗ががががが(泣)
「ご主人様、このかき氷みんなで食べたいです」
「せやな、風呂上がりにみんなで食べようか」
「はい♪」
相変わらず笑顔のカスミは可愛いなぁ
これからもカスミが笑顔で居られるように
おっさんは子離れだってしてみせーる!
つづく。
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